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「起業=ゼロイチ」はもう古い?会社は「創る」より「引き継ぐ」が正解である理由

2026.02.13

【事例2】「地域の宝」を守りたい。公務員のから創業90年の老舗サイダー屋の4代目に

■市役所職員が「第二の人生」に選んだのはM&A

広島県尾道市(向島)で90年以上愛され続けてきた「後藤鉱泉所」。一本ずつ手作りされる瓶詰めのサイダーやラムネは、地元住民や観光客から「幻のサイダー」として親しまれる地域のシンボルだ。

この老舗のバトンを受け取ったのは、広島県の自治体の公務員。定年後のセカンドキャリアとして会社を経営したいと考えていたが、公務員として務めたご経験を通して「街の特性を活かした地域活性化に関わりたい」という強い想いをお持ちでした。毎日M&Aプラットフォームをチェックすることを習慣にしており、その中で後藤鉱泉所がオーナーの高齢化を理由に後継者を募集していることを知る。地元で知名度があることは以前から知っており、このまま廃業してしまうのはもったいないと思い、後継者になる決意をした。

※炭酸飲料を製造する引き継いだ森本さん

■「味」だけでなく「店が築いた文化」を引き継ぐ

未経験からの挑戦であったが、お店に通い詰め先代から炭酸飲料の製造技術を学んだ。老舗の味を守りつつグッズの販売を開始するなどのブランディングにも取り組み、さらに地元の名産品を使用した新商品の開発にも着手した。ビンの再利用は昔から行っているが、今や環境への配慮が当たり前のものとなっている。地域の発展だけではなくSGDsへの貢献、インターネットを活用した販路拡大に取り組んでいる。

※店舗で提供するサイダーの瓶はその場で返却が必要

■「ゼロから」では到達できない、90年の歴史が持つ重み

現在は「4代目」として、創業当時から変わらない1本1本手作りするスタイルを守り続けている。一から飲料メーカーを立ち上げ、90年続くブランドを築くには膨大な時間が必要だが、M&Aであればその「歴史そのもの」を初日から自分のものとしてスタートできる。

※「後藤鉱泉所」の商品群

【小売や飲食のM&Aのポイント】

バトンズコンサルタント 宮原 弘樹

小売や飲食のような店舗ビジネスは、会社ごと引き継ぐのではなく、店舗単位で引き継ぐ「事業譲渡」になることが多いのが特徴です。ここで一番のハードルになるのが、契約関係の手続きです。

物件の賃貸契約やスタッフの雇用契約は、自動継続ではなく「すべて結び直し」になります。大家さんの承諾や許認可の取り直しも必要なので、引き渡しまでは最低でも1ヶ月はかかると想定しておくと良いでしょう。

また「屋号(店名)」を継続して利用する場合も注意が必要です。前の持ち主の販売した商品や提供したサービスに対するクレーム等まで引き継いでしまう法的リスクがあります。これを避けるには「免責登記」という手続きが必要なので、司法書士などに必ず相談するようにしてください。さらに、ECサイトのアカウントも引き継げるのか(運営者による事前審査が必要となる場合があります)、飲食店の衛生管理責任者の確保など漏れがないよう、M&A専門家と一緒にリストアップすると良いでしょう。

取材協力/株式会社バトンズ(M&A・事業承継支援)

構成/DIME編集部

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