タイガー魔法瓶株式会社の炊飯器が「狂気を感じる」と先日SNSで話題になった。
70種類の銘柄を炊きわけに挑んだ理由とは?
70種類の銘柄を炊きわけられる常軌を逸した機能で一躍世間を賑わせたのが、2025年発売の「土鍋ご泡火炊き JRX-S060/S100」。
土鍋炊飯器シリーズ最上位モデルの逸品は、お米の銘柄ごとに吸水時間や圧力を変え、一流料亭で味わえる上品で奥深い理想のごはんを炊きあげるという。
たしかにそれは魅力的でしかない。しかし、なぜ70種類もの炊きわけに挑もうと思ったのか?
気になる疑問を伺おうと今回、タイガー魔法瓶株式会社 炊飯器商品企画担当の辻本篤史さんに話を伺った。
――銘柄ごとに炊きわける炊飯器を開発した経緯を教えてください
「タイガーでは2020年に発売した最上位土鍋炊飯器に50銘柄の炊飯プログラムを搭載しました。お米は当然ながら銘柄ごとに特性が異なるため、それぞれのお米を一番美味しく炊きあげたいという想いから「銘柄巧み炊きわけ」の搭載にいたりました」
「その後、2021年の最上位土鍋炊飯器からは70銘柄の炊きわけを搭載しております。プログラムについてはお米の計測データ(たんぱく質量・アミロース量など)を参考に、吸水時間や圧力のかけ方などをカスタマイズし、それぞれの銘柄米に適したコントロールをしております」
「そして2023年モデルからは、東北、関東、中部、近畿、中国‧四国、九州‧沖縄の「6つの地域+2ブランド(⿂沼産コシヒカリ、仁多⽶)」のコシヒカリを炊きわける「産地炊き」が実現。産地ごとにタイガーが理想とするごはんの甘み、旨み、粒立ちを最大限に引き出せる炊飯器になっています」
――銘柄はどのように選んだのでしょうか?
「銘柄は国内での作付面積の広さに加え、コンクールでの入賞米など今後、認知が広がりそうなお米をピックアップしました」
70種類を炊きわける究極の炊飯器は、すでに2021年に登場していた。
米・食味鑑定士協会が保有する5000銘柄を超えるお米の分析データとタイガーが50年間蓄積してきたデータをもとに、70種のお米を最高の美味しさに導くという。
そんな炊飯器の説明書にある炊きわけ一覧表も壮観すぎる。
「2020年に発売された初代はちょうど炊飯器の「炊きたて」シリーズが50周年だったため50銘柄に挑戦しましたが、以降お客様が炊かれている銘柄をより炊きわけできるよう、銘柄が増えていき、現在70銘柄になっています」
開発者がおすすめするお米の銘柄が知りたい
他を圧倒する炊きわけ技術が生まれたのは、おうち時間が増えた「コロナ禍」にもあるのかもしれない。外出を規制されたあの頃、自宅での食事をより楽しめるように「土鍋ご泡火炊き」が登場。今まで食べたことのない銘柄米の魅力をタイガー魔法瓶が後押ししてくれた。
ただ、完成までにはまさに「狂気の沙汰」とも言えるほどの苦労があったという。
「いま振り返っても手間暇のかかる尋常ではない作業でした。全銘柄を収集するところから始まり、お米データの採集、実食を通じたそれぞれの炊飯の方向性の決定、プログラムの調整を経て、最終的に70パターンもの炊きわけを構築したので地道な努力の連続だった気がします」
「方向性や炊飯プログラムを決めるまで約2年近くかかりましたが、炊飯器専業メーカーとしての意地とプライドをかけて作り上げました」
一番のこだわりは、圧力のかけ方やお米の吸水時間の調整。それぞれのお米が一番生きるような炊き方を目指した。
「例えば、「ひとめぼれ」と「つや姫」は同じ東北のお米ですが、「ひとめぼれ」の方が少し粘り気の少ない品種です。そのため、吸水時間などは「つや姫」と変えておりませんが、圧力のかけ方を工夫し、粘りが出やすくなるよう炊飯しております」
「他にも、「ミルキークイーン」は粘りが強い特性なのでコシヒカリの炊飯プログラムだと粘りが強すぎてしまうため最適なプログラムに設定しています。お米それぞれの個性を活かしつつ、我々が理想とする食味へと微差ではありますが緻密にコントロールし調整しています」
お米を愛し、お米とともに生きてきた開発者の方々に敬意を表するとともに、ここでお聞きしたいことがある。それは、『開発者の方が実際に食べて印象に残っているお米の銘柄』。
「コンクールでも数多くの賞を受賞している『ゆうだい21』は粒も大きく、甘みもしっかりあって、初めて食べたときは感動したのを覚えています」
他にはこんな銘柄も。
【ふさこがね 千葉県】
大きな粒や品質と味の良さにくわえて、柔らかくて、もっちりした食感が楽しめるお米。
【こしいぶき 新潟県】
新潟県でのみ栽培が認められている希少なお米。みずみずしさと「つや」が特徴で、比較的さっぱりとした味わい。もちもち感よりも歯ごたえを求める方に人気。炒飯やお茶漬けにして食べるのもおすすめ。
【にこまる 高知・長崎県など】
暑い天候の西日本でもしっかり実るお米として生まれ、大きく厚みのある米粒は白未熟粒が少なく、品質も逸品。炊くと一粒一粒しっかりしていて食感も良い。
「現在発売されている最上位モデルは銘柄以外の炊きわけもできます。一合料亭炊きという専用の中ぶたをつけることで、少量でもおいしく炊けたり、おにぎりに向いている「おにぎり」メニューもあるので、銘柄以外にも炊きわけを楽しんでいただければ幸いです」
取材協力
タイガー魔法瓶株式会社「土鍋ご泡火炊き」
タイガー魔法瓶 公式X @Tiger_PR_JPN
文/太田ポーシャ
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