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災害発生時に推奨されている「在宅避難」、実際に準備すべきことは?

2026.03.04

多くの自治体では、災害時の在宅避難が推奨されている。もちろん、自宅が破損していず、避難場所として機能する前提だが、そのいくつかのメリットについては、この記事の前編でお伝えしている。

災害時、避難所へ行くべき?家にとどまるべき?知っておきたい「在宅避難」という考え方

災害時の在宅避難について考えておこう 多くの自治体では、災害時の在宅避難が推奨されている。もちろん、自宅が破損しておらず、避難場所として機能する前提だが、いくつ…

ライフライン復旧の目安からどんな用意、備蓄をするべきか

ここでは、そうしたライフラインの復旧の目安から、在宅避難時、どんなものを用意、備蓄しておけばいいかを、完全復旧までの時間が長い順番で紹介したい。

●ガス

ガスが使えないことで困るのは、炊飯煮炊き、湯沸かしなどで、主にキッチンのガスコンロとガス湯沸かし器による風呂が使えなくなることだ。しかし、キッチンのガスコンロは、カセットコンロとそれに使うカセットボンベの備蓄でまかなうことができる。カセットコンロには、アウトドア、屋外用の防風機能を持ったタイプもあり、庭やベランダなどで使用するのに適している。

キッチンのガス台は2口、3口のものが一般的だから、カセットコンロは万一の故障も考慮し、一般的なものと防風機能を持ったタイプのふたつを用意しておくといいだろう。調理と湯沸かしを2台のカセットコンロで同時に行うこともできるからである。もちろん、ガスボンベのストックも不可欠だ。カセットコンロ、カセットボンベの大手メーカー、イワタニのデータによれば、1週間、大人2人分で気温10度の場合、カセットボンベ9.1本。同、気温25度の場合6.3本という試算がある。

イワタニのHPより
イワタニのHPより

仮にガスの復旧が1か月だった場合、それぞれ36本、24本が必要になるものの、そこまでの備蓄は大変だろう。せめて、在宅避難においては2週間分、つまり寒い時期は18本、暖かい時期は12本を備蓄しているとまずは安心だ。2週間もたてば、カセットボンベを入手できる可能性もあるわけだ。もっとも、パウチ食品、カップ麺などの調理、湯沸かしはできても、お風呂は使えない・・・(ガスだけでなく上下水道が使えないため)。

なお、食事面では紙皿、割りばしなどはもちろん、ラップ、ポリエチレン手袋が不可欠。ラップはお皿などに敷いたり、スプーンにかぶせたりして使うことで、洗い物の必要がなくなり、ポリエチレン手袋があれば手を汚さずに(水で洗うことなく)家事ができるというわけだ。また、カップ麺をストックしているなら、残した汁はシンクから流せないため、固めてゴミとして捨てられる、100均で手に入る(4つで110円)残り汁の凝固剤も不可欠だ。

東日本大震災で被災したわが家は、およそ1か月以上、ガスは早期に復旧したものの、上下水道が使えず、お風呂は近隣のホテル、大きな被災を免れた知り合いの家でお世話になったのだが、そうしたことができにくい場合は、在宅のまま歯磨き、洗顔、体拭き、シャンプーをせざるを得なくなる。そこで用意しておきたいアイテムが、上水道が復旧するまで使える以下の「水なしシリーズ」。さすがに避難所でも用意していないアイテムたちと言えるかも知れない。

1. 口内ケア用品

2. ドライシャンプーシート

3. 洗顔シート

4. ボディペーパー

ペットボトルのミネラルウォーターは500mlボトルが基本。その理由とは

●水

上下水道が一か月も使えないとすれば、水のストックは不可欠。1人1日、3Lの水が必要と言われていて、4人家族であれば、1日、12Lの水が必要だ。内閣府による上下水道の完全復旧が30日とあるものの、360Lもの水を用意するのは、置き場を含めて非現実的。東日本大震災で被災した経験では、2週間後には近くの公園で自衛隊の給水車が水を配ってくれたことから、1人1日、3L×14日分=42L、わが家のように愛犬がいれば45Lは備蓄しておきたい。ここでのポイントは、500mlと2Lのペットボトルのミネラルウォーターを組み合わせること。というのは、断水時にコップを洗うことはできない。口をつけたコップを洗わずに使い続ければ食中毒の心配もある。また、暑い時期に停電していて冷蔵庫が使えないとすれば、使いかけのペットボトルを、衛生面を考え冷やすこともできない。そこですぐに飲み切れる500mlのペットボトルを飲料水として主に利用するのである。2Lのペットボトルは大量にお湯を沸かすときなどに使うといいだろう。ちなみにわが家では、賞味期限切れのミネラルウォーターがあれば、パウチ食品の湯煎に使うようにストックしてある。

●トイレ

断水でトイレが使えなくなることも、災害時では深刻な問題となる。3.11東日本大震災の際には、夕方には公衆トイレは汚物がたまり使用不可。近所の公園に仮設トイレが準備されたのは数日後のことだった。そこで在宅避難用として、自宅の便器が無事であっても、上下水道が使えなければ、トイレの便座に設置する非常用トイレは不可欠だ。人の1日のトイレ回数は平均5回とされ、4人家族であれば1日20回分、仮設トイレが利用できるまで1週間としても、最低、140回分が必要になる。いや、もっと必要になるかもしれない。わが家が準備しているのは、愛犬のお散歩でも使っている「うんちが臭わない袋」でも定評あるBOSSの「非常用トイレ100回分4点セット」×2で200回分+同50回分を備蓄している。その選択の理由は、愛犬の散歩でも利用している「うんちが臭わない袋」の防臭効果を知っているからで、「小」はもちろん、「大」にも対応してくれる防臭効果が期待できるからである。100回分の箱でもそれほどかさばらないので、ぜひ用意しておきたい。

自宅のトイレが損傷したとしてもポータブルトイレがあれば安心

さらに、自宅の便器が損壊してしまうことも想定し、ポータブルトイレもあったほうがいい。わが家ではセイワの折り畳み式の「IMP309 ポータブルトイレ」と、サンコーの家具調でコーナー&腰掛タイプ、普段は腰掛としても利用できる「ポータブルコーナートイレ」を用意している。

セイワのIMP309 ポータブルトイレ
サンコーのポータブルコーナートイレ

「IMP309 ポータブルトイレ」は折りたたんだままパッケージで保管しているが、「ポータブルコーナートイレ」のほうは廊下のコーナーに普段から据え置きし、いつでも使えるようにスタンバイ。中には付属の汚物袋10回分、凝固剤10回分のほか、BOSSの「非常用トイレ50回分4点セット」やアルコールジェル、ウェットティシュ、トイレットペーパーなどを入れてある。

もっと言えば、ポータブルトイレを家の中で使うことをためらうのであれば、一軒家の庭や集合住宅のベランダなどで使えるように、着替え用的なテントもあると完璧だろう。

いずれにしても、災害時の断水後、上水道が復旧してとしても、下水道が復旧しなければ水は流せず、トイレの排水などもってのほか。近隣に仮設トイレができたとしても、夜は利用しにくく、女性ならなおさら利用をためらうはずで、在宅避難ならではの非常用トイレやポータブルトイレの用意はマストと言っていいのである。排泄をためらい、水分を取らず、食事を控えるようになると、体調を崩しかねないからである。

●電気

ライフラインの復旧でもっとも早いとされる電気だが、復旧までは在宅中に家の中の明かりを灯すことはできない。そこで、玄関、トイレを始め、最低、1部屋に1つのLEDランタンライトの用意を薦めたい。生活に明かりが必要であることは当然として、災害時の停電中、部屋の暗闇の中を歩いて躓き(つまづき)、怪我をしたら大変だからである。わが家のLEDランタンは単3電池×3+USB充電式で、ストックしてある電池がなくなったとしても、クルマのUSBポートからも充電できるタイプである。夜の移動などで使うLED懐中電灯も家族の人数分、必要だろう。

停電時の暗闇の中での安全な動線確保にはセンサーフットライトが有効

その上で、わが家が設置しているのが、電池式の人感センサーフットライトだ。LEDランタンライトは据え置き用としているので、停電時の家内の移動の安全をはかるため、玄関、廊下、階段といった通路に設置している。電池式なのは、USBタイプでは停電時、充電ができないから。電池式なら、電池のストックが十分にあればOKというわけだ。わが家が使っている電池式の人感センサーフットライトは楽天市場やAmazonなどで3個1300~1500円程度のもので(楽天市場では3個1280円で送料無料だった)、単4電池3個が必要だが、フットライト6個+単4電池20本(実際に使用するのは18本)でも4000円以下で入手可能。予備の電池のストック20本を加えても5000円以下で停電時の足下の安全・安心が得られるというわけだ。設置のポイントは、真っ暗闇の中で、各部屋からの避難動線上を照らしてくれるか?という点だ。実際に試してみて、設置場所を、仮止め後、決めるといい。※普段の夜の足下の安心にもなる。

これで、在宅避難における電気、上下水道、ガス復旧までの間の安心が、多少なりとも得られることになる。もちろん、最低1週間分の食料の備蓄(ローリングストック)も欠かせず、最後は情報の入手方法として携帯ラジオ(電池式)、スマートフォンの充電のためのモバイルバッテリーやポータブル電源があれば、在宅避難での一応の準備、備蓄ができたことになるだろう。

もちろん、食料品の備蓄、ローリングストックもお忘れなく。

在宅避難×愛車の車中避難という合わせ技も考えておきたい

最後に、在宅避難×愛車の車中避難・・・という合わせ技にも注目だ。車内はエアコン、ラジオ、USBポートなどが備わり、涼むことも暖を取ることも、ラジオで情報を収集することも、スマートフォンを充電することもでき、車種によってはシートをフラット化して横になることも、電動車ならAC100V/1500Wコンセントを活用することも可能となる。在宅避難の第二の場所として、カーテンを使えばプライバシーが守られた電源付きの空間になりうることも覚えておきたい。

※イラストは日本財団沿い団の「イラストで学ぶ防災の知恵」より

文/青山尚暉(防災研究家)

プロミュージシャンからいきなり自動車専門誌の編集者を経験した後、モータージャーナリストに。新車試乗記や自動車関連コラム、防災記事などを幅広い媒体で執筆。クルマのパッケージング、洗車”オタク”でもある。また、ドッグライフプロデューサーとしても活動。愛犬とのドライブ術、ペットと泊まれる宿厳選紹介、ドッグフレンドリーカー選びについて多方面で情報発信中。著書に「ぼくたちの外車獲得宣言」(リヨン社刊)、「すごい海外旅行術」(講談社刊)、「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)など。輸入車の純正ペットアクセサリーの開発にも携わっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(1994年~。現在は小学館DIME推薦)。

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