『ご放念ください』とは、どのような意味なのでしょうか。また、ビジネスシーンでの一般的な使い方や例文、使うときの注意点、類語や言い換えについても確認しましょう。
目次
「ご放念ください」の意味とは
使い方を確認する前に、まずは正しい読み方や意味を見ていきましょう。読み方や基本的な意味を理解することで、単なる定型文ではなく、相手への配慮が込められた表現であることが実感できるはずです。
■「放念」は「気にかけないこと」という意味
『ご放念ください』は『ごほうねんください』と読みます。『放念』は『放』と『念』から成り、『放』は解き放つこと、『念』は心に抱いている思い・考えを表す漢字です。
『放念』には、心に抱えている不安・気がかりを手放すというニュアンスがあり、『気にかけない』『心配しない』といった意味で使われます。
つまり『ご放念ください』は、「その件はどうかお気になさらないでください」「心配せずお忘れいただいて構いません」という意味合いで用いるビジネス表現です。
ビジネスシーンで「ご放念ください」を使う場面や相手

意味を理解したところで、次に気になるのが『実際にどんな場面で使えばいいのか』という点です。実務でよく遭遇する具体的な使用場面を取り上げ、それぞれの状況で効果的な文例と注意点を解説します。
■誤送信メールの訂正時に使う
メールの宛先を間違えてしまったり、内容に誤りがあったメールを送信してしまったりなどの場合、速やかに訂正メールを送ることが重要です。
この際、「先ほどお送りしたメールはご放念ください」という表現を用いることで、相手に「そのメールのことは忘れてください」と丁寧に伝えられます。具体的には、以下のような文面が適切です。
【例文】
「本日9時30分ごろにお送りした「〇〇の件」という件名のメールは、宛先設定の誤りにより誤送信されたものです。ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。当該メールにつきましては、どうぞご放念くださいますようお願い申し上げます。」
ただし、顧客情報を含むメールを誤送信したような重大なケースでは、「ご放念ください」という一文だけでは軽い印象になりかねません。まずは事実関係の説明と深い謝罪を行い、社内規程や法令に沿った適切な対応を取ることが求められます。
■依頼を中止・取り下げるときに使う
相手に資料作成や見積もり作成などを依頼していたものの、状況の変化により不要になった場合、速やかに連絡して相手の手間を省くことが大切です。
このような場面では『ご放念ください』をうまく使うことで、相手の負担を軽くしながら、依頼の中止を丁寧に伝えられます。実務のメールでは、次のような文面がよく用いられます。
【例文】
「先週ご相談させていただいておりました企画書作成の件ですが、社内の優先順位を見直した結果、本企画はいったん凍結することとなりました。再開の際には改めてご連絡させていただきますので、本件につきましてはいったんご放念くださいますようお願い申し上げます。」
ただし、相手がすでに作業に着手している可能性がある場合は、メールだけで済ませず、まずは電話などで状況を確認してから、正式な取り下げ連絡を行うのが望ましい対応です。
依頼中止の連絡が遅れるほど相手の時間を奪ってしまうため、方針変更が決まった段階でできるだけ早く伝えることが大切です。
■相手の謝罪に対して使う
取引先から「納期が遅れて申し訳ございません」と謝罪を受けたものの、実際には問題なく業務が進んでいる場合には、返答の仕方によって相手の心理的負担を軽くできます。
このようなケースでは、相手が気にかけてくれたことへの配慮を示しながら、「心配する必要はありませんよ」と安心させる効果があります。具体的には、以下のような返答が効果的です。
【例文】
「ご丁寧にご連絡いただきありがとうございます。作業は滞りなく進んでおりますので、納期遅れの件は問題ございません。どうぞご放念くださいませ。」
ただし、実際に業務に支障が出ている場合に『ご放念ください』と書くと、問題を軽視している印象になりかねません。状況に応じて、謝罪や具体的な対応策を示すなど、適切な表現を選ぶことが大切です。
■対応不要を伝える断り文に使う
取引先から過剰な配慮を受けたときや、こちらの都合で対応が不要になったときは、「対応は不要ですので、ご放念ください」と添えることで、相手の時間や手間を無駄にせずに済みます。ビジネスメールでは、次のような文面がよく用いられます。
【例文】
「この度は資料手配についてご確認いただき、誠にありがとうございます。すでに別ルートにて、必要な資料を確認できるファイルをお送りいただいておりますので、本件のご対応はご放念くださいますようお願いいたします。」
このように伝えることで、相手の好意にはきちんと感謝しながら、不要な作業を減らす配慮も示せるでしょう。ただし、すでに対応が完了している場合もあるため、状況確認を怠らないことが重要です。
■相手に配慮しながらお願いするときに使う
取引先に依頼をするとき、相手に過度な負担をかけたくない気持ちを伝えるフレーズとして、『ご放念ください』は有効です。
【例文】
「もしお時間がございましたら、ご確認いただけますでしょうか。ご多忙の際はどうぞご放念ください。」
相手の都合を最優先していることが伝わるため、無理な依頼にならず、信頼関係も損ねにくくなります。また、相手から「対応が難しい」と断りの連絡があった場合でも、「承知いたしました。どうぞご放念ください」と返すことで、相手に余計な気まずさを与えずに済みます。
ただし、本当に対応をお願いしたい重要案件では、『ご放念ください』ではなく、別の表現で再調整の意向を伝えるなどの配慮が必要です。
「ご放念ください」の使い方と注意すべきポイント

基本的な使い方を理解したら、次に押さえておきたいのが使い分けや注意点です。以下で、実務で注意すべきポイントを詳しく解説していきます。
■社外・取引先などに書き言葉として使う
『ご放念ください』は、社外・取引先向けのメールや文書など、書き言葉として使用するのが基本です。丁寧でフォーマルな印象を与えるため、取引先や顧客など社外の相手に対して、改まった場面で使うと効果的です。
一方で、社内の相手に対しては、過度にかしこまった印象になる可能性があります。日常的な業務連絡では『対応不要です』『お気になさらず』など、よりシンプルな表現に置き換えると自然です。
相手との関係性や立場に合わせて表現を使い分けることで、ビジネスシーンにふさわしいコミュニケーションが取りやすくなります。
■口頭では距離感が出るため避ける
電話や対面での会話であまりにフォーマルな言葉を使うと、堅い印象になり、相手との心理的な距離が生まれやすくなります。
文章で目にする分には『ご放念』は丁寧でかしこまった印象ですが、音声で聞くとやや堅苦しく、人によっては聞き取りづらく感じることもあり、意図が伝わりにくくなる場合もあるでしょう。
口頭では「お気になさらないでください」「問題ありませんので、どうぞご心配なく」といった柔らかい表現に言い換えると、相手も安心しやすくなります。
特に社内の同僚や、すでに関係性が築けている取引先には、「気にしないでくださいね」といったさらにカジュアルな表現を使うことで、親近感を保ちながら気持ちを伝えられるでしょう。







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