「秘密のヴェールに包まれた国」という印象が強い北朝鮮。軍事開発や抑止力の誇示としてのミサイル発射に注視する人もいれば、脱北者の発信などを通じて語られる「市民のリアルな暮らし」に心を寄せる人もいるだろう。
そうした多角的な情報も貴重だが、自分の場合、その国を肌で感じるには「食」を入り口にするのが一番しっくりくる。そこで今回は、ジャーナリストの助けも借りつつ、中朝国境の街・丹東で出会った「北朝鮮菓子」についてレポートしたい。その味、そしてパッケージの向こう側に透けて見える北朝鮮の素顔とは。
辺境の街で出会える、北朝鮮の風景
北朝鮮菓子は、日本で合法的に味わうことは難しい。それはイケナイ成分が含まれているからではなく、経済制裁により輸入そのものが禁じられているからだ※。
では、どこでその味に出会えるのか。現地へ飛ぶのが確実だが、最も現実的で手軽なのは、現在ビザなしで渡航できる中国だ。中でも、中朝国境に位置する”北朝鮮に最も近い街”丹東が、充実の品揃えだという。自分が丹東を訪れたのは、2026年3月。北朝鮮を多角的に調査するマニアックなグループに便乗して、中国東北部を旅した際のことだった。
※2019年には、1本の北朝鮮ビールを日本に持ち込みネットオークションで販売した19歳の少年が、外為法違反(無承認輸入)の疑いで書類送検されている。日本政府は2009年からは経済制裁として2009年から輸出禁止を追加し、現在も北朝鮮産の商品の輸入は一切禁止されている。
丹東駅からタクシーで揺られること、約10分。対岸に北朝鮮を臨む、川沿いの観光スポットへと到着した。今回の旅に同行してくれた、北朝鮮専門のフリージャーナリスト・大熊杜夫氏によれば、この「鴨緑江断橋(おうりょくこうだんきょう)」の周辺が、北朝鮮土産の充実しているエリアだという。駅近くのレストランにて、まずは北朝鮮ビールで喉を鳴らしてから、いざ現地へ。川沿いの遊歩道や断橋の入り口付近には、土産物店や露店が軒を連ねていた。
露店に並んでいたのは、北朝鮮産のタバコや紙幣、それに書籍類。店先に並ぶビールや食品は、土産話の種に買い求める観光客をターゲットにしている。一方で、ごく稀に北朝鮮労働者が「故郷の味」を求めて買っていくこともあると、大熊氏は言う。
気まぐれに、タバコに手を伸ばしてみた。中国で吸うタバコは、人生で2回目だ。前回、1995年の北京で味わった「美国」(という銘柄だった)の絶望的な雑味(「わかば」をさらに強烈にしたような感覚)を覚悟していたが、昨今の北朝鮮タバコは驚くほど抵抗なく、普通に美味い。嗜好品の進化に驚かされつつ、いよいよ本命の北朝鮮菓子を買いに行った。







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