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なぜ今、ホラーが空前のブームなのか?仕掛け人・株式会社闇が語る「恐怖」のアップデート

2026.02.07

なぜ若者は今、ホラーに惹かれるのか。

短尺動画の一瞬の恐怖、心霊スポット配信の疑似体験、「実話」を装った不穏な語り──Z世代を中心に、ホラーは再び〝観るもの〟から〝体験するもの〟へと変わり、カルチャーの前線に浮上している。

その渦中で、没入型演出やホラーとテクノロジーを融合した「ホラテク」で新たな恐怖体験を生み出してきたのが「株式会社闇」だ。

今回は同社創業者・頓花聖太郎さんに話を伺い、現代社会におけるホラーの価値を紐解いていく。

令和はホラーを共有して楽しむ時代

近年、若者を中心としたホラーブームは、とどまるところを知らない。YouTubeに目を向ければ、心霊スポットを訪れるコンテンツが高い人気を集めるなど、ホラーは現代的なメディア環境に適応しながら広がりを見せている。

2024年夏より開催された行方不明展は累計16万人を動員した

なかでも、ホラー作家・梨と株式会社 闇、テレビ東京プロデューサー・大森時生が企画した2024年「行方不明展」や、同メンバーによる2025年「恐怖心展」は大きな話題を呼び、いずれも盛況のうちに幕を閉じた。

こうした動向を踏まえると、現在の若者たちのあいだで高まり続けるホラー需要は、どのような背景のもとに生まれているのだろうか。

「いろいろな要因があると思いますが、まず大きいのは配信文化やYouTubeの存在です。これまでホラーの楽しみ方といえば、映画館に行くか、お化け屋敷に行くかといったように、体験のスタイルがある程度固定されていました。でも最近では、配信を見ながらみんなでホラーゲームを楽しんだり、ウォッチパーティーで同時に映画を観たりと、『ホラーを共有する』文化が生まれてきた。その変化はかなり大きいと感じています。

また、ひと昔前はお化け屋敷に行っても『怖がらないことが偉い』といった価値観が強かったように思いますが、今のお客さんを見ていると、積極的に怖がること自体を楽しんでいる人が増えている印象があります。

配信者の方々も、恐怖に耐えるというより、リアクションを大きく取りながらホラーを楽しんでいますよね。「ホラーって、こんなに驚いて騒いでもいいんだ」という楽しみ方が表面化されたことも、大きな変化だったと思います。

現在では、悲鳴をあげる人を見るのが楽しい、怖がっている人を見るのが楽しい、あるいは一緒に怖がること自体が楽しい。そうした感情の共有が、配信文化を通じて強く生まれるようになりました。これはホラーに限った話ではありませんが、とりわけホラーは『同じ気持ちを共有する』ことと非常に相性のいいジャンルです。

配信文化の広がりによって、ホラーは『一人で味わうもの』から『みんなで体験するもの』へと変わっていった。ここは、今のホラーブームを考えるうえで欠かせないポイントだと思っています」

その一方で、20年前のホラーと現在のホラーはまったく異なる形へと変化してきており、ホラーそのものの捉え方も大きく変わってきていると頓花さんは語る。なかでも顕著なのが、突然驚かせる〝ジャンプスケア〟という表現に対する受け止め方の変化だ。近年では、この〝ジャンプスケア〟を好まない人が多くなっているという。

「最近は、いきなり驚かせる怖さよりも、不穏な空気や違和感が少しずつ積み重なっていくホラーを楽しむ人が増えてきた印象があります。そうした感覚を重視する作品が支持され、この手法のホラー自体が一つのカルチャーとして盛り上がってきているように思います。

テレビ東京プロデューサー・大森時生氏が手掛けるフェイクドキュメンタリーの例

その背景として大きいのが、フェイクドキュメンタリー文脈の広がりだと思っています。フェイクドキュメンタリーという手法自体は新しいものではなくて、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』がヒットした2000年前後から使われていて、もう25年近く続いている表現なんですよね。

最近ではフェイクドキュメンタリー「Q」チームや大森時生さんをはじめ、フェイクドキュメンタリーの文脈でホラーを表現する方々に、スポットライトが当たっています。

そういう作品の中だと、〝ジャンプスケア〟はどうしても作為が見えてしまって、現実から少し切り離された表現に感じられてしまう。だからこそ今は、即物的に驚かせる怖さよりも、現実と地続きに感じられる不安や違和感のほうが、より求められるようになってきているんじゃないかなと思います」

フェイクドキュメンタリーの文脈では、〝ジャンプスケア〟に頼らず、不穏さそのものをリアリティとして味わうホラーが求められる。いま支持されているのは、フィクションでありながらも「本当かもしれない」と感じさせるフェイクを、ドキュメンタリーの手法で描く表現だという。

さらに近年は、配信を通じて不安や違和感を〝同時に体験する〟楽しみ方が広がり、ホラーはイベントとして共有されるものへと変化している。瞬間的な驚きではなく、不穏な空気を皆で味わう感覚こそが、令和のホラーの楽しみ方の特徴と言えるだろう。

「株式会社闇」が紡ぐ、〝恐怖心〟

あらゆる〝行方不明〟をテーマにした『行方不明展』は、東京・名古屋・大阪を巡回し、累計約16万人を動員した。また、昨年東京で開催された『恐怖心展』も約13万人が来場するなど、ホラーが「自ら足を運んで体験するもの」として広く支持されていることがうかがえる。

さらに、東京で大きな反響を呼んだ『恐怖心展』は、大阪でも3月27日から開催が決定しており、再び注目を集めることになりそうだ。同展では、人が日常のなかで抱くさまざまな〝恐怖心〟に焦点を当てた展示が展開されている。

展示でも〝恐怖〟の捉え方は体験者に委ねられている

「面白いのが、〝恐怖心〟は人によってまったく種類が違うという点なんです。多様な恐怖心を展示することで、単に苦手なものや嫌いなものとして分類するのではなく、『何を怖いと感じるか』を通して自分を捉え直すことができる。そう考えると、より個人の輪郭がはっきりと表れてくる感覚があります。

ある人にとっては強い恐怖でも、別の人にとってはまったく怖くない。そうした受け取り方の違いが自然に生まれる構造を意識しています。来場者それぞれの感じ方によって、展示の楽しみ方が変わっていく。その多様さ自体を楽しんでもらえたらと思っています」

生理的な恐れや不安といった〝不合理な恐怖心〟は、自分の中で整理できたつもりでも、実はまだ向き合えていないことが多い。

自分自身が忘れていた、あるいは無視していた〝恐怖心〟と向き合える点も、本展の大きな魅力だ。

「他にも〝恐怖心〟の中には〝概念そのものが怖い〟と感じる人もいて、実は僕自身もその一人なんです。たとえば〝無限〟という概念は、考えるだけでどうしても苦手で。

当事者にとっては切実な恐怖なのに、他人から見ると『何それ、面白いね』と受け取られてしまうこともある。そうしたズレも含めて、恐怖心が持つ多面性を体験として浮かび上がらせる構造にしています

ホラー×テクノロジーで広がる新しいホラーのかたち

ホラーエンターテインメントを通して、世界中の人々の好奇心を満たす。株式会社闇が手がけるホラーは、実にさまざまなかたちで表現されている。

展示をはじめ、大型テーマパークなどの企画・館内映像の制作、さらにウェブライター・覆面作家の雨穴氏と株式会社フリューとタッグを組んだ「変なプリ」など、その実績は多岐にわたる。

そして、株式会社闇が新しいホラーを生み出すうえで、テクノロジーの要素は欠かせない。
では今後、ホラーテクノロジーを通じて、若い世代にどのようなホラーの体験価値を届けていきたいのだろうか。

「僕はよくホラーをお笑いに例えるんですが、お笑いにも漫才、コント、シュールなど、さまざまなスタイルがありますよね。人によって好みが違うように、ホラーにも本来、たくさんの表現や楽しみ方があるはずなんです。

だからこそ、一つの型にはまったホラーではなく、もっと幅広いホラーの楽しみ方があるということを伝えていきたい。その思いが、まず一番大きな軸としてあります。

その中で、特に可能性を感じているのが、『みんなで楽しむ』『感覚を共有する』というホラーの楽しみ方です。これはホラーとの相性がいいだけでなく、テクノロジーとも非常に相性がいい。だからこそ、そこをもっと深掘りしていきたいと考えています」

そのなかでも、AIを活用した「10秒AIホラーチャレンジ」は、新しいホラー体験のかたちとして広がりを見せた。

昨年開催された本企画は、「動画生成AIで、日本一怖い10秒間を作ってみませんか?」をテーマにしたコンテスト形式で、生成AIを用いて制作した10秒間のホラー動画をX上で募集。投稿作品の中には、米OpenAIの最新動画生成AI「Sora 2」を使用した投稿ものも多く見られ、大きな反響を呼んだ。

恐怖を一方的に受け取るのではなく、自ら作り、共有するという体験を提示した「10秒AIホラーチャレンジ」は、まさにホラーが参加型へと広がっている現在の潮流を象徴する取り組みと言えるだろう。

「これからは、僕たちが一方的にホラーを〝作る〟だけではなく、『一緒にホラーを作る』『あなた自身がホラーを作る』という体験も、楽しみ方の一つになっていくのではないかと思っています。


例えば、怪談を聞くのは楽しいけれど、怪談を作るのはハードルが高いと感じる人も多い。

でも、文章を書いたことがない人や、怖い話を思いつけない人でも、AIがサポートすることで『自分だけの怖い話』を作れるようになる。そうした体験は、これから確実に増えていくはずです。

闇としても、そうした方向性を突き進めていくことで、ホラーとしても、テクノロジーとしても、より面白いものが生まれるのではないかと考えています」

ホラーは、もはや一方的に与えられるものではない。共有され、語られ、ときに創り手へと開かれていく体験へと変わりつつある。

ホラーとテクノロジーを掛け合わせ、「怖さ」を設計してきた株式会社闇の取り組みは、まさにそうした変化を象徴する存在だ。

〝怖い〟という感情の価値を問い直しながら、ホラーは今、次のフェーズへと踏み出している。

取材・文/Tajimax

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