円安や国内外の政治情勢の緊張感で2026年も先行きが見通しにくいが、ビジネスパーソンにとって気になる転職市場はどうなっていくのか。
パーソルキャリアが運営する転職サービス『doda(デューダ)』が『転職市場予測2026上半期』を公開したが、それによれば2026年上半期(1月~6月)の転職市場予測は、2040年問題を見据えた採用の強化やデジタル人材のニーズ拡大などを受けて好調だという。
人材獲得と2040年問題が転職市場をけん引
『デューダ』は、2026年上半期の転職市場全体における求人について15分野(7業種、8職種)のうち、9分野が増加で4分野が好調を維持すると予測している。多くの分野で求人が増加・好調を維持する背景には、次のような要因があるという。
・人材獲得競争の激化と2040年問題
少子高齢化や産業構造の転換、若者の仕事に対する価値観の変化などを背景に慢性的な労働力不足が生じており、企業の人材獲得競争は激化している。
さらに1971年から1974年頃に生まれた団塊ジュニア世代が定年退職を迎えるので、さらに労働力不足が深刻化する「2040年問題」に備えて中長期的な人材確保に取り組む企業も増えている。そこでは将来のマネジメント層候補や専門人材の採用を強化する傾向があるという。
・生産性向上を目指して実務レベルでのAI活用・DXが本格化する
多くの企業で生成AIの活用やDXが実務レベルまで進展しており、IT・通信、電気・機械、メディカル、金融など幅広い分野でデジタル人材のニーズが増える見込みだ。プログラミングやAI開発といった直接的なデジタルスキルを持つ人材だけでなく、AIやITツールを活用して業務効率化や生産性向上に貢献できる人材も重要視されている。
「AIを活用した業務効率化を企画・実行できる」や「DXプロジェクトをマネジメントした経験がある」といったAIやITを駆使して業務改善を推進できる人材ニーズは今後も高まると予想される。
2026年上半期は人的資本経営の促進もカギ
最近、注目を集めている「人的資本経営」を積極的に推進する企業は、教育制度や育成機会の充実、育児休業を取得しやすい環境整備など多様な取り組みを進めている。ひとつには、賃金アップ・評価制度の改定など待遇改善がある。
採用強化と定着率向上の両面から、社内制度の見直しや社員満足度を高める動きが広がっており、賃金のベースアップで“給与を理由に離職する人”を減らす取り組みが進んでいるという。年功序列から成果を重視する評価制度に再設計して、年齢に関係なく成果に応じた評価を行う仕組みや職種ごとに適した評価体系へ移行するケースや福利厚生の充実と社員の育成に力を入れる企業も増えている。
社員満足度の向上を目的とした取り組みは、働く環境や社員のケアにも広がっており、ハラスメント対策・メンタルヘルス対策の強化、健康経営の推進などにも注目が集まっている。オンライン研修の拡充や学習費用補助、キャリア形成支援などの社員のスキルアップを支援する施策も活発化しており、AI活用が進む中でITリテラシー向上を目的とした研修を設ける企業もある。
一方でコロナ禍に広がったリモートワークは縮小傾向だ。出社頻度を増やす、あるいは完全出社へ戻すなど、働き方を再び見直す動きも進んでいる。働き方の多様化自体は進んでおり、男性育休の推進やフレックスタイム制、時差出勤、転勤なし勤務など柔軟な働き方の環境も整備されつつある。
さらに入社後のミスマッチを防ぐ目的で、内定者に対して「条件面談」を実施する企業も増加しており、入社前に希望する働き方や制度が確認しやすくなったことで、企業と個人が互いに納得したうえで入社できる環境が整いつつある。企業の働きやすい環境作りは、転職市場の好調を支える要因にもなりそうだ。
出典:転職サービス『doda』
『転職市場予測2026上半期』
構成/KUMU







DIME MAGAZINE













