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ぴあの業績がV字回復!チケット販売手数料の値上げだけが理由なのか?

2026.04.14

チケット販売やイベント事業などを手がける、ぴあの業績が急回復しています。本業で稼ぐ力を表す今期の営業利益はおよそ1.5倍に拡大。純利益は1.6倍となり、年間配当を従来予想の10円から20円に引き上げました。コロナ禍の累積損失を一掃し、6期ぶりの復配を見込んでいます。ぴあに何が起こっているのでしょうか?

チケット販売手数料の値上げで取扱高は2期連続の2桁増

2025年4-12月は2割の増収でした。今期通期では1割程度の増収を見込んでいますが、計画を達成すると4期連続の2桁増収となります。特に本業で稼ぐ力が際立っており、2025年4-12月の営業利益率は10.0%。通期予想は8.4%であり、2025年3月期の5.8%を大きく上回る見込みです。

ぴあは、コロナ禍でリアルイベントの開催が絶望的となった2021年3月期と2022年3月期が赤字でした。そこからの見事な復活を遂げています。

収益性が回復した主要因がチケットの販売手数料の値上げ。2024年10月からコンビニでの決算手数料を100円程度値上げしました。その他、後払い決済やシステム利用料、発券手数料などの価格改定も行っています。

ぴあは顧客の利便性向上や高額転売対策、セキュリティ強化などを継続的に行っており、運用コストが膨らんでいました。手数料の値上げを行ったのは、2006年のサービス手数料導入以来初めて。価格改定を行ったことで、取扱高は高水準をマークしています。

新たな手数料体系を導入した2025年3月期の取扱高は2705億円で、前期比12.1%の増加。2026年3月期は同3.5%増の2800億円を見込んでいましたが、3000億円に修正しました。前期比で10.9%の増加であり、2期連続の2桁増。

ぴあは給与の7%アップや新規事業開発などの投資を行っていますが、そのコストを吸収して営業利益は1.5倍に跳ね上がったというわけです。

万博を徹底取材したガイドブックが累計100万部を突破

加えて、今期の業績に多いに貢献したのが「大阪・関西万博」。ぴあは公式ライセンス本として「大阪・関西万博ぴあ 完全攻略編」を発売しました。これがヒット。「オリコン上半期 BOOK ランキング 2025」では1位を獲得し、シリーズ累計発行部数は100万部を突破しました。

万博関連のガイドブックは、JTBパブリッシングや宝島社、昭文社など、いくつもの出版社が手がけていました。

ぴあが優れていたのはその取材力。2000人以上の来場者に聞き込み調査を実施した「パビリオン満足度ランキング」や、編集部が厳選した「おすすめモデルプラン」を提案するなど、未訪問の来場者にとってメリットの高い情報を盛り込みました。

万博の来場者は確固たる目的を持っているとは限りません。来場者の自由度が保障されている一方、何を見るべきなのかが不明確なケースもあります。ぴあのガイドブックは子供づれ向けの「ファミリープラン」や夜の万博を楽しみたい人の「夜景満喫プラン」など、万博の来場シーンに合わせた提案を行っています。こうした情報に触れることで、来場者は万博を楽しみ、コストパフォーマンスを上げることができます。

圧倒的な取材力と提案力が、多くの人に支持されたと見るべきでしょう。

ぴあは万博のチケッティング業務も担っており、累計2558万人もの人が来場した影響は大きなものとなりました。

民間企業が初めて1万人規模のアリーナを運営

ぴあはコロナ禍を前にして大きな一手を繰り出していました。「ぴあアリーナMM」のオープンです。

2017年に三菱地所が所有する土地を借り、1万人規模の大型コンサートアリーナを建設する計画を発表しました。初期投資額100億円のビッグプロジェクト。開業は2020年春としており、4月に開催予定だったゆずの全国ツアーがこけら落とし公演となる予定でした。しかし、コロナで中止に。7月の映像配信がこけら落としとなりました。

アリーナは自治体が施設を所有し、指定管理者制度などで民間に運営を依頼するのが一般的。「ぴあアリーナMM」のように民間会社が建物を所有し、運営するケースは稀。その取り組みには注目が集まります。

一般社団法人日本イベント産業振興協会によると、2024年のイベント産業の市場規模は9797億円で、2019年の9591億円を上回りました。コロナ禍からの復調は鮮明で、ライブなどのイベント産業はV字回復を遂げています。

「ぴあアリーナMM」は音楽コンサートに特化していることが特徴。市場の伸びと照らし合わせると需要は十分あるように見えます。

ぴあは「PIA MUSIC COMPLEX(通称ぴあフェス)」を毎年開催しており、出演者の確保や集客、スポンサー集めなど大型イベントを開催・運営するノウハウは積み上げてきました。

ここにホールの運営力が加わるため、聴衆に寄り添ったニーズを汲み取ることができます。また、施設運営は自治体や周辺企業とのつながりが強くなるため、事業の幅が広がる潜在性も持っています。

「ぴあアリーナMM」はオープン直後にコロナが襲来したため、一時は存続を危ぶむ声も聞こえてきました。しかし、見事な復活劇を遂げたことと、リアルイベントが盛り上がったことで、更なる飛躍が期待されています。

文/不破聡

Author
大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融、経営戦略を中心とした記事を執筆中。得意分野は外食、ホテル、映画・ゲーム、エンターテインメント業界など。

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