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サンリオの株価が大幅に回復、中国人観光客が減少しても日本人客の増加で好調

2026.02.26

続落していたサンリオの株価が決算発表後に反発、急上昇しました。

中国人観光客の渡航制限に加え、アメリカと中国本土の需要減退が懸念され、2025年11月から株価は低迷していました。

2026年2月12日に発表した決算は投資家の懸念を良い意味で裏切った形。どのような内容になっているのでしょうか。

サンリオピューロランドや小学生のシールブームも増収を後押し

サンリオは決算発表と同時に今期の通期業績の上方修正を発表しました。売上高を従来予想比3.4%増の1906億円、営業利益を同7.0%増の751億円、純利益を同5.3%増の520億円にそれぞれ引き上げました。

予想通りに着地をすると、前期比で売上高は1.3倍、営業利益は1.5倍、純利益は1.2倍に増加するというもの。足元の好調ぶりが際立っています。

ただし、エリアごとに濃淡がある内容でした。

大きなウエイトを占める日本事業は、2025年4-12月の売上高が前年同期間比33.0%増の1096億円でした。

キャラクターグッズ販売においては「クロミ」と「マイメロディ」の人気が根強く、2025年11月に東京駅内にオープンした東京キャラクターストリート店、同年12月の原宿店の売上は計画を上回るほどの盛況ぶり。

小学生の間でブームを巻き起こしているシールも業績の伸長に一役買いました。シールは主にライセンス事業の収益に分類されますが、国内のサンリオ単体のライセンス事業の売上高はおよそ1.6倍に拡大しています。

懸念事項だった中国人観光客急減の影響があったのは事実。国内店舗における2025年10-12月のインバウンド比率は28.9%で、前年同期間比で10.1ポイント低下しました。しかし、同期間の国内店舗の購入客数は約270万人で、14.3%増加しています。

外国人観光客縮小を国内の顧客が補っており、来客数そのものは前年よりも増加しているのです。更に顧客単価も増えており、2店舗の新店オープン効果も後押し。2025年4-12月の国内の物販事業の売上高は36.3%の増収でした。

サンリオピューロランドも好調で、14.1%の増収。パーク内の限定商品販売などが寄与し、客単価が前年を上回っています。

中国では物販事業で獲得した顧客にライセンス商品を販売する体制を構築中

景気が停滞気味の中国もサンリオの売上は好調。2025年4-12月の売上高は237億円で、前年同期間のおよそ1.8倍に増加。中国では店舗ネットワークを強化し、物販事業が伸びています。

中国ではキャラクタービジネスが活況そのもの。史上空前とも言える日本のキャラクターブームが起こっており、ライセンス事業の貢献も大きくなっています。

2025年10-12月の売上高は84億円で、前年同期間比で1.6倍。前四半期比で13.9%増加しており、日中関係の冷え込みがサンリオのキャラクターグッズ販売に影響している様子はありません。

戦略も巧み。中国では会員基盤の構築を進めており、店舗で買い物をした顧客に対してCRM活動ができる体制の強化を図っています。CRMとは、顧客情報を一元管理してブランド価値を高めるための情報を流したり、新たなグッズの宣伝に用いたりする顧客基盤のこと。

これが整備されると、会員の関心をライセンス商品に向けることができます。ライセンス商品はサンリオにとって高利益率である一方、自社が扱う商品ではないために積極的なマーケティング活動を行うことができませんでした。

つまり、サンリオというブランドに関心が高い顧客に対して、利益率が高いライセンス商品の売り込みができるようになるのです。

物販事業とライセンス事業の垣根を壊し、収益性の高い新たなビジネスモデルを構築するというサンリオの優れた経営手腕を垣間見ることができます。

アメリカでは減収、ヨーロッパでは大躍進

北米はやや弱含み始めました。

2025年10-12月の北米の売上高は78億円で、前年同期間比7.1%の減少。アメリカは急速な物価高で景気の冷え込みが鮮明になっており、特に中所得者と低所得者の家計の負担感は高まっています。

サンリオのようなキャラクターグッズには逆風が吹いている状況。しかし、スターバックスコーヒーやマクドナルドなどとのライセンス案件を継続的に獲得しており、ライセンス事業は底堅く推移しています。

また、「クロミ」の人気を受けてロブロックス、クロックスなどと連携し、「クロミ」と親和性の高い1ヶ月のハロウィーンイベントを初めて実施。今後は毎年恒例のイベントとして育成する予定で、消費者へのブランド認知と浸透に余念がありません。

サンリオはアメリカでシェア10%の獲得を目指しています。基本戦略は変わっておらず、グローバルで約9400万フォロワーのSNSを活用し、ブランド価値の最大化を図っています。

北米は7%程度の減収でしたが、南米の売上は2.2倍に増加しており、米州全体では横ばいでした。新市場の開拓にも余念がありません。

ヨーロッパの2025年4-12月の売上高は80億円で、前年同期間の2.6倍に急拡大しています。

2026年1月にイタリアのメローニ首相が来日しましたが、その際に高市早苗首相が娘へのプレゼントとしてサンリオグッズを贈っています。岸田元首相もハローキティの日伊辞典を贈るなど、メローニ首相の娘のサンリオ好きは政治家や役人の間でもよく知られた話。

ヨーロッパでもサンリオの影響力は拡大しています。

店舗網を広げるのではなく、ブランド認知の拡大とライセンス展開が主軸。売上比率はまだ低く、拡大する潜在性はまだまだありそうに見えます。

文/不破聡

Author
大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融、経営戦略を中心とした記事を執筆中。得意分野は外食、ホテル、映画・ゲーム、エンターテインメント業界など。

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