SNSを始めたことで売上高が約450%拡大し、以降、毎年業績を伸ばしている企業がある。
日本初の家庭用箱入りポリ袋「アイラップ」を販売する岩谷マテリアルだ。
つい最近も、SNSで蒸しパンが話題になっていた際に「アイラップ」を使った蒸しパンレシピを投稿したところ、約3万いいねを記録、レシピ内で紹介したアイラップホルダーの売上が約12倍になったという。
「アイラップ」公式Xがスゴい!
そもそも、皆さんは「アイラップ」をご存知だろうか?ビジネスパーソンでも、オレンジ色で三角形のパッケージが特徴の1976年生まれの便利なポリ袋を見たことがある方も多いはず。
改めて説明すると、「アイラップ」は冷凍・冷蔵保存から電子レンジや湯せんで食材の温めが可能なポリ袋。「アイラップ」を手がける岩谷マテリアルは、バナナマン日村さんも大好きなカセットこんろ「やきまる」でおなじみ、岩谷産業株式会社のグループ会社だ。
そんな、「アイラップ」公式Xには企業SNS活用術やSNSによる業績アップの秘策がたくさん潜んでいる。
さらに、全国展開しているはずの「アイラップ」がなぜか、山形・新潟を中心とした日本海側で特に愛用されているという噂も検証したい。
そこで今回、岩谷マテリアル株式会社 デジタルコミュニケーションの坂本さんに話を聞いた。
――SNSを機に売上UPしたそうですが、要因はなんだと思われますか?
「公式SNSは2018年に始めたのですが、大きな要因としては従来一部地域に限られていた「使い方」が可視化されたことだと思っています」
「すでに普及していた地域では調理や保存といった日常用途が主流でしたが、SNS開設を機に「防災にも役立つ万能ポリ袋」「時短・調理ツール」など、さまざまな活用方法がSNS上で共有されていきました」
「その結果、「知っている人だけが使う商品」から「誰でも使い方が分かる商品」へと変化しました。また、企業側からの一方的な発信ではなく、ユーザーの投稿や反応が拡散の起点となることで、自然な形で認知が広がったことも大きいと考えています」
そんな、アイラップ公式Xのフォロワーは4月現在で約36万。
企業として過度に作り込まず、適度な距離感でユーザーとコミュニケーションを取ることを心がけているからこそ、バズる。
これまでのSNS投稿で特に話題になったポストを教えていただいた。
アイラップは全国区商品。
一部地域限定の商品ではありません(;ω;)ただ売上の75%が新潟、山形、富山、石川、福井に集中しているだけなの…。
すっごく便利なんだけどなぁ…。
応援してくれる人RTプリーズ… _(:3」z)_#一般人の方が時々誤解しておられること #アイラップ #応援RTお願いします pic.twitter.com/jWvmJyIpND
— アイラップ【公式】 (@i_wrap_official) July 18, 2018
「一部地域を除き、ほぼ無名のポリ袋でしたが、この投稿をきっかけに流れが変わりました」
温かい食事は心を落ち着かせます。#アイラップ での炊飯方法をご紹介☝️#アイラップ炊飯 の
お米と水の割合は『 1:1.2 』今回は無洗米を使用し、
お米は20分ほど浸水しておきます。
(お米は研がなくても食べられます)#地震 #停電 #防災 #非常食 pic.twitter.com/D7IFiKoSna— アイラップ【公式】 (@i_wrap_official) January 1, 2024
「メディア報道により、アイラップが防災グッズとして使えることが世間に広まりました」
SNSを上手く活用することで話題性を高め、売上とともに認知拡大につなげる。
そこにはこんな想いがある。
「一貫して意識しているのは、「商品を売る」のではなく「使い方を伝える」ことです」
「特に日常の中で実際に役立つ具体的な使い方を分かりやすく提示することを重視しています。結果としてそれを見た方が自分の生活に置き換えて想像しやすくなり、自然と共有や拡散につながっていくと思っています」
すると、フォロワー数の増加に比例するように商品の売上数も増えていく。
「SNSによる認知拡大に加え、近年大きな災害が増えているため「日常と非日常の両方で使える」という価値が社会的に受け入れられてきたことが大きいと考えています」
「また、ユーザー自身が使い方を発信し、それがさらに広がっていくという循環が生まれていることも継続的な成長につながっていると考えられます」
アイラップが日本海側だけで人気というウワサの真相
全国展開している「アイラップ」だが、未だに“全国区”ではないことが度々話題になる。
ネット上では『日本海側だけで局地的に人気らしい』とか、『売り上げの大半を山形、新潟が占めている』…などとささやかれている。
そんな噂に公式もちゃんと反応していた。それは開設したばかりの2018年7月。
売上の75%を一部地域が担っていることを包み隠さず晒し、応援を願う。
そんな素直さと切なさと腰の低さが「アイラップ」ユーザーの心に火を点け、北陸地方のフォロワーの皆さんが拡散。1万3000リポストの大バズりとなった。
公式Xが言う通り、『アイラップ』は正真正銘の「全国区」だ。
今回話を聞いた坂本さんもこう語る。
「一人当たりの消費量は、日本海側の普及地が上だと思いますが、実は売り上げにおいては2022年から関東エリアが1位なんです」
ではなぜ未だに日本海側だけで愛されていると思われてしまうのか?
「日本海側で人気というイメージは、流通と生活文化の両面によるものと捉えています。もともと地域の食品スーパーで継続的に取り扱われてきたことに加え、下ごしらえや保存などでポリ袋を日常的に活用する生活文化との相性が良かったことが背景にあります」
「さらに、当社の営業活動や問屋様の協力により、地域内での流通が継続的に維持されたことも日本海側で特に定着した要因だと思います」
ちなみに先日、公式Xの中の人が「アイラップガチ県」と言われる山形県を初訪問。
地元スーパーを訪れると、半カートンで買う人も多く、「アイラップ」ガチ県の熱意を肌で感じたという。
ちなみに筆者も山形在住ゆえ、自宅のキッチンには幼い頃から「アイラップ」が存在していた。もはや幼なじみレベルの関係性だ。
しかし、世の奥様方ほど日頃から愛用しているわけではない。正直あまり使い方も分かっていない。
ガチ県出身としては恥ずべきことだが、改めておすすめの活用術を教えていただいた。
「日常用途としては食材の下ごしらえや保存に加え、電子レンジや湯せんなどの食品加熱が挙げられます。また、防災の観点では、洗い物を減らす調理方法や水を節約できる使い方が注目されています」
「最近では、こうした日常と非常時の両方で活用できる点が、特に「備えない防災」として改めて評価されています」
SNSを巧みに活用し、全国区への扉を開いた「アイラップ」。今日も公式Xは更新され、新たな情報を提供している。今後も「アイラップ」公式SNSから目が離せない。
「SNSではユーザーの生活に寄り添った情報発信を行いながら、日常と非常時の双方で役立つ使い方を発信していきたいと考えています。また、オンラインだけでなく、実演やイベントなどリアルな場での体験と組み合わせることで、より実感を伴った理解につなげていきたいと考えています」
今後さらに「アイラップ」を拡めるために必要なこと、売上UPのために取り組みたいこととは?
「これまでに蓄積されてきた使い方を、より分かりやすく伝えていくことが重要だと考えています。特に防災を含めた活用については、正しい情報を丁寧に伝えていくことで、さらに多くの方に役立てていただける余地があると感じています」
取材協力
岩谷マテリアル株式会社
アイラップ公式X @i_wrap_official
文/太田ポーシャ







DIME MAGAZINE
















