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ソニーがテレビ事業を分離しエンタメ領域を本格化、国内家電メーカーの現在地を探る

2026.01.28

ソニーグループが2026年1月20日、中国のTCLと合弁会社を設立し、テレビやオーディオ機器などを扱う事業を分離すると発表しました。

ソニーの成長を支えたテレビ事業を切り離すという大胆な決断。しかし、会社の成長のために必要なことであるのも事実です。

ソニーをはじめ、日立やパナソニックといった家電で一時代を築いたメーカーは現在どうなっているのでしょうか?

かつてサムスンとも合弁会社を設立したが…

ソニーのテレビ事業の受け皿となる合弁会社の出資比率はソニーが49%で、TCLが51%。経営の主導権はTCLが持つことになります。

TCLはパネル製造のCSOTとテレビ受託製造事業のMOKAを傘下に持ち、原材料の調達から製造、販売までを一貫して行えることに強みを持っています。液晶テレビの世界シェアはサムスンに次いで業界2位。

ソニーには高価格帯ブランドの「ブラビア」があります。このブランド力を武器にシェアを高め、サムスンを抜いて首位に立つ狙いがあると言われています。

ソニーは2003年にサムスンとの間で合弁会社S-LCDを設立し、液晶ディスプレイパネルの製造を共同で行いました。しかし、2011年12月にソニーが保有する株式はすべてサムスンに売却されています。

当時、ソニーはテレビ事業の不調で業績悪化に苦しんでいました。2009年3月期から4期連続の赤字となったのです。こうした中で、ソニーは大規模な人員削減を行って立て直しを図りました。

サムスンと合弁会社を設立した際も、出資比率はソニーが49%でした。従って、今回のTCLとの戦略的な提携も共同で製造するというモデルを踏襲しただけのようにも見えます。しかし、当時のソニーはテレビが主力事業でした。現在は完全にエンターテインメント事業に軸足を移しています。

エンタメ事業の売上比率は2012年度が3割でしたが、2024年度は6割を超えているのです。ソニーは2期連続の営業増益と業績は好調ですが、ゲームや音楽、映画がそれを支えています。

2025年には金融事業の切り離しに成功し、2026年にはテレビ事業を分離します。エンタメ事業への選択と集中を進め、今や家電メーカーの影は薄くなりました。

コングロマリットの解消で収益力を高めた日立

実は日立製作所も家電事業の売却観測があります。2025年8月4日に日本経済新聞が白物家電事業の売却を検討していると報じました(「日立、国内白物家電の売却検討 サムスンなどが関心」)。

日立は1927年に電気冷蔵庫を開発。白物家電の普及を促したメーカーとしてよく知られています。

しかし、現在はITビジネスへの転換を進めています。

白物家電を扱う日立グローバルライフソリューションズの2025年3月期の売上高は前期比3%減の3403億円でした。2期連続の減収。

コロナ禍で巣ごもり特需が生じた2020年3月期、2021年3月期は売上高が4000億円を超えていましたが、そこからは下降線を辿っています。

一方、金融機関向けのシステムインテグレーションなどを手がけるフロントビジネスは2025年3月期の受注高が前期比7%増の1兆3030億円、電力の発電・変電などを統合したシステムであるパワーグリッドは同24%増の4兆2396億円でした。

今や家電事業は周辺事業の一つに過ぎないのです。

更に中期経営計画においては、パワーグリッド、車両・鉄道インフラ、産業オートメーション、DXの4領域に集中投資する姿勢を鮮明にしました。

日立もコングロマリット化の解消を進めており、どこかのタイミングで家電事業を切り離す可能性は大いにあります。

AIに商機を見出したパナソニック

家電事業を色濃く残しているのがパナソニック。キッチン家電などを扱う、くらし事業の2025年3月期の売上高は3兆5842億円に上ります。売上全体の4割を占める主力事業です。

ただし、別領域の強化を図っており、2021年にアメリカのブルーヨンダー社を8000億円で買収しました。この会社はサプライチェーン向けのシステムを提供しており、倉庫管理や仕入先管理、輸送管理など広範な領域をカバーしています。

ブルーヨンダーを含むコネクト事業の2025年3月期の売上高は前期比11%増の1兆3332億円でした。ただし、売上構成比率は16%ほどとまだ高くはありません。

2025年にはAIの強化を宣言。楠見雄規CEOは、電子機器の展示会「CES 2025」にて、AI関連の売上高を2035年に30%まで高めるという目標を掲げました。現在は10%にも達しておらず、野心的な目標だと言えます。

パナソニックは2019年に「Google Nest」のCTOを務めた松岡陽子氏をフェローとして招聘していました。松岡氏を責任者とし、家庭向けのAI「Umi」の開発を進めていましたが、2025年12月の事業説明会で楠見CEOは「一定の方向付けをしなければいけない状況にある」と語りました。開発は難航しているようです。

松岡氏主導で事業化を進めていた家事支援サービスの「Yohana」も2026年1月30日に提供を終了します。今後、パナソニックはどの方向に集中投資をしていくのか注目です。

文/不破聡

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大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融、経営戦略を中心とした記事を執筆中。得意分野は外食、ホテル、映画・ゲーム、エンターテインメント業界など。

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