物性を表したキャッチ「新しすぎてチョコレートとは呼べない」
同社は『生のときしっとりミルク』の発売前に、「生ねり製法」を使ってつくった商品のテスト販売を2回実施している。初回は2022年10月で、『やわらか水ガナッシュ』の商品名で販売。2回目は2023年5月で『MILKガナッシュ/DARKガナッシュ』の2種を販売している。柔らかい食感のチョコレートの需要、ミルク系、ダーク系のどちらが好まれるかをリサーチし、『生のときしっとりミルク』の商品仕様に反映した。
新商品は全販路全国発売を基本としている同社だが、話題性を喚起し注目してもらう観点から、販売エリアと販売数量を限定した上で、テレビやラジオ、ウェブ、SNS などを使い幅広くプロモーション活動を展開していくことにした。
SNSでは「やっと買えた」「買いたいけど見つけられない」といった声が拡散。本格的な仕上がりであることから30~50代あたりの女性をコアターゲットにしていたが、SNS上で情報が拡散したことから10代や20代も多く購入し、かなりのスピードで店頭から商品が消えていった。正直氏は次のように話す。
「若年層が反応してくれたのは想定外でした。自社のチョコレート製品と比べ男女問わず10代、20代が多く購入していることが確認されています」
商品に注目してもらう上で重要な役割を果たしているのが、「新しすぎてチョコレートとは呼べない」というキャッチコピー。水分量が規格に適合せずチョコレートに該当しない物性を表した。正直氏は次のように明かす。
「種類別名称で菓子になりチョコレートと謳えないことを逆手に取ったものです。広告会社と何度も議論を繰り返して決めましたが、お客様に興味を持ってもらえるキラーワードでしたので、前面に押し出していくことにしました」
全国発売に合わせパッケージデザインを変更
全国発売は当初、2026年度で考えていた。予定を前倒ししたのは、発売していなかったエリアからの要望が強かったためであった。「お客様からだけではなく、小売店からも『早く発売してほしい』という声をいただきました。ある程度話題化することができましたので、関係各所の協力を得ながら少しでも早く全経路全国発売することにしました」と正直氏は話す。
全国発売するに当たり、パッケージデザインを見直すことにした。商品を見る角度や店頭での置かれ方によっては、ブランドロゴが消えてしまうといった投稿がSNSで多く見られたことが主な理由だ。
最大の変更点はブランドロゴの位置。それまでは右側に配置していたが、中央に配置したチョコレートのシズル画像に上に移した。また、ブランドロゴの色も、変更前は背景色と同系統の色味だったのに対し金色に変更。チョコレートのシズル画像の上に金色のブランドロゴが乗るので、視認性は大幅に向上した。
取材からわかった『生のときしっとりミルク』のヒット要因3
1.興味・関心をかき立て続けられた
「新しすぎてチョコレートとは呼べない」というキャッチコピーを全面に押し出し、プロモーションで積極的に活用。これまで世の中に存在し得なかったものが登場したことを容易に想起させ、興味・関心がかき立てられた。
2.経験したことがない味わい
常温流通の商品でありながら柔らかく生っぽい食感を実現した一方、長い時間楽しめる濃厚さも併せ持つ。一般的なチョコレートにはない味わいで、新しい食体験ができる点が評価された。
3. 想定外のユーザー獲得
コアターゲットとしたユーザーは30~50代女性。価格面や生チョコレートの喫食経験などから設定したが、SNSで商品のクチコミが拡散したことで若年層が注目し買いに走った。想定外のユーザーが獲得できた形だ。
全国発売開始に伴って発売されることになった北海道、東北、中国、四国、九州エリアでは、とくにコンビニでの取り扱いが「異常」と言ってもいいほど好調に推移している。正直氏は「流通様からもお客様からも『早く出してくれ』『待ってました』みたいな反応があったのは、かなり久しぶりのことです」と明かす。
また黒須氏によれば、開発時に複数回実施した調査で、満足度のスコアが常に満点を記録したとのこと。「これは開発に携わって初めてのことです」と話す。
「生ねり製法」を活用した新商品も2026年度の発売を目標に検討が進められている。チョコレートのようでチョコレートではない商品が、これから菓子売場を賑わせてくれそうだ。
取材・文/大沢裕司
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