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累計出荷数250万本を突破!のどの乾燥感を軽減する「森永ラクトフェリン200 ドリンクタイプ」がヒットした背景

2026.02.20

■連載/ヒット商品開発秘話

冬はのどの調子を悪くしがち。体調管理に神経を使うが、のどの乾燥感を軽減する機能性表示食品が現在、多くの関心を集めている。森永乳業が2025年10月に発売した『森永ラクトフェリン200 ドリンクタイプ』(以下、ラクトフェリン200)のことで、すでに累計出荷本数が250万本を突破している。

『ラクトフェリン200』は機能関与成分として、pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)の働きを助け、健康な人の免疫機能の維持に役立つ機能や、空気の乾燥に伴う一時的なのどの乾燥感を軽減する機能があることが報告されている「ラクトフェリン」を200mg配合した免疫サポート飲料。1本で免疫機能の維持とのどの乾燥感を軽減する。日本で初めて、のどの乾燥感軽減に関する機能性をパッケージ上で表示している(先行技術調査およびMintel GNPD[ミンテル世界新商品データベース]を活用した森永乳業調べ。2025年4月)。

2025年10月に発売された『森永ラクトフェリン200 ドリンクタイプ』。内容量は1本100gで、すっきりとした甘さと口当たりで毎日続けやすい味わいとなっている

免疫以外の新たな価値の提供

機能性関与成分の「ラクトフェリン」は、人などの哺乳類の乳や涙、唾液などに含まれるたんぱく質。中でも母乳、特に初乳に多く含まれていることがわかっている。同社は1960年代初頭からラクトフェリンの研究を開始。ビフィズス菌の研究よりも長い歴史を持っている。

ラクトフェリンの粉末。森永乳業は1989年から、ドイツの子会社でラクトフェリンの大規模製造を開始。製造量は現在世界一を誇る

商品への活用は以前から『ラクトフェリンヨーグルト』(現、森永ラクトフェリン100)などに採用されているが、『ラクトフェリン200』が開発された背景にあったのが、免疫ケアに対する関心の高さ。免疫対策市場の規模は1200億円ほどあるといわれている。

「機能性ヨーグルトの中でも免疫ケア関するものは非常によく売れています。免疫は日々の健康から切り離せないものであることから、当社では以前から免疫機能の維持につなげられるものの提供を考えていました」

このように話すのは、事業マーケティング部ヨーグルト・デザート事業部 アシスタントマネージャーの飯吉奨氏。免疫サポート商品を開発・販売するに当たり着目したのが、ラクトフェリンであった。

森永乳業
事業マーケティング部ヨーグルト・デザート事業部
アシスタントマネージャー 飯吉奨氏

ラクトフェリンの活用は、研究成果の蓄積を生かす観点から模索された。基礎研究から、ラクトフェリンが免疫の司令塔であるpDCを活性化すること、ラクトフェリンがpDCを活性化することでpDC の下流の免疫細胞を幅広く活性化すること、ラクトフェリンの摂取が免疫機能を維持すること、といった免疫に関する働きが確認されている。

ラクトフェリンが健康な人の免疫機能を維持するメカニズム。免疫の司令塔であるpDCの働きをラクトフェリンが助け、免疫細胞全体の活性を高めると考えられている。pDCにはラクトフェリンを取り込む仕組みが備わっている

『ラクトフェリン100』には100mgのラクトフェリンが配合されているが、200mgと増量することにしたのは免疫機能で機能性表示食品としてのエビデンスを得るためであった。

ただ、免疫機能の維持を目的とした乳製品はすでに、強いブランド力を持った商品が登場している。同社がこのカテゴリーで存在感を発揮するには、免疫機能の維持以外にも新たな価値をプラスする必要があった。

新たな価値として何が提供できるかを考えた時に着目したのが、ラクトフェリンに保湿作用があることが考えられるという外部機関の研究成果だった。ドライアイの人の涙とドライマウスの人の唾液はラクトフェリンが少ないという研究論文が発表されている。同じく外部機関の研究から、唾液内のムチン(粘膜の保湿、保護、潤滑などを担う高分子糖タンパク質)と複合体を形成し、水分を保持する働きがあると報告されている。

以上のことから、同社はラクトフェリンにはのどを保湿する力があると仮定し臨床試験を実施。その結果、ラクトフェリンを摂取することでのどの乾燥感が軽減されることが確認できた。この研究成果は、2023年9月18日に科学雑誌『Nutrients』の掲載されている。

発酵乳ではなく乳製品乳酸菌飲料にしたワケ

ヨーグルトに使うことも考えられるが、ドリンクで商品化することにしたのは、ドリンクの方が摂取を習慣化しやすいからであった。飯吉氏は次のように話す。

「1回飲めば治る薬ではないないので、摂取をある程度習慣化することが必要です。お客様の負担になることなく摂取の習慣化がしやすい種類が、ドリンクでした」

また、『ラクトフェリン100』が発酵乳なのに対し、『ラクトフェリン200』は飲み続けやすくするために乳製品乳酸菌飲料とすることにした。ただ、発酵乳ではなく乳製品乳酸菌飲料にすることに対し、社内では疑問を呈する向きもあった。そのことについて飯吉氏は次のように話す。

「長年愛されている『ラクトフェリン100』は多くのファンがいますので、これからも大切にしていかなければなりません。『ラクトフェリン200』で新たなお客様を獲得することを考えた場合、『ラクトフェリン100』の味が好きな方以外のお客様にもスッキリとした味わいで毎日美味しく飲める味わい、風味とし、これまで『ラクトフェリン100』を飲んだり食べたりしたことがない人にも手を伸ばしてもらうことが重要でした」

開発する上で何よりも大変だったのが、商品をどのように訴求するか、どのように見せるかであった。ビフィズス菌などと比べるとラクトフェリンは知名度が高いとは言えないためであった。

商品の見せ方で重要になるパッケージデザインは、乳製品であることを訴求せず機能を強調し、味のイメージも湧きにくいチャレンジングなもの。デザインの意図を飯吉氏は次のように話す。

「免疫とのどに効きそうで洗練されたイメージをお客様に伝えたいという明確な思いがありました。風味や味わいなどはお客様とのコミュニケーションの中で伝えていくことにしました」

機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を消費者庁長官に届け出、受理されることで商品パッケージに機能性を表示できるがが、『ラクトフェリン200』のパッケージデザインに表示している機能性はこれまで同社が手がけてきた表示と比べて、消費者庁に受理されるまで長期化した。のどの乾燥感軽減という機能性がこれまでなかったこと、免疫機能に関する機能性表示が他社含め約2年受理されておらず、必要なロジック(根拠、事実)の把握に時間を要したことなどが主な理由だ。

ラクトフェリン含有食品を4週間摂取した人と、ラクトフェリンを含まないプラセボを4週間摂取した人のpDC活性指標(CD86)の比較。前者の方が摂取後のpDC活性指標が高い。ラクトフェリンがpDCの働きを助け、免疫機能を健康な状態に維持していることが確認できた
空気の乾燥に伴う健康な人の一時的なのどの乾燥感の比較。ラクトフェリン含有食品を摂取した人とラクトフェリンを含まないプラセボを摂取した人で比べると、前者の方が摂取後の乾燥感が低く抑えられ、一時的なのどの乾燥感を軽減できていることが確認できている

全国規模でマネキンの試飲販売を展開

同社は『ラクトフェリン200』の発売後に、イメージキャラクターに女優の江口のりこさんを起用したテレビCMを流し始める。CMは「のどにバリア」をキーメッセージとし、味や風味には言及せずどのような商品であるかを伝えることに振り切った。テレビCMの放映と同じタイミングで店頭に商品を並べることも徹底。気づいてもらうためにテレビCMと連動したPOPを設置するなど、地道な店頭販促を展開していった。

味わいや風味の訴求については、マネキン(宣伝販売員)による試飲販売で伝えていくことにした。マネキンによる試飲販売は全国規模で展開しており、飯吉氏も10月末頃に店頭に立った。例年よりインフルエンザの流行が早く始まったこと、のどのイガイガが気になってくる頃だったこと、食品でのどの乾燥感軽減を訴求する珍しさから、関心を持ってくれた人が多かったという。

飯吉によれば、味や風味を伝えるためにまず実施したことがマネキンによる試飲販売だった。その理由を次のように話す。

「これまで、発売後すぐに無料サンプリングやキャンペーンを実施することはありましたが、無料で差し上げるとターゲットとしている人以外の方からも多数応募いただきます。これはメリットでもありますが、本来手に取っていただきたいお客様に届かない懸念もあります。届けたいお客様にきちんと商品を届けるには、直接商品を紹介して飲んでもらうことが一番。地道で時間も手間もかかるマネキンによる試飲販売をまず実施することがベストだと判断しました」

マネキンによる試飲販売と並行し、機能関与成分であるラクトフェリンそのもののPRも商品とは別に実施。森永乳業といえばラクトフェリンというイメージを広く一般的に浸透させたいことから、ラクトフェリンが持っている機能、研究の歩みや成果、商品では直接訴求できないより詳細かつ具体的な機能などの情報を発信している。

「素材戦略を担っている部門が、ラクトフェリンの機能などを伝えることをしています。その目的は、ラクトフェリンの価値を伝えるためです」と飯吉氏。商品そのものの価値とラクトフェリンの価値をそれぞれ訴求していった。

取材からわかった『森永ラクトフェリン200 ドリンクタイプ』のヒット要因3

1.免疫プラスαの強み

免疫機能に働きかけて健康の維持に役立つことを訴求した乳製品が人気を集めている中、免疫のほかにのどの乾燥感軽減も訴求。競合品にはない機能性も持っていることで、市場で埋没することなく存在感を発揮することができている。

2.体感しやすい機能性

免疫に働きかける機能性は、効果の有無の判断が風邪やインフルエンザにかからなかったかどうかで決める人が多く実感しづらい。しかし、のどの乾燥感軽減は、効果の有無がわかりやすい。機能を体感しやすいところが免疫機能に働きかけるもののみの機能性表示食品とは異なった。

3.届けたい人に届けられている

認知拡大のためテレビCMやキャンペーン、サンプリングは実施するものの、マネキンによる試飲販売も全国規模で実施。時間と手間がかかる地道な販促活動に注力しているが、その分、高い関心や興味を持っている人や必要としている人に届けやすい側面があった。

冬まっただ中で体調を崩しやすい時だが、同社のお客様相談室には「孫に送ってやりたいんだけど……」といった内容の問い合わせが寄せられることがあるとのこと。健康管理に神経を尖らせるこの時季、『ラクトフェリン200』を渡せば、「体に気をつけて」という心遣いが伝わってくるというものである。

ブランドサイト

取材・文/大沢裕司

Author
月刊誌の編集者を経て2005年からフリーランスライターとして活動。以来、企業取材に(ほぼ)特化し、雑誌、ウェブメディアへの寄稿のほか、ブックライティングも手掛ける。主な取材テーマはものづくり関すること全般と中小企業の経営。著書に『高すぎ! 安すぎ!? モノの値段事典』(ポプラ社)、『バカ売れ法則大全』(共著、SBクリエイティブ)などがある。

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