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「ロッテリア」が「ゼッテリア」に!買収したゼンショーが目論む勝利の方程式

2026.02.12

ゼンショーホールディングスは、全国の「ロッテリア」を閉店し、今年3月をめどに「ゼッテリア」へと転換する方針であると報じられました。

ゼンショーがロッテリアを買収したのは2023年4月。M&Aはブランドを取得する意味合いも強く、今回のように全店のブランドを一新することは異例。

どのような狙いがあるのでしょうか?

競合に比べてファンが少ないロッテリアブランド

ロッテリアは全店ゼッテリアに

ロッテリアの店舗数は2023年1月時点で358でした。しかし、2025年4月時点では243まで減少しています。かつてロッテリアの店舗数はバーガーキングを上回っていましたが、現在では抜かれて5位の座にいます。ゼンショー主導で徹底的に店舗の整理を行ったのです。

実は「ロッテリア」というブランドは、ハンバーガーチェーンにおいて競合他社を打ち負かす突出した優位性を持っていたわけではありません。

日経クロストレンドはハンバーガーチェーンの顧客幸福度を調査しています(日経クロストレンド「新指標「顧客幸福度」ランキング2025」)。それによると、ロッテリアの顧客幸福度は52.9で、モスバーガー、ケンタッキーフライドチキン、マクドナルドの4ブランドの中で最下位。モスバーガーの64.9に大きく引き離されています。

さらにロッテリアの満足度は5.6。他4ブランドはすべて6を超えています。

コアファンとファンの割合は、ロッテリアが12.9%なのに対し、モスバーガーは32.6%、ケンタッキーフライドチキンは33.2%。店舗数で競合と圧倒的な差をつけるマクドナルドでさえも20.8%あります。

ロッテリアはファンが少なく、満足度も低いブランドなのです。ブランドを残してリニューアルを図るよりも、「ゼッテリア」という新たなブランドで再スタートを切る方が合理的であると判断したのでしょう。

「ゼッテリア」のライバルは「フレッシュネスバーガー」か?

ブランド力が弱い飲食店が、他店よりも価格を下げて集客力をつけ、シェアを高めるのはよくあるやり方でした。

かつて、ケンタッキーフライドチキンが「500円ランチ」を打ち出し、ハンバーガーのシェア獲得に動いて成功した事例はよく知られています。お手頃価格のランチ戦略によって、晴れの日に食べるフライドチキンという消費者認知から脱し、日常的に使うハンバーガーショップというブランドを確立したのです。

ゼンショーの場合、牛丼店やその他の飲食店を多数持っているため、仕入力や物流ネットワークが強く、ロッテリアの店舗運営コストを下げる潜在性を持っています。

しかし、低価格戦略という半ば常識化していた飲食店の攻め方は、デフレ時代の産物となりました。

ゼンショーは「すき家」の値上げを2023年から続けて行ってきました。その成果は営業利益率によく表れており、2%台から6%台へと急上昇しています。物価高で消費者の飲食店の利用頻度が下がる中、飲食店の戦い方は高単価・高付加価値へとシフトしたのです。

ハンバーガーチェーンではその傾向が特に顕著。マクドナルドが強気の値上げを進めたことで、各ブランドは値上げがしやすい環境になったからです。

モスバーガーも2021年から段階的に値上げを実施。運営会社のモスフードサービスは2期連続の増収、営業増益で業績は好調です。

ロッテリアも高単価になりつつあります。

「絶品チーズバーガー」440円

ロッテリアの「絶品ビーフバーガー」は420円で、「絶品チーズバーガー」が440円。一方、「モスバーガー」は470円で、「モスチーズバーガー」が510円。両社の主力商品の価格差は小さくなっていました。足元でファンが少ないロッテリアには不利な状況なのです。

そこで、ゼッテリアへの看板替えを狙ったのでしょう。ゼッテリアの「絶品ビーフバーガー」は540円、「絶品チーズバーガー」は590円です。商品名は同じですが、ゼッテリアのハンバーガーの質は大きく変化しており、付加価値の高い商品設計になっています。

バーガーキングの「ワッパー」は590円で、「ワッパーチーズ」は690円。ゼッテリアの価格帯は、モスバーガーとバーガーキングのちょうど真ん中にあり、差別化を図っています。価格帯や店内の雰囲気はフレッシュネスバーガーと近く、年齢層がやや高いビジネスパーソンを主要なターゲットとしている印象があります。ロッテリアの主要顧客だったファミリー、学生から軸をずらしました。

インフレ時代の飲食店の価値筋は?

ハンバーガーチェーンは競争が激しくなっています。

2025年11月に香港系の投資ファンドが、バーガーキングの日本法人をアメリカの金融大手ゴールドマン・サックスに売却。2028年度に売上高を現状の3倍超となる1200億円に引き上げる計画を立てています。

ケンタッキーフライドチキンの日本KFCホールディングスは、アメリカの投資ファンド大手カーライル・グループの支援を受けて2024年に非上場化しました。

バーガーキングとケンタッキーフライドチキンが上場を視野に入れているのは間違いなく、店舗網を拡大するでしょう。

そうした中、ゼンショーはロッテリアをゼッテリアへと塗り変えるという妙手を繰り出しました。買収直後にゼッテリア1号店を早々とオープンしていましたが、今回の戦略は連結する前から青写真を描いていたのでしょう。

ゼッテリアのフェアバーガーは、商品によってセット価格が1000円を上回ります。高単価で商品を出せるのも商品開発力があってこそのもの。ゼンショーの力が試される局面と見て間違いないでしょう。

文/不破聡

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大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融、経営戦略を中心とした記事を執筆中。得意分野は外食、ホテル、映画・ゲーム、エンターテインメント業界など。

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