フリーランスや個人事業主が、取引先の子どもにお小遣いやお年玉を渡した場合、その支出は経費として認められるのだろうか。
取引先との関係性を円滑にするための行為なため、一見すると「営業上の支出」にも思えるかもしれない。
何気ない行為に思えるが、実は「現金を直接渡す」という性質上、税務上は慎重な判断をしなければならないケースなのである。
確定申告で税務署に指摘されないためにも、本記事では税理士監修のもと、OK/NGの判断ポイントを整理する。
領収書が存在しない支出を、経費にするのは難しい
フリーランスのFさんには、長年にわたって仕事を発注してくれている大切なクライアントがいる。
ある年始、そのクライアントの自宅に招かれ、家族での食事会に参加することになった。
ちょうど正月という時期でもあり、Fさんはクライアントの子どもに「お年玉」を渡した。
クライアントも喜んでくれたので、Fさんとしては、仕事につながる良い関係づくりができたと感じていた。
同時に、Fさんの頭をよぎったのが「今後の仕事につながるなら経費になるんじゃないのか?」との考えである。
取引先の子どもに現金を渡す行為は、経費として認められるのだろうか。
この疑問について、30年以上のキャリアを持つベテラン税理士である山本宏税理士に話を聞いた。
「残念ながら、原則、経費として認めるのはほぼ不可能でしょう。
確かにクライアントとの関係性を深めるための支出なので『営業費』や『接待交際費』に計上できるのでは?と感じるかもしれませんが、そう簡単な話ではありません。
というのも、このケースで最も重要なのは、取引先の子供にお金をあげる行為がそもそも常識的な行為ではないことです。さらに、『領収書』が存在しないことなのです。
領収書が存在しないため、仮に実際に一万円のお年玉を渡していたとしても客観的に証明することは困難です。そのため、税務上は経費として認められない、という判断になります。
なお、領収書の有無に関しては、取引先、従業員等であれば領収書がなくても取引の事実を証明できる可能性はあります」
フリーランスや個人事業主はなんでも経費にできると言われているが、決してそんな簡単なものではない。
「経費の原則は『売上を獲得するための支出』です。
クライアントのお子さんへのお小遣いが、この原則に該当するかは議論の余地があります。
つまり、クライアントのお子さんのためにお菓子やおもちゃを購入し、その領収書があったとしても、経費として認められないかもしれないというわけです。フリーランスや個人事業主の方でも、なんでも経費にできるというわけではないということは肝に銘じておきましょう」
まとめ
取引先の子どもに渡すお小遣いやお年玉は、たとえ「仕事のため」と感じるケースであっても、原則として経費として認められる可能性は低い。
フリーランスや個人事業主は日常の支出と経費の境界線が曖昧になりがちだ。その判断軸を“仕事につながりそうだから”という感覚に委ねるのではなく、経費の原則を理解しておくことが大切だ。
取材協力/山本宏税理士(山本宏税理士事務所代表)https://www.y-zeirishi.jp
取材・文/峯亮佑
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