■連載/ヒット商品開発秘話
スペースを取らないスリムなポット型の自動調理家電が各社から発売されている。材料を投入しモードを選択してスタートすれば、スープや豆乳、おかゆなどを自動でつくってくれることから人気を集めているが、中でも現在、売れ行き好調なのが、シロカが2024年11月に発売した『おうちシェフBLENDER』。発売から約1年で国内累計出荷台数が5万台を突破している。
『おうちシェフBLENDER』はヒーター機能付きブレンダー。ヒーターと独自の断熱構造により、一台で熱々のスープも冷たいスムージーもつくることができる。
独自形状の8枚刃で冷凍した野菜やフルーツを粉砕
構想から発売までに3年を要した『おうちシェフ BLENDER』は、幅広い世代、幅広いライフスタイルに合うことを目指して開発された。
「子育てをしていても仕事を持っていて忙しかったり、高齢者でも活発に行動されたりする方が増えてきましたので、こうした人たちの食事面で、時短、手軽さ、健康をサポートできる製品を開発しようとすることになりました」
このように話すのは、プロダクトマネジメント部 プロダクトマネジメントグループ リーダーの三幣(さんぺい)由美さん。構想当初からヒーターの搭載は考えていたという。温かい料理をつくる場合、鍋に移し替えてガスで温める手間がなくなるほか、調理中は放ったらかしておけるので他のことができるからだ。
料理によっては投入した材料を粉砕しなければならないものもあるので、粉砕力も求められる。粉砕力に大きく関与する刃は8枚刃な上に1枚1枚に角度がつけられているという凝ったものを採用することにした。三幣さんは次のように明かす。
「冷凍野菜やザク切りにした生野菜をそのまま調理できる粉砕力を確保することにしました。冷凍されたものが粉砕できれば生のものは楽に粉砕できるはずなので、刃のサイズや形状の検討を重ねました」
開発当初から8枚刃で検討。冷凍野菜や冷凍フルーツでスムージーを数えきれないほどつくり検証した。
一体構造から上下2分割構造への変更
『おうちシェフ BLENDER』は、構想当時から現在の形状がイメージできていたわけではなかった。検証して一番使い勝手が良かったと判断したのが、現在の形状であった。
当初は上下一体構造だった。しかし2023年末頃に、現在採用されている上下2分割構造への変更を決めた。
「一体構造は結構重くなってしまいます。普段から頻繁に使っていただきたかったので、重いととくに女性には使いづらいです。それに、洗う時に取り回しづらくなります」
上下2分割構造を採用することにした理由をこのように明かす三幣さん。当初の上下一体型は、重さが空の状態でも約2.4kgあり、三幣さんやレシピを開発する調理担当は検証のたびに筋トレしている感覚だったというほど。「使いづらい」「取り回しづらい」と思うのは無理もなかった。
新生活が始まるのに合わせ、2024年春の発売を目指して開発を進めていたが、構造を変更すると間に合わなくなることから、発売は秋に延期。その分、機能や使い勝手をつくり込むことにし、商品の完成度を高めることにした。
上下2分割構造を採用することで細心の注意を払ったところに、断熱がある。下段の操作部にモーターが収まっているが、断熱対策をしていないと冷たいものをつくる時にモーターの熱が伝わってしまい、生ぬるいものができてしまう。
そこで、上段のポットと接触する下段の上面に断熱素材を配置。これにより、冷たいものの調理時にモーターの熱が食材に伝わりづらくした。
安全対策も上下2分割構造を採用したことで強く意識したところだった。吹きこぼれ防止のためにフタがきちんと閉まっていない時は動作しないだけではなく、上段が下段にきちんと載っていない時も動作しないようにした。
また、自動洗浄機能を搭載しているが、汚れの程度に応じてモードを選択できるのが特徴。サッと洗いたい時や汚れが少ない時用に、撹拌(かくはん)を数回繰り返す[洗浄・ふつう]と、油分の多い食材を使った後や粘度の高いメニューの調理後など、よりしっかりと洗浄したい時には加熱しながら撹拌する[洗浄・もっと]の2モードが用意されている。
「粘度の高いものをつくった時は、スポンジや付属品のブラシで洗う前にお湯で撹拌すれば、手洗いの負担を軽減することができます」と三幣さん。ポットの中に張った水がヒーターによって75℃まで加熱され、こびりついていしまった汚れも落としやすくなる。ポットをガラス製にしたことと相まって衛生的で、離乳食づくりにも活用できたりする。







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