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「ホロライブ」の運営会社カバー、配信コンテンツ売上が伸び悩む一方でトレカ販売が売り上げを牽引

2026.02.19

VTuber「hololive(ホロライブ)」を運営するカバーの2025年9-12月の配信コンテンツ売上は、前年同期間と同等の25億円でした。この領域の売上は全体の2割程度であり、構成比率が高いものではありません。

しかし、日々のVTuberの活動から得られる収益源であり、プロダクションの人気のバロメーターとも言えるもの。大物VTuberの相次ぐ離反もあり、収益基盤に異変が起こっています。

会社全体では力強く成長しているが…

カバーの2025年4-12月の売上高は前年同期間比20.2%増の346億円でした。2割もの増収であり、高い成長率を維持しています。

今期は通期で21%の増収を計画中。足元の進捗率は7割を下回っているものの、ホロライブは今年3月に「hololive SUPER EXPO 2026 & hololive 7th fes.」という大型イベントを控えています。ここからの収入が大きく、2026年1-3月に業績が偏重しやすいという特徴があるために会社全体の成長スピードが鈍化している兆しはありません。

カバーの成長をけん引しているのが物販。2025年10-12月のマーチャンダイジングの売上高は66億円で、前年同期間比で21.9%も増加しました。ホロライブは2024年にトレーディングカードゲームの第1弾を発売し、これがヒットしました。トレーディングカードは拡張パックや新しいスタートデッキを発売することにより、中長期的な収益を確保できるという特徴があります。

トレーディングカードゲームを発売する前のカバーは、ライブやイベントへの依存度が高い収益構造をしていました。ホロライブファンの熱を高めるという意味では重要なビジネスであるものの、人件費や資材費の高騰によって利益が圧迫されるようになりました。

カバーは戦略的にマーチャンダイジングの売上比率を上げる取り組みを行い、見事トレーディングカードをヒットさせたのです。今ではそれが成長をけん引する存在になっています。

しかし、配信コンテンツの売上が伸びません。

10-12月の配信は年末があるために伸びやすい傾向にあります。2024年10-12月は前年同期間比で22.9%増加していました。前四半期比(2024年7-9月)でも14.7%の増加。

一方、2025年10-12月は前年同期間比でプラスマイナスゼロ、前四半期比で8.9%しか伸びていません。ホロライブによる配信コンテンツ売上の鈍化は鮮明になりました。

相次ぐ卒業でANYCOLORとの差が開く

決算月が異なるために単純比較はできないものの、競合である「にじさんじ」のANYCOLORは、2025年8-10月のライブストリーミングの売上が前年同期間比で11.3%増加しました。カバーの7-9月は同5.3%の増加。差が開いています。

ホロライブは湊あくあ、天音かなた、紫咲シオン、がうる・ぐらなどの人気VTuberが相次いで卒業しました。それが配信コンテンツの売上が伸び悩んでいる主要因になっているのは間違いないでしょう。

「天音かなた」卒業の衝撃、人員拡充を急ぐカバーはマネジメント体制を立て直せるか?

相次ぐ「ホロライブプロダクション」からのタレントの卒業で、運営会社カバーの経営課題が浮き彫りになってきました。今期は増収営業増益を予想しているものの、上期は2割…

また、ホロライブに所属する一部VTuberの炎上騒ぎが起こるなど、SNSではマネジメント体制を懸念する声も上がっています。

そうした課題を払拭するため、カバーは人事制度と組織体制の見直し、タレントサポートの強化を図る経営構造改革を進めています。2025年12月末時点の従業員数は743人で、1年で91人も増加しました。

カバーは21.0%もの増収を計画する一方で、営業利益は2.5%の増加を予想しています。利益の伸びを抑えている要因の一つに、この体制拡充があります。つまり、利益を犠牲にしてもマネジメント体制を強化するという強い意気込みが隠されているのです。

従業員数は今期に入って700人台で高止まりしました。組織固めを盤石なものにし、来期以降は特に人気VTuberを育てて成長に弾みをつけなければなりません。

配信コンテンツ売上が踊り場にさしかかっているからです。

在庫の評価損が利益を押し下げる要因に…

カバーの決算発表では在庫に関する気がかりな言及がありました。「2023-2024のSKU拡大期に生産した過去商品を中心として、市場環境の変化に伴い、一部商品に関する需給バランスの変動が生じている」というのです。

これは、過去に製造した商品の在庫が滞留していることを示唆するもの。

実はカバーは上半期において、5.5億円もの在庫の評価減を行っていました。つまり、時間の経過などとともに売れなくなった在庫品の帳簿上の価値を見直したということ。市場に見合うよう価値を引き下げたのです。

今回の発表は、その際に処理しきれなかった在庫があることを示唆しています。

4期生の天音かなたが卒業したのは2025年12月27日。卒業してグッズが売れなくなれば、在庫は滞留します。それが影響している可能性は高いでしょう。人気VTuberの卒業は配信コンテンツ売上が伸び悩む以外の副作用があるのです。そしてその影響は大きく、一時的に利益を大きく押し下げる要因となります。

かつて在庫の評価損で、業績が急悪化した会社といえばYouTuberマネジメント事務所のUUUM。2023年5月期に多額の在庫の評価損を計上し、この期に10億円を超える純損失を出しました。

UUUMは赤字に陥る前から、ショート動画の台頭によって動画配信による収入が伸び悩んでいました。従来のビジネスモデルに限界がきたこともあり、急いでP2C(インフルエンサーが独自ブランドの商品やサービスを販売すること)へと舵を切ったことで一部の在庫が滞留。評価損を計上するという道を辿りました。UUUMは、動画配信からの収入という収益基盤が崩れることの経営リスクを如実に見せつけたのです。

カバーの配信コンテンツ売上の伸び悩みは、外部要因(市場の変化)によるものではありません。人気VTuberが卒業するという内部要因が大部分を占めています。それはコントロールできるものであり、いち早く改善することを多くのファンが待ち望んでいるでしょう。

文/不破聡

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大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融、経営戦略を中心とした記事を執筆中。得意分野は外食、ホテル、映画・ゲーム、エンターテインメント業界など。

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