梅田にそびえ立つ13メートルの“しずく”
大阪の名物看板といえば、『道頓堀グリコサイン』やカニ料理専門店『かに道楽』の動く『かに看板』、中座くいだおれビルの『くいだおれ太郎』などがある。個性が光る看板が並ぶ中、道頓堀エリアではなく梅田にも名物巨大看板があるのをご存じだろうか。それが、梅田・シログチビル屋上に鎮座する、ダイキン工業株式会社の”うるるとさらら”のキャラクター『ぴちょんくん』を模した巨大看板『大ぴちょんくん』だ。
その高さは13メートルと、鎌倉の大仏や京都・清水寺の”清水の舞台”に匹敵する。梅田のビル群から顔を覗かせるその姿はJR大阪駅からも見ることができ、SNSでは「『進撃の巨人』のよう」と話題になっている。
名前の由来に隠された「大阪金属」の歴史
大ぴちょん君が誕生したのは2016年3月16日。『大ぴちょんくん』の『大』は、大阪の『大』。そして、ダイキンがもともと『合資会社大阪金属工業所』という社名だったことから、大阪金属の『大』にもかかっている。
そもそもの『ぴちょんくん』は、『うるるとさらら』のイメージキャラクター。『うるるとさらら』というダイキン世界初の技術を使い、給水しなくても加湿ができる『無給(むきゅう)くん』を作った時にキャラクターとして誕生した。「湿度をコントロールする」ということで、湿度を表す”水滴”を形どってデザイン。その水滴が”ぴちょん”と落ちる音をイメージし、『ぴちょんくん』と命名された。その後、2016年に巨大看板・大ぴちょんくんが誕生。梅田の空気情報を街ゆく人々に届けてきた。
今年の3月16日に10周年を迎えたことから、これまで非公開だった大ぴちょんくんの内部構造がメディア向けに発表された。この機会に筆者も大ぴちょんくんの看板内部へ潜入してみた。
単なる広告ではない「空気の伝道師」 ダイキンが屋外看板に込めた想い
ダイキン・広報宣伝グループの高須友理さんは、「ダイキンにとって屋外広告看板は、単なる広告ではなく『空気の価値を社会に伝える大事な存在』として長い歴史がある」と語る。ダイキン初めての屋外看板設置は1962年で、意外にも大阪ではなく東京・有楽町だった。当時は温度表示をしておらず、1990年代に入り、新大阪に温度表示をする看板が建てられた。現在では銀座や福岡空港前など、温度表示をしている看板が全国に5か所ある。
そして10年前に大ぴちょんくんが誕生。コロナ禍では大阪府の「大阪モデル」に協力し、警戒状況を信号機のように3色で発信。大阪の街と連動した活動はSNSでも大きな反響を呼んだ。
大ぴちょんくんが鎮座するのは、3月に下水道工事のための鋼鉄製のパイプが13mの高さまで出現してニュースとなった道路の真ん前にあるシログチビルの屋上だ。8階建てのビルの屋上から、さらに階段を登る。
屋上からはJR大阪駅に続く線路や、梅田のランドマークであるHEP FIVEの赤い観覧車も見える。
大ぴちょんくんは、この屋上からさらにハシゴを登った上に立っている。
屋上に登った時点で、巨大な大ぴちょんくんの圧を感じる。この看板、表面は一見するとなだらかだか、実は約35万個のLEDが使用されている。このLEDが温度や湿度、花粉情報など目に見えない空気の状態で変化し、9色の「空気の顔」を表現するのだ。例えば、6月~8月の気温25度~40度、湿度35%から65%の時は『あつあつピンク』、
12月~2月の気温-10度から10度、湿度35%以下の時は『ぱりぱりホワイト』など、それぞれの季節の気温、湿度を感知し、LEDが9色に変化する(気温や湿度によるため、滅多に見られないカラーもあり、『ぱりぱりホワイト』もレア)。
その他にも、桜や雪、梅雨などの季節ものや、
ハロウィン、クリスマスなどの記念日もの、
そして大阪らしくヒョウ柄やたこやき、カニなどのデザインも展開。今回公開された10周年を祝福するケーキのデザインも含め、全部で35パターンある。
高須さんによると、大ぴちょんくんの設置は5年かけた大きなプロジェクトだった。「こんなに大きい看板を作るは初めてで、30名相当のチームで製作しました。私たちも未知の世界だったので、大阪の方に愛される看板になるのか不安もありました」と振り返る。
「JR大阪駅からも見える看板にしたかったので、(シログチビルから)約500メートル離れたところからちゃんと表示が見えるようにしないといけない。そのため滋賀県の山奥の工場まで行き、実際に500メートル離れたところから目の太さを『1倍、1.5倍、2倍、2.5倍』という風に並べて、どれが一番可愛く見えるかシミュレーションしました。大ぴちょんくんの顔がどのように見えるのか、表示の文字の大きさ、表現の仕方など、すべてこだわりました。『絶対にこの角度で、500メートル先からも見えるところ』を検証した上で製作したので、かなり力を入れました」







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