物価高の影響もあってか、ふりかけ市場はここ数年絶賛拡大中だという。
経済的で手軽にご飯のおともとして活躍するふりかけは、定番から大人向け、贅沢素材を使った高級品まで多種多様。今、最注目されている。
中でも一際異彩を放っているのが、ロングセラーの赤しそふりかけ『ゆかり』を始めとする「人のお名前のようなシリーズ」が人気の三島食品だ。
2026年、新たな男の子は「ひでき」
三島食品株式会社広報の長井さんはその人気ぶりをこう話す。
「弊社の商品の中でも 「人のお名前のようなシリーズ」はSNS等で好意的に受け入れられていることもあり、発売ごとに売上が予測を上回る出荷となっています」
その筆頭とも言える「ゆかり」は、1970年の発売以来、日本人の意識に刻み込まれるかのよう食卓を席巻。同社売上高の約3割を「ゆかり」シリーズが占めているとか。
その後も、「かおり」「あかり」を発売し、2020年以降は「うめこ」「ひろし」「かつお」「しげき」と新商品が次々誕生。「人のお名前のようなシリーズ」は、ふりかけ界の大家族として君臨している。
そして2026年、新たな男の子が現れた。「ひでき」だ。
「人のお名前のようなシリーズ」が贈る、新進気鋭の混ぜごはんの素。懐かしい80年代のスーパーアイドル感のあるネーミングにSNSが湧いた。
だが、なぜ「ひでき」だったのか?
「実は以前から「ひでき」を商品名に推すお客様の声が多くありましたが、その時はイメージできる食材が思いつきませんでした。時が流れ、ある日、ひじきごはんの素の商品名を考えていたとき、何気なく「ひでき」の文字を首を右に45度傾けて眺めたところ、「で」の中に「じ」という文字が隠れていることを偶然発見。これって「ひじき」が入ってる!?と思い、今回「ひでき」に決めた次第です」
ちなみに「ひでき」は、ひじきを醤油や昆布エキスなどでバランスよく味付けした、コクと香り豊かな混ぜごはんの素。ひじきに関係しているとは思っていたが、あまりにも意外すぎた。ただ、味は本物。
「長年、業務用の商品として販売している「ひじきごはんの素」のノウハウを活かし、アレルギー表示対象28品目に含まれる「ごま」を配合しない新設計のもと開発しました。ごはんに混ぜ込んだ際に、ひじきに付けた調味料だけで全体にコクと香り豊かな味わいが広がる点が特長です」
「ゆかり」に始まり、「かおり」「ひろし」「うめこ」「かつお」に続き、新作は「ひでき」。
韻を踏むような3文字ネーミングへのこだわりも強い。
「最初に発売した「ゆかり」が誕生したきっかけは、スーパー等の店頭に商品が並んでいるときに「ひらがな3文字」だとお子様からお年寄りの方まで読みやすく響きがやさしい、という理由で決定したと聞いています」
「以降、ひらがな3文字にこだわるようになりました。たとえば「広島菜」の混ぜごはんの素「ひろし」は前年に発売した「うめこ」に続く商品のため、女性名の「ひろこ」で決まっていたのですが、社長にはしっくりこなかったようで原材料の広島菜(ひろしまな)から取って「ひろし」に。社員はかなり驚きましたが笑」
「でも、そのおかげで初の男性名ということもあり「ひろし」は大ヒット。一方、3種の青菜(大根葉、京菜、わさび葉)を刺激の強いわさび味に仕上げた「しげき」は会議で試食し、満場一致で商品名が決まりました」
実は、「ひでき」以外にも一つ、謎の商品名がある。ピリ辛たらこふりかけの「あかり」。食材と商品名、なんの関係性もないように思えるが…
「以前弊社では、ホッとする我が家の「灯り」をイメージして「あかり」と名付られた惣菜店を行っておりました。しかし、事業撤退することになりその名前を受け継いだ形です」
広告にお金をかけなくてもヒットを飛ばす方法
ふりかけの超定番とも言える「ゆかり」。発売当初は業務用がメインで学校の給食用に納品することが多かったとか。
そんな「ゆかり」は原材料にも相当こだわっている。なんと、20年もの歳月をかけ独自開発した赤しそを使っているという。
「使用しているオリジナルの赤しその品種「豊香」は20年かけて品種改良したもので、「ゆかり」の一部に使用しています」
「そもそも赤しそは露地栽培では夏にしか収穫できませんが、年間を通して安定した収穫が可能なビニールハウスでの水耕栽培の研究にも取り組んでいます」
年間に使用する赤しそは約3000トン。食品として日本で最も赤しそを使っているのは三島食品ということになるかもしれない。
そして、自社栽培しているのは赤しそだけではない。
「弊社商品「青のり」に使用している「すじ青のり」は近年地球温暖化等の影響で収穫量が激減することもあり、安定供給と品質維持を目的に陸上養殖を行っています。より良い原料調達を目指して自社栽培・養殖にも取り組んでいます」
そんな、日本の食卓に欠かせない存在を生んだ三島食品だが、驚くべき事実がある。
それは、広告宣伝費が限りなくゼロだということ。「CMにお金をかけるぐらいなら、より良い原料を使う」というのがモットーだとか。
「弊社では創業者からの会社方針としまして、より良い原材料を仕入れるための費用に重点をおくため、費用の発生する取材および広告宣伝やプロモーションをできるだけ控えさせていただいています」
にもかかわらず、「人のお名前のようなシリーズ」のふりかけは発売ごとに予測を上回る出荷となり、業績は好調。広告に頼らなくても人気を維持できている理由は何なのか?
「大変ありがたいことに「人のお名前のようなシリーズ」に限っては新商品が発売されると既売のシリーズ品もファミリー枠として一緒に並べていただけるケースが多くみられます」
「これが、複数の既売商品を再度お客様にご紹介できる機会となり、味、使い勝手、値頃感が評価されればリピート購入に繋がります。この点は「人のお名前のようなシリーズ」特有の商品の動き。好調を維持できている一つの要因と考えています」
さらに、スーパー等と協力して行う「メイン食材販売支援プログラム」の取り組みも売上UPに繋がっているという。
「ふりかけやご飯の素はシンプルな原材料のみを用いているため素材に近い商品が多く、汎用性が高いんです、そのため、ご飯のお供としてだけでなく、調味料として肉や魚、野菜といった料理での用途もアピールしており、少しずつ認知されてきていると感じています」
ふりかけ以外の活用術を提案することで自社のメリットはもちろん、スーパーの生鮮食品の売上にも貢献できる取り組みだ。
たとえ大々的にCMを打たなくても、広告に予算をつぎ込まなくても、ヒットする術がここにある。気づけばSNSで話題になる。他社からのコラボ依頼も絶えない。時代に則したアクションが広告代わりになる。
三島食品には愛され力があるのかもしれない。周囲を巻き込みながら笑顔と幸せを広く浸透させていく。
これから、三島食品が目指すもの、挑戦したいこととは?
「「人のお名前のようなシリーズ」に関しては新商品発売のたびに様々な商品名のご提案をいただきます。そんなお声も大切にしながらご期待に添える素材が見つかり、美味しい中身が完成し、商品名でも喜んでいただけそうなものがあれば商品化にチャレンジしたいと思います」
※「ゆかり」「かおり」「あかり」「うめこ」「ひろし」「しげき」「ひでき」は三島食品株式会社の登録商標です。
取材協力
三島食品株式会社
三島食品Instagram @mishima_foods
三島食品公式X @yukarifan
文/太田ポーシャ







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