人とヒューマノイドが製造現場で協働する新たなものづくり
ロート製薬は「ロートグループ総合経営ビジョン2030 Connect for Well-being」のもと、働く人のウェルビーイング向上と次世代ものづくりを目指して、フィジカルAIを活用した「ヒューマノイド開発プロジェクト」を始動した。
今後は、サイバーフィジカルシステム(Cyber Physical System<以下CPS>※1)を実装する上野テクノセンターを実証の場として、フィジカルAIとデータの循環を通じて環境変化に適応できるものづくりを確立するとともに、将来的にはヒューマノイドが製造現場で人と協働する最適モデルの導入を目指す。
※1:CPSとは、フィジカル空間(現実空間)にある多様なデータをセンサーネットワーク等で収集して、サイバー空間(仮想空間)で大規模データ処理技術等を駆使して分析/知識化を実行。そこで創出した情報/価値によって、産業の活性化や社会問題の解決を図っていく仕組みのこと。
■プロジェクト発足の背景
同社では、製造品目・生産量の増加やサプライチェーンの複雑化など、変化する製造環境に対応しながら、社員一人ひとりがいきいきと働ける環境づくりを推進している。
その一環として、「人と環境にやさしいスマート工場」をコンセプトとした上野テクノセンターを中心に、IoTやセンサ技術を活用したCPSを実装し、工場内の最適化を進めてきた。
本プロジェクトでは、これまでのCPS基盤がある同社だからこそできるフィジカルAIを活用したファクトリーオートメーションの推進を通じて、製造現場における作業負荷の軽減と生産性向上の両立を図るとともに、働く人がより付加価値の高い業務へシフトする新しいものづくりモデルの構築を目指す。
■今後の展望について
同社は、以下の範囲で段階的にフィジカルAIの導入を進めていく。また、これまで構築してきたCPS基盤を活用して、物理空間とデジタル空間を連動させた環境において実証と改善を高速で回しながら技術を蓄積。安全性と実効性の検証を行なう。
・軽量物の自動搬送
・安全巡回や案内といった連絡業務
・ライン切替時の監視業務
・箱詰めといったライン補助業務
従来のロボットがあらかじめ定義された動作を正確に繰り返すのに対して、フィジカルAIは変化を前提に環境と相互作用しながら最適な振る舞いを導き出していく技術へと進化している。
海外ではフィジカルAIの活用が加速している一方、日本では安全性や運用面への慎重さから、実装事例は限定的だ。
同社は上野テクノセンターに本プロジェクトを推進する体制を整備して、今後、外部の先端技術や専門人材との連携も視野に、実証を迅速に進めていくという。
同社では今回の発表に際して、「本プロジェクトを通じて、単に働く人の役割をフィジカルAIに置き換えるのではなく、人の可能性をさらに広げる現場を作り出し、『人が中心にある』と考える企業として、働く人のウェルビーイング向上と持続可能なものづくりの実現に挑戦していきます」と述べている。
<上野テクノセンターについて>
1999年に操業が始まった上野テクノセンター(所在地:三重県伊賀市)では、ロート製薬の主力商品である「Vロートプレミアム」などの目薬をはじめとする一般用医薬品や、肌ラボ極潤ヒアルロン液などのスキンケア製品を生産、品質管理・物流の拠点となるマザー工場として機能している。2022年9月より新工場C棟が稼働開始するなど、CPSのさらなる活用に向けて検証が進められている。

構成/清水眞希







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