裁判所のジャッジ
Xさんらの勝訴です。
―― 裁判官さん、ポイントはどこにあるのでしょう?
裁判官
「年俸のことを就業規則に書いていなかった。これに尽きますね」
「今回のケースは社員さんが同意しなかったから会社が一方的に年俸を下げたケースですよね。下げたけりゃ手続きなどをキチンと就業規則に定めておかないと」
正しくは
年俸額決定のための成果・ 業績評価基準、年俸額決定手続、減額の限界の有無、 不服申立手続等が制度化されて就業規則等に明示され、かつ、その内容が公正な場合に限り、使用者に評価決定権がある
裁判官
「この会社ではたしかに20年以上も年俸制を実施していますが、就業規則や給与規則に年俸制に関する規定は全くないんですよ。会社が地裁に提出した書面の中でもそのことを認めてますから」
「そうなると、減額は無理です」
―― 会社さん、不服なようですが……この際ブッちゃけましょう!
会社
「裁判官、ちょっと待ってくださいよ。年俸額を下げるために合意が必要だとしたら、社員がわざと交渉に応じないことで年俸の減額から逃げ回れるじゃないですか」
裁判所
「だーかーらー!」
「就業規則に定めてれば良かったじゃん。労働基準監督署から『定めなさいよ』ってお叱りを受けたのに期限を過ぎても定めなかったよね。それから数年経っても定めてないじゃん。こんな状況なんだから、おたくが不利益を被っても仕方ないですよ」
会社
「Xさんたちは年俸交渉そのものを拒否してるんですよ。こんなXさんたちが『合意していない』と主張することは信義則違反だと思います!」
裁判所
「違うね。たしかにXさんたちが公益法人の組織運営などに不満を持って提示額に応じる姿勢は見せなかったけど、年俸交渉自体は拒んでないじゃん。その後、1年10か月近く、おたくからXさんらに対して『交渉しよう』と持ちかけることもしていない。
あとさ、何回も言ってるんだ!け!ど!おたくが就業規則に定めなかったからこんなトラブルになってるんでしょ!ほかもろもろ考慮すると、信義則違反とは言えないですね。サイナラ」
とういわけで、年俸減額は無効となり、裁判所は「下がる前の年俸を払え」と命じました。
さいごに

Q.もし就業規則に定めがあった場合は、年俸減額を受け入れるしかないんでしょうか?
いや、戦える可能性あはります。「これで減額ってムチャやろ!(=裁量権を逸脱している)」と戦える可能性があるんです。たとえば以下のようなケースです。
・査定に使われた基準が公正性・客観性に乏しい
・手続き違反がある
・差別的な査定が行われた
今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。コンテンツ作成が専門の弁護士です。
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