「ノートをキレイに仕上げたい」というニーズに応えたペールトーンカラー
カラーは全10色。ベーシックカラー5色(ピンク、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー)とペールトーンカラー5色(ペールピンク、ペールオレンジ、ペールグリーン、ペールブルー、ウォームグレー)となっている。
ペールトーンカラーの採用には、主なユーザーである中学生、高校生の間で「ノートをキレイ仕上げたい」というニーズもあった。このニーズの背景には、学校によってはノートの提出が求められることがあるが、いままでの定番色だと色が鮮やかでギラギラした仕上がりになりがち。「調査した結果からも、蛍光ペンに豊富なカラー展開を求めていることがわかったので、蛍光ペンのカラーに求めていることや流行のカラーを踏まえて決めました」と伴野氏は振り返る。
売れすぎて工場は連日フル稼働
出荷実績に占める国内の割合はほぼ50%。国内ではざっと500万本は出荷されていることになるが、初年度は300万本という計画だったことから、予想よりも早いペースで売れていることになる。『フリクションライト』よりも早く500万本を達成した。
「販売目標は1年目300万本、2年目500万程度と考えていました。受け入れられるかどうかわからなかった上に競合他社の商品に強いブランド力がありますので、短期間でこれだけ販売できるとは思いもしませんでした」
このように明かす伴野氏。「文房具屋さん大賞2025(主催:扶桑社、「文房具屋さん大賞」実行委員会)で大賞を受賞したり2025年度の「グッドデザイン賞」受賞したりしたことも、売れ行きに拍車をかけた。
販促は発売前から実施された。同社公式Xでニュース風のティザー動画を公開。発売と同時にインフルエンサーとSNSでコラボした企画や動画配信を行なった。ティザー動画で発売を予告したこともあり、店頭に並ぶ日を全国全チャネルで統一する全国一斉発売を、同社としては初めて実施したほどだった。
発売当初は、5本セット(ベーシック5本/ペールカラー5本)に柔軟性のある素材でつくられた「やわらか定規」をプラスしたものを数量限定で販売(現在は終了)。「やわらか定規」は好評で、「定規も売ってくれないか?」という問い合わせもあったほどだった。
発売後は大型店でのエンド(通路の端に設置された陳列棚)確保のみならず、100円均一ショップでの取り扱い開拓、ノベルティでの採用、OEM(相手先ブランド供給)やキャクターとのコラボなどに注力した。ノベルティの採用では学校などへの営業活動を展開。キャラクターとのコラボでは、サンスター文具にOEM供給したサンリオキャラクターや、同社から2025年9月に数量限定発売された『お文具といっしょ』との実績がある。キャラクターとのコラボについては現在、引き合いが増えてきている状況だという。
予想以上に売れたことで工場は生産に追われ、連日フル稼働の状況。休まず生産を続けているため、増産体制の構築も検討しなければならなくなっている。
海外での販売は現地の実情に合わせて対応
海外は国内発売と同時に出荷を開始。中国、韓国、シンガポールなどアジア11か国で販売されている。
「日本で受け入れられるものはアジア各国でも素直に受け入れられるようになってきました」と伴野氏。とくに中国の売上が大きいというが、海外での売上好調の要因として挙げられるのが、十分な在庫を確保していることにある。
「海外はすぐに補充できないので、十分な量を生産してから輸出するようにしています。補充ができないと店頭から商品が下げられてしまうので、十分な在庫を確保した上で新学期需要に合わせて一気に販売するなど、現地の事情に合わせて対応するようにしています」
このように語る伴野氏。中国の場合だと、学校が休みになる春節からずらして発売を開始した。
取材からわかった『KIRE-NA』のヒット要因3
1.ユーザーの満足度が高い
メインユーザーの学生を対象に、蛍光ペンの不満を調査。挙がった不満の中から上位にランクされた点の解消を目指して開発した。完成度の高い対策から「線がまっすぐ引けるようになった」などユーザーが好意的に評価。評価がSNSなどで拡散し、新たなユーザーの獲得につながった。
2.独自性の高い工夫で差別化
蛍光ペンに対する不満の解消は他社も取り組んでいるが、他社とは違うアプローチから解決法を模索。他社の蛍光ペンにはない「キチントガイド」の採用など独特の工夫は大きな差別化ポイントにもなり、打ち出すことで関心を惹くことができた。
3. 早期の認知獲得
発売開始と同時にSNSでインフルエンサーとコラボしたほか、発売前にティザー動画を公開するなど、早期の認知獲得に賭けた販促を展開。また、メディアで取り上げられる機会やグッドデザイン賞受賞など話題になることも多く、試してみたいと思わせることができた。
同社は蛍光ペン市場で国内シェア第3位だが、『KIRE-NA』の発売後、わずかだがシェアが上昇したという。最大のユーザーである学生の不満に寄り添い解決することができれば支持を集め、シェアを拡大するのも自然の成り行きだといえる。
製品情報
https://www.pilot.co.jp/promotion/kire-na/
取材・文/大沢裕司
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