こんにちは。弁護士の林 孝匡です。宇宙イチわかりやすい法律解説を目指しています。
Aさん
「役職についてから残業代をもらえないんです……」
―― ほんとに残業代ゼロですか?
Aさん
「はい。役職手当なるものが5万円ほど支払われているのですが、残業代は出ません」
―― 裁判所さん、いかがですか?
裁判所
「この役職手当は残業代とはいえねー!」
「残業代90万円支払いなさい」
以下、わかりやすく解説します。
※ 実際の判決を基に構成
※ 判決の本質を損なわないようフランクな会話に変換
※ 争いを一部抜粋して簡略化
登場人物
▼ 会社
・新聞の発行などをする会社
▼ Aさん
・営業職および新聞記者
どんな事件か

「肩書きがついた途端、残業代がなくなったんです……」
Aさんは、平成11年に入社し、肩書きがつくまでは残業代がキチンと支払われていたのですが、肩書きがつくと残業代が支払われないようになりました。
代わりに支給されたのが【役職手当】です。
・役職手当
平成16年 主任 4万8300円
平成31年 主査 5万円
かなりの長時間労働に不満が爆発したのでしょう。Aさんは残業代の支払いを求めて提訴しました。
裁判所のジャッジ
裁判所
「役職手当は残業代とはいえない」
「Aさんに残業代90万円を払え」
会社はさまざまな反論をしたのですが撃沈しています。一部をご紹介します。
▼規定に書いてるじゃん
会社
「ちょっと待ってください!役職手当は残業代に該当します」
「給与規定にそう書いてあるじゃないですか」
裁判所
「給与規定に書けばいいってもんじゃありません」
「支給されている手当が残業代にあたるかどうかは、以下の事情を考慮して判断します。この判断手法は最高裁で確定しています(日本ケミカル事件:最高裁 H30.7.19)」
・雇用契約の記載内容
・会社から労働者に対する説明(手当や残業代について)
・実際の労働時間などの勤務状況..etc
裁判所
「会社の各種規定をみると、役職手当が当然に残業代の性質を有することは明らかとはいえない。給与規定の別の条項では〈役職手当は基準内賃金〉と書かれており、役職手当は残業代ではないと解釈できるからです」
というわけで、役職手当も基本給に組み込んだ上で残業代が計算されることになりました。ザックリ言えば【残業代=基本給×1.25】なので、役職手当が基本給に組み込まれることで残業代もアップするんです。







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