飲んでないのに酔っぱらう?その原因は腸のまれな病気の可能性
お酒を全く飲んでいないのに酔ったようになることがあるとしたら、それは「自家醸造症候群」という、腸内細菌が関与している珍しい病気のせいかもしれない。この病気の発症メカニズムの一端を解明した、米マサチューセッツ総合病院マス・ジェネラル・ブリガムのElizabeth Hohmann氏らの研究結果が、「Nature Microbiology」に1月8日掲載された。
食品中の炭水化物が消化の過程で腸内細菌の働きを受けると、ごくわずかなアルコール(エタノール)が生成されることがある。このような反応は誰にでも起こり得るが、生成されるエタノールは微量であるため酔うようなことはない。ところが、エタノールが大量に生成されてしまう自家醸造症候群という非常にまれな疾患があり、その患者は一切飲酒をしていないにもかかわらず酔いを呈することがある。
論文の共同責任著者の1人であるHohmann氏は、「この疾患は誤解されやすく、検査法や治療法もほとんどない。しかしわれわれの研究からは、糞便移植により治療できる可能性が示された」と話している。実際、糞便移植を受けた1人の患者は、移植後に症状が改善したという。同氏は、「この病気の原因となる腸内細菌を特定し、その細菌がエタノールを発生するメカニズムを明らかにすることが、診断・治療戦略の確立と患者の生活の質(QOL)向上につながるだろう」とも述べている。
研究者によると、自家醸造症候群は確かにまれではあるものの、これまでに考えられてきたほど希少ではない可能性があるという。米クリーブランド・クリニックの研究によれば、これまでの症例報告は100件に満たないが、この疾患の認知度が低いため、患者および医師も飲酒せずとも酔うという現象を認識できず、診断されていない患者が存在すると考えられるとのことだ。
Hohmann氏らは、自家醸造症候群の患者(22人)と、その患者と同居している健康な人(21人)、および患者と同居していない健康な人(22人)を対象とする研究を行った。論文には、この研究参加者数は自家醸造症候群に関する研究として、これまでで最大の規模だと記されている。
各群の便を採取して、エタノールをどのくらい生成するかを比較したところ、患者の症状が悪化した時に採取した便は、他群に比べて有意に多くのエタノールを生成することが分かった。この結果は、便検体を用いる検査によって、自家醸造症候群を診断できる可能性を示していると、研究者らは考えている。さらに、便検体の分析により、大腸菌やクレブシエラ菌といった一般的な細菌を含むいくつかの細菌が、この疾患の発症に関係していることが示された。
また、抗菌薬を複数回服用後に自家醸造症候群を発症した男性に対する、糞便移植による治療も試みられた。健康なドナーから採取した腸内細菌が含まれているカプセルを服用してもらったところ、その後3カ月間は症状が現れず、さらに2度目の糞便移植後には16カ月以上にわたり症状のない状態が続いた。
著者らは、「現時点で自家醸造症候群に対するコンセンサスや標準的な治療法はなく、この衰弱性疾患を持つ患者は、残念ながら診断の遅延やQOLの著しい低下を経験し、家族的・社会的・法的に困難な状況に陥ることが多い」と、本研究の背景や現状の課題を述べている。(HealthDay News 2026年1月16日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nature.com/articles/s41564-025-02225-y
Press Release
https://www.massgeneralbrigham.org/en/about/newsroom/press-releases/auto-brewery-syndrome
構成/DIME編集部
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