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「パーソナルAIエージェント『SyncMe』を1000万ユーザー規模のプラットフォームサービスへ」ドコモ前田社長に聞くAI時代の次の一手

2026.03.11

NTTドコモは3月2日にパーソナルAIエージェント『SyncMe』を発表し、先行モニターの募集を開始した。同社ではこれまでにも『iコンシェル』や『my daiz』といった、ユーザーごとに最適化された情報を届けるサービスを提供してきたが、『SyncMe』はこれらと何が違うのか。『iコンシェル』の生みの親でもある、代表取締役社長の前田義晃氏に聞いた。

NTTドコモ代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者) 前田義晃氏

対話を通じて自律的に先回り、パーソナルAIエージェント『SyncMe』とは?

──パーソナルAIエージェント『SyncMe』を発表されましたが、その狙いを教えてください。

「お一人お一人のお客様に合わせたサービスを提供したい」という考えは、それこそ『iコンシェル』の頃からずっとあったものです。『iコンシェル』は私が中心になってやっていましたが、実は当時も「携帯電話は究極のパーソナルエージェントだ」という言い方をしていました。契約者属性として持っていたデータをもとに、「ここにお住まいでこの路線を使っているだろうから、電車が遅れたら通知しよう」ということをやっていたのですが、スマートフォンになってより多くのデータが揃うようになりました。それをAIで解析しながら、たとえば位置情報からお客様の趣味嗜好を測るといったアプローチをとったのが『my daiz』です。さらにdポイントの広がりで行動が可視化できるようになり、お客様を理解するためのデータの種類と量が飛躍的に増えました。これを活用してサービスをカスタマイズしたり、企業の活動の支援するということをやってきたところに、生成AIというタイミングがばっちり重なったという感じです。

私自身もチャッピーを壁打ちに使っていて、いつの間にか「前田社長」と呼ばれるようになったりしていますが、本当に自分のことをよく分かってくれているというレベルまでAIを学習させ、カスタマイズするには、相当な時間と手間がかかります。でも『SyncMe』なら、我々が持っているデータに加えて、いくつかの質問への回答から推測して、最初からお客様のことを理解したAIを使っていただける。自分のことを理解した上で知りたいことを先回りして教えてくれるとか、やりたいことを先回りしてやっておいてくれるといったことが可能になります。

たとえば「好きなアーティストが年に1~2公演しかライブをやらないので、そのチケットを絶対に逃したくない」という場合に、先回りしてチケット情報を調べてくれたり、「今すぐ買って」と言ったら買ってきてくれる。その時々に必要なAIエージェントが出てきて、お互いに連携しながらユーザーを先回りしてサポートしてくれる、そんな世界観を目指しています。

『SyncMe』はユーザーを理解した上で、対話を通じて自律的に先回りして最適な提案を行う、パーソナルAIエージェントサービス

──ユーザーに最も近いAIエージェントの座を巡って、今様々なプラットフォーマーが競っています。どう差別化しますか?

デジタルなプラットフォームの中で何が重要視されるか、価値として分かりやすいかというと、やはり顧客接点の大きさです。顧客接点がこれだけのスケールで存在していることと、これだけのスケールでお客様のデータを持っていること。どちらの方が価値としてわかりやすいかといえば、これまでは前者でした。ところがデータを顧客価値に転換できる仕組みが整ってきたことで、プラットフォーム自体の価値がデータによって深まり、その人にとって唯一無二のものになっていく可能性が顕在化してきました。そういう意味で今、価値の転換が起こっていると思います。

我々の強みはまさにここにありますが、それを一人占めをしようとは思っていません。AIエージェント同士が連携して物事をこなしていく世界観の中で、参画するパートナーをもっと増やしていく必要があると思っています。それがお客様にとっての価値になるからです。金融など様々な領域にサービスを広げていくと同時に、我々がやっていない領域のサービスもあるので、様々なビジネスパートナーがこのプラットフォームを活用して、サービスを提供できるようにしていきたい。そうやって広げていくことが差別化というか、社会に対して豊かさを提供することに繋がっていくのではないかと期待しています。

──『SyncMe』は今後、どのくらいの規模で展開されていくのでしょうか?

ポイントをやり始めた時もそうでしたが、通信のお客様だけに提供するサービスではありません。できれば、dポイントクラブ会員の皆様にお使いいただきたいというのが、野心的な目標としてはあります。一方で通信サービスをお使いいただいているからこそ、得られるデータもあります。よりお客様を理解した上で世界観を体現できる、より価値を提供できるということはあると思います。

通信に限らず、我々のサービスをたくさん使っていただいているお客様ほど、便利なサービスになると思うので、どんどん使って欲しいですし、そうじゃないお客様にも、使ってみるとこれだけ便利になる、楽しくなる、安心できるということが伝わるように、コミュニケーションを取っていきたい。その上で大半のお客さんが使っていますという状態を、作っていけたらいいなと思います。

土台となるネットワークもAIで進化

──具体的なユーザー数の目標や、ビジネスとしてどう展開していくのか教えてください

過去の例を踏まえると、まずは1000万といったレベルが目標になるかと思います。その上でビジネスとして持続的なものにしていかなければいけないので、先ほどお話しした通りプラットフォームとしても考えていきたいですし、BtoBのビジネスモデルも展開していきたいと思っています。

今は生成AIのエンジンにGeminiを使用していますが、これも新しくていいものができてくれば変わって行く。その際のコストをどうやって吸収するかということも、考えなければいけません。お客様からいくらか、料金をいただく可能性もあります。もちろんそのためには、お金を支払ってもいいというぐらいのクオリティのサービスになっている必要があります。1000万を目指したいと思っていますが、そういう様々な要因もあるので少し時間はかかるかもしれません。

──土台となるネットワークについても聞かせてください。2026年は衛星直接通信も開始予定ですが、どう取り組んでいきますか?

まずは全体としての品質を高めていくことに注力しています。特に都市部、それから動線となるところを強化していく。そのためには設備の増設を、それなりのボリュームでやり続けなければなりません。2026年も同様のペースでやっていくということは、すでにお伝えしている通りです。同時にお客様の体感値をいかに上げていくかということにも、取り組んでいます。

そのためにAIを活用して、お客様のネットワーク体験を評価・数値化する「CNX指標(Customer Network eXperience Index)」というものを導入しています。これは解約されたお客様の体感の度合いを評価基準として、同じような体感になっているお客様がどれぐらいいるのかを割り出したもの。悪い体感になっているお客様がどの基地局を利用しているかを見て、そういうお客様の多い基地局があれば、当たり前ですがそこを優先的に改善しなければいけません。基地局の整備には人的、物理的問題がどうしてもあるので、いかに優先順位をつけて取り組んでいくかが大切ですが、こうした指標を活用することでその精度をより高めることができます。

もちろんこれまでもネットワーク側からデータを見て、トラフィックを予測しながら問題の基地局を洗い出し、なるべく早く整備するということをやってきましたが、お客様の本当の体感レベルをAIで炙り出せるようになったことで効率性が上がっています。ベースの設備の増設に加えて、こうした指標の活用や自律的なネットワークのチューニングなど、品質向上をスピードアップできる要素が多くなっているので、2026年度はかなり期待できるんじゃないかなと思います。

──ネットワークをAIで強化しつつ、エージェントAIで新たなサービスを仕掛けていく。AIの両輪で進んで行くイメージでしょうか。

そうですね。今お話ししたみたいに、お客様の体感からAIでどこにどう手を打つかだったり。設備の悪いところを自動的にチューニングするという話もそうですし、コアの設定もAIでやることで圧倒的にスピードを早めることができます。さらに障害対応のオペレーションもフルAI化していくなど、全てをAIでやれるようになるところまで、持っていきたいと思っています。

これからネットワークの世代が5Gから6Gへと変わっていくタイミングになりますが、今すでにこれだけAIが入ってきていて、パラダイムシフトが進んでいる。お客様の体験を高めていくという意味でも、AIが大きな役割を果たすようになってきています。一方で効率性が上がれば、我々のビジネスもより持続性が保たれることになる。すごく面白い時代になってきているなと思います。

文/太田百合子

ネット黎明期よりWebディレクションやネット情報誌の立ち上げに携わる。以降PC、スマートフォンからウェアラブル、IoT機器まで、身近なデジタルガジェットと、それら通じて利用できるAI、サービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆。デジタルデバイドの解消に役立つ、わかりやすい記事を心がけている。

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