サッポロビールが、ビールの副産物から作ったデニムがある。
これは、サッポロビールが2022年から製造しているアップサイクルジーンズで、現在販売されている「黒ラベル Malt & Hops Series BLACK DENIM JEANS」(54,780円/税込)。
これまで度々、数量限定で販売されており、かつては30本限定で抽選販売を行ったところ、約1600件の応募という大きな反響があり、話題に。もちろん、現在販売中のジーンズも残りわずかになるほど人気だという。
なぜ日本を代表するビールメーカーがジーンズを作ったのか?
主に動物の飼料や畑の肥料として再利用されているビールの副産物をパウダー化し、生地へと生まれ変わらせた画期的な逸品。
しかし何故、日本を代表するビールメーカーがジーンズ製作を始めたのか?
今回、サッポロビール株式会社ビール&RTD事業部 サッポロブランドグループ 黒ラベルブランドマネージャーの黒柳真莉子(くろやなぎまりこ)さんに話を聞いた。
――ジーンズを作ろうと思ったきっかけから教えてください
「麦汁を絞った後に残るモルトフィードやホップ収穫時に出る茎や葉は、これまで動物の飼料や畑の肥料として活用されてきました。しかし、ビール好きの方々がより身近に触れられる形にできないかと考えたことが、今回の取り組みを始めるきっかけになりました」
――そもそもなぜ「ビールからジーンズ」だったのでしょうか?
「上記のような課題意識を抱えていた折、さとうきびを搾汁した後に残る搾りカス「バガス」を有効活用し、デニム生地へと再生するSHIMA DENIM WORKS社の取り組みを知りました。その技術に共感し、「黒ラベルでも同じように布製品をつくれないか」と相談したことが、今回のプロダクト開発の出発点です」
「デニムは履き込むほどに色や風合いが変化し、使い手の生活そのものを映し出していく素材です。その“変化を楽しむ”特性は、黒ラベルが掲げる「ビールを通じた自己表現」という理想とも高い親和性があります」
「使うほどに持ち主のパーソナリティと重なり合い、日々に寄り添っていく——。そのプロセスこそが、私たちが魅力を感じたポイントでした」
さとうきびのデニム製品加工で知られる沖縄のSHIMA DENIM WORKS社の技術を駆使し、ビールの副産物をパウダー化。それを岐阜県美濃市で「紙の糸」和紙糸に加工し、広島県福山市の「ジーンズソムリエ」で布に仕上げ、地元の熟練の職人が手作りでジーンズを作り上げているという。
そんな、サッポロビールが生んだジーンズは他のジーンズとは何が違うのか?
「ビールの副産物を一度“紙の糸”へと加工し、それを織り込んでデニム生地を作っているので紙糸ならではの独特の光沢感が大きな特徴です。さらに経年とともにわずかに黄味や茶味が帯びてくるなど、ユニークな変化を楽しめる点も魅力です」
さらに、こんなこだわりもある。
「履き込むほどに美しく色落ちすることにこだわり、長く使うほど経年変化を楽しみ、自分らしいライフスタイルが刻まれていくような設計にしています。また、革パッチやドーナツボタン、ビスネームといった、一目見ただけでは気付かないようなところにも黒ラベルらしさを散りばめています」
ビールという商材の枠を超えたアイテム展開へ
かねてより、サッポログループは「サステナビリティ重点課題」を設定し、さまざまな取り組みを行ってきた。
昨年には環境保全応援缶のサッポロ生ビール黒ラベル「愛三岐 海と川環境保全応援缶」を始め、「瀬戸内海環境保全応援缶」、「沖縄環境保全応援缶」を数量・エリア限定で販売。
これは、日本財団が推進する海洋ごみ対策プロジェクトの一環として行われたもの。
売上1本につき1円を愛知県の環境保全基金へ寄付し、『これ以上、海にごみを出さない』という社会全体のムーブメントを起こすことを目標とした取り組みだ。
また、紙使用量を従来品よりも約13%削減した6缶パック資材を使用した「サッポロ生ビール黒ラベル エコパック」をテスト販売。紙使用量の削減によるCO2排出量削減にも努めてきた。
「サッポログループはサステナビリティ方針「大地と、ともに、原点から、笑顔づくりを。」のもとに、サステナビリティ重点課題に対する目標達成に向けて取り組みを進め、「持続可能な社会の実現」と「グループの持続的な成長」の両立を目指しています」(黒柳さん)
そして、ビール製造で出る副産物を活用したジーンズ以外にも“地球にやさしい“さまざまなアイテムを生み出している。現在、CLUB黒ラベルの会員制サイトで購入できるものがこちら。
【Malt & Hops Series デニムエプロン】
沖縄のデニムブランド”SHIMA DENIM WORKS”とのコラボレーションアイテム。
「BlackとIndigoの2色を展開し、胸元には黒ラベルのシンボルマークをあしらった特製パッチを配置しています。ジーンズを思わせるステッチワークやポケットの形状による“ワークウエアらしさ”に加え、タオルリングなど実用的なディテールも備えています。スマートフォンが収まるポケットなど、日常使いでも活躍する機能性を追求した一品です」
【黒ラベル Malt&Hops Series Golf Tee】
こちらは、100%生分解素材を使用したプラスチック不使用のゴルフティー。
「着色料を使わず、ビールの仕込みで生まれる“モルトフィード本来の色味”をそのまま活かしているのが特徴です。プレー中に紛失しやすいゴルフティーですが、生分解性素材を採用しているため、土に還る環境配慮型のアイテムに仕上げました」
どれも、デザイン性と機能性、そしてシンプルな美しさを追求したアイテムばかり。ビールの副産物から生まれたとは想像できないほどの逸品だが、副産物の再利用で気づいたことがあるという。
「黒ラベルをお客様の身近な自己表現と結びつけられたことは、何より大きな成果でした。また、それがあくまでビールという商品の“副産物”として生まれている点こそが、ビールを愛するお客様との距離を縮めるアイデアになっていると考えています」
今後も新たなアイテムは誕生するのか?ビール好きとしては期待したいところ。
「現在は、Maison MIHARA YASUHIRO(メゾン ミハラヤスヒロ)のシューズブランド“General Scale.とコラボレーションしたスニーカーを限定販売中ですが、今後はビールへの関心が低いお客様との新たな接点としても機能させていきたいと考えています」
「ビールという商材の枠を超えてアパレルグッズなどより身近に黒ラベルの世界観に触れていただけるようなアイテムの展開を検討しています」
取材協力
サッポロビール株式会社「サッポロ生ビール黒ラベル THE SHOP」
文/太田ポーシャ
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