ハンバーグにナポリタン、オムライスにグラタン。まるで洋食店のプレートやお子様ランチのような組み合わせを、電子レンジで温めるだけで楽しめる冷凍惣菜『三ツ星プレート®』シリーズ。
冷凍食品の枠を超えた一皿として支持を集める本シリーズは、発売から2年で累計販売数約900万食を突破。計画比1.5倍以上の大ヒット商品となっている。今回は、株式会社ニチレイフーズ 経営企画室 ブランドコミュニケーション部 広報・CSRグループマネジャー宮嶋美保さんに、開発の背景や苦労した点、ヒットの要因についてお話を伺った。
*本稿はVoicyで配信中の音声コンテンツ「DIMEヒット商品総研」から一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。
ニチレイの叡智を結集。900種の商品資産と加熱技術が生んだ「三ツ星プレート®」のこだわり
『三ツ星プレート®』は、「忙しい日常の中で、手軽に満足感のある食事を届けたい」という思いから生まれたワンプレート型の冷凍惣菜シリーズだ。宮嶋さんは、「ワンプレート型の冷凍食品が近年人気を集めている背景に、ライフスタイルの変化がある」と話す。
「ここ10年以上、日本では単身世帯が増え続けています。また、ご家族がいても、お子さんの塾通いや共働きで食事の時間がバラバラになる、いわゆる『個食』のシーンが増えていると感じています。そうした中で、冷凍庫から取り出して電子レンジで温めるだけで一食が完結する、ワンプレートの需要が高まってきました」
ユニークなメニューが揃う本シリーズ。独創的な組み合わせは、ニチレイフーズが長年築いてきた業務用商品の豊富な商品資産に支えられている。
「当社は、お惣菜売り場や外食チェーン、給食向けに提供している業務用商品を900種類以上持っています。ハンバーグ一つをとっても、大きさや厚み、価格帯もさまざまです。三ツ星プレート®では、豊富な選択肢の中からワンプレートに適したものを組み合わせてメニューを考案しています」
ただ美味しいものを並べるだけでは、優れたワンプレート商品は生まれない。こだわったのは、主食と主菜のバランスだった。
「まず、主食と主菜の味の方向性を考えます。例えば『ハンバーグとナポリタン』は、定番の組み合わせですよね。また、麺商品は自家製麺に合うおかずを考えています。さらに重視したのが、電子レンジでの加熱設計です。ワンプレート冷食は、2つのメニューを同時に、かつムラなく温めなければなりません。この点では、20年以上前から販売している冷凍宅配弁当『きくばりごぜん』で培ったノウハウが生きています」
第一回より
レンジでも生麺の食感を!ヒットを支える“日常を贅沢に”という想い
2025年9月1日から新しく加わった、麻婆麺やジャージャー麵などのシリーズ。使用している麺は、三ツ星プレート®シリーズのために独自で開発したものだという。
「おかずは業務用で培ったベースがありましたが、麺のラインアップはあまりなかったんです。そこで、パーソナルユースの商品を製造しようと考え、山形の工場で麺の開発を行いました。乾麺ではなく、自家製の生パスタを使うことで、電子レンジで調理してもモチモチとした食感が残るように工夫しています」
発売から2年で、累計販売数は約900万食を突破。当初掲げていた年間売上目標200万食を大きく上回り、1.5倍以上のペースで成長するヒットシリーズとなった。その背景には、想定を超えた“支持層の広がり”があったと、宮嶋さんは振り返る。
「当初は、忙しい一人暮らしの方や共働き世帯を主なターゲットとして想定していました。予想以上だったのが、お子さんの食事やご年配の方にも多くご利用いただいている点です。電子レンジだけで調理できる手軽さが、留守番中のお子さんの食事や、火を使うことに不安を感じるシニア層のニーズにも合っていたのだと思います」
さらに宮嶋さんは、三ツ星プレート®のヒットが“時代の流れ”にも後押しされたと分析する。
「発売を開始した2023年6月は、コロナ禍を経て、冷凍食品に対する意識が『ストックしておくもの』から『食べる日を考えて都度買うもの』へと変わってきた時期でした。テレワークの普及により自宅で食事をする機会も増え、昼食など日常使いの選択肢として受け入れていただけたことも、追い風になったと感じています」
開発で最も大切にしたのは、食事の時間を前向きに楽しめるかどうかだったという。
「三ツ星プレート®では、食事の楽しさや美味しさ、見た目のバランスを重視しています。『三ツ星』の名前には、日常の食事を少しだけ贅沢に感じてもらえる、ワンランク上のプレートを届けたいという想いを込めました」
第二回より
“食の課題”に、冷凍技術で応える。戦後から続くニチレイの本質を体現した一皿
宮嶋さんは、主食と主菜を組み合わせるプレート開発について「一品の商品開発と比べ、単純に倍の労力がかかった」と振り返る。
「ハンバーグだけなら、ハンバーグに集中すれば済みます。ただ、ナポリタンが加わることで、考える要素は一気に増えます。しかも、2つを別々に完成させれば良いわけではありません。電子レンジで加熱したとき平等に温められるよう、置き方やソースのかけ方といった細部まで考慮する必要がありました」
開発面だけでなく、コスト設計にも工夫を重ねた。品質を維持しながら価格を抑えられた背景にも、ニチレイフーズならではの強みがある。
「自社で多くの業務用商品を扱っている点は大きな武器でした。通常であれば外部から仕入れる食材も、自社工場から冷凍のまま活用できます。調達コストを抑えられる分、味や品質に注力できました。また、贅沢感を出そうと単純に量を増やすと、価格が跳ね上がります。そこで、900種類以上ある商品群の中から、価格と満足度のバランスが最も良い組み合わせを探すことで調整しました」
試行錯誤を経て誕生した三ツ星プレート®。消費者からは「美味しい」との声が届いているという。ヒットの要因について、宮嶋さんは「ニチレイフーズが冷凍食品のパイオニアとして積み重ねてきた経験にある」と分析する。
「私たちは冷凍技術を通じて、常に時代ごとの課題と向き合ってきました。戦後のタンパク質不足には魚の冷凍食品で応え、電子レンジの普及期にはお弁当向け商品を拡充してきました。そして今、共働き世帯やシニア層の増加といった食環境の変化を見つめ直し、生まれたのが『三ツ星プレート®』です。手軽さと本格的な美味しさを両立したことが、現代のニーズに合致したのだと感じています」
第三回より
“美味しさ”を軸に多様化するニーズに応える。ニチレイが描く冷凍食品の未来
食生活が多様化する中で、冷凍食品は今後どのように進化していくのだろうか。宮嶋さんは、一つのキーワードとして“加工度のグラデーション”を挙げる。
「『食べたいものを、食べたい時に』というニーズは、今後さらに強まると感じています。その中で大切になるのが、冷凍食品の加工の度合いを一律にしない考え方です。電子レンジだけで食事が完成する三ツ星プレート®のような商品を便利だと感じる方もいれば、素材に近い状態や半調理品のように、手を加えられる商品を求める方もいます。一人ひとりのニーズに合わせた冷凍食品が、今後増えていくのではないでしょうか」
こうした発想は、ニチレイフーズの商品にも表れている。例えば、『本当に旨い担々麺』は、水の有無で「汁あり」「汁なし」を選べるデュアル調理を採用し、その日の気分に合わせた食べ方を可能にした。また、健康志向の方に向けて『everyONe meal(エブリオンミール)®』も展開している。
「everyONe meal®は、『美味しくタンパク質が摂れる』をコンセプトにしたブランドです。プロテイン中心の食事は味気ないイメージを持たれがちですが、私たちはあくまで“美味しさ”を最優先しました。チーズビビンバやカオマンガイといった、自分では作りにくいメニューで、100gあたり9g以上のタンパク質を摂取できるよう設計しています。運動後や栄養バランスを整えたいときに、食事を楽しみながら取り入れていただきたいですね」
最後に、宮嶋さんからリスナーにメッセージをもらった。
「三ツ星プレート®をはじめとする当社の冷凍食品は、忙しい皆様の味方になれるよう、日々美味しさに磨きをかけています。ぜひお近くの冷凍食品売り場に立ち寄り、手に取っていただけると嬉しいです」
第四回より
取材・文・撮影/久我裕紀 構成/DIME編集部







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