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なぜか今「赤べこ」のバリケードが売れている意外な理由

2026.01.27

令和のこの時代、バリケードが売れているらしい。工事現場などで立ち入りを制限するための、あのバリケードなのだが…

それは、よく目にする黄色と黒の警告カラーでもなく無機質な鉄柵でもない。深みのある紅色に染まったキュートすぎるキャラクターが路上で映えまくっている。

「使い道が思いつかない、けど欲しい」と一般客からの注文殺到

これは、福島県会津若松市で土木・建設資材の販売やレンタル業を手掛ける有限会社ワシオ商会の「赤べこバリケード®」。

会津の守護神として知られる「赤べこ」を大胆にデザインし、2023年から販売されている逸品で、「使い道が思いつかない、けど欲しい」という一般客からの注文も殺到。話題になっている。

この評判を機に、「赤べこバリケード®」モチーフのお菓子やカプセルトイ、キャップも販売されるなど、今ひそかに「赤べこ」人気が高まっている。

そもそもこれは、ワシオ商会社長の奥さまで専務の一美さんのデザインによるもの。

バリケード界も群雄割拠。ゆるキャラや動物がデザインされた目を惹く商品が次々と誕生している中、一美さんは地元福島の郷土玩具に目をつけ、開発販売。

これまで、企業個人合わせて1200~1300台ほどの売れ行きがあり、のべ3000台以上がレンタル利用されているという。

一体、「赤べこ」の何が人を惹きつけるのか?今回、ワシオ商会の専務・鷲尾一美さんに「赤べこ」の魅力、誕生秘話を伺った。

――「赤べこバリケード®」開発時のエピソードを教えてください

「当時、ご当地バリケードが各県に存在していたのですが、地元福島には存在していませんでした。ならば工事用品に携わる会社として福島県を代表する何かで作ろうと考え、福島県の顔とも言える「赤べこ」で作ろう!と決意。すぐさま描きました。デザインの勉強などしていない素人でしたが5分程度で仕上がりました笑」

「こだわりは、何とも言えない瞳、体を左右対称にせず丸みを帯びた背中です。安全性を高めるために、腕章のように反射テープを巻きました」

――個人での購入も多いとか?皆さんどのように使われているのでしょうか?  

「私がお聞きした中では、ご自宅の駐車場や玄関先に置いて進入禁止として使われている方が多いようですが、なかにはドアストッパーにしたり、室内に飾って愛でていらっしゃる方も。本来の用途とは違う、思いもよらぬ使い方ができると教えていただいています」

「実際に購入された方からは、『家に帰れば赤べこが迎えてくれるから嬉しい』、『いつもそばにいてくれてカワイイ』、『来客時に自宅の目印となる』などのお声をいただいております」

創業以来、考えたこともなかった商品を世に送り出したワシオ商会。意外なヒット商品をきっかけに「聖地巡礼」というかつてない現象も巻き起こり、売上増。問い合わせも増えているとか。さらに…

「弊社は工事用品の販売やレンタルの会社ですから、建設会社様が主なお客様で作業服姿の来客が多かったのですが、赤べこバリケード®を機に一般のお客様からのお問い合わせやご注文が増え、週末には全国各地からご来店されるようになりました」

「今では「聖地巡礼」として、まず弊社でお買い物やガチャガチャを楽しみ、それから福島観光や食事をして帰るという現象が起きています。その結果、全国の方々とお話ができる機会が増え、私たちとしては楽しくもあり、とても励みになっています」

魔除けの赤べこが令和に幸運を運ぶ

そもそも、「赤べこ」とは福島県の会津若松市で作られてきた牛型の張り子人形だ。

魔除けと言われる赤をベースに黒の斑点と白の縁取りで彩られた郷土玩具。丸みのあるフォルムと、ゆらゆら揺れる首の動きが特徴的な幸運を運ぶ牛。福島の方にとっては馴染み深い「赤べこ」だが、その魅力を一美さんはこう語る。

「会津地方ではあまりにも身近過ぎて特別感はなく、昔からどの家にもあるものでしたが、マツコ・デラックスさんが赤べこを推してくださったり、コロナ禍で疫病退散や厄除け・開運の意味があるということで全国に広まり、近年一気に周知された印象があります」

「それから地元でも再認識するようになり、改めて「赤べこ伝説」を勉強し直し、私も大好きになりました。ゆらゆらうなずくところが癒されますし、魔よけの赤色がお守り的な存在です。ちなみに赤べこ発祥の地と言われるのは会津若松市ではなく奥会津の「柳津町」です」

そんな会津の誇りをモチーフにした「赤べこバリケード®」は、なぜここまで人気になったのか?

「やはり、「カワイイ」というところでしょうか。「とぼけた表情がたまらない」というお声もありますが、普通の赤べこではなく「バリケード」という意外な工事用品というところから始まり、カプセルトイなどさまざまな商品に拡がっていったことも大きな要因だと思います」

ちなみにワシオ商会の「赤べこバリケード®」は、県産品の優れたデザインを表彰する『ふくしまベストデザインコンペティション2024-25』でシルバー賞を受賞。

数ある食品・工芸品の中から、工事用品が表彰されたことでさらにバズり、現在は、カプセルトイやTシャツ、トートバッグなど幅広く展開している。

その勢いは増すばかりだが、今後開発予定の商品はあるのだろうか?

「カプセルトイは新しい企画が進行中です。それとまだ公開できませんが、新たなグッズ展開も予定しています」

「また、最近「赤べこバリケード®」が会津若松市のふるさと納税返礼品に登録されました。昨年末の仕事納め後の登録だったのですが、すでに注文が入っております。バリケードが返礼品になるのは全国初だと思いますので今後もラインナップを増やしていきたいです」

工事用品が思わぬ形で注目を浴び、新たな流行を生み出している。

福島の誇りを胸にさらなる成長を遂げるべく挑戦したいこと、展望を聞いた。

「赤べこは単なるキャラクターではなく、厄除け開運などの意味がある民芸品です。それを模した赤べこバリケード®が福島県の工事現場や観光施設などに設置され、ゆくゆくは和ませる存在として全国で認知していただけたら嬉しいです」

「福島県は全国的にも世界的にもまだまだ負のイメージがあります。ですが福島県にはこんなカワイイものがあるよ、楽しいよ、ということを福島発の赤べこバリケード®を通して伝えたい。そしてそれを目当てに沢山の方にお越しいただければ幸いです」

「今後の目標は、赤べこバリケード®が「くまモン」先輩(勝手に先輩と思っています)のように地域発のキャラクターとして全国で愛されるようになることです。夢は大きく(笑)」

取材協力
有限会社ワシオ商会
ワシオ商会Instagram @washio_aizu

文/太田ポーシャ

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