こんにちは。弁護士の林 孝匡です。宇宙イチわかりやすい法律解説を目指しています。
男性は女性トイレを使用できるのか?
裁判になった事件を解説します。
「職場の〝女性トイレ〟を使用させてくれませんか」
これは職員が出した要望です。その方の生物学的な性別は男性でした(以下、Aさん)。
Aさんは性同一性障害との診断を受けていたため「女性トイレを使用したい」との要望を出したのです。
しかし、Aさんが勤めていた経済産業省と人事院は一部しか認めず。すなわち、女性トイレを使用できるフロアに制限をかけたのです。
納得のいかなかったAさんが提訴。気になる裁判の行方は…?
以下、わかりやすく解説します。
※ 実際の判決を基に構成
※ 判決の本質を損なわないようフランクな会話に変換
※ 争いを一部抜粋して簡略化
事件の概要
▼ Aさん(50代)
・生物学的な性別は男性
・性同一性障害(H11に医師の診断あり)
性別適合手術を受けていない(健康上の理由)
・H16以降、経済産業省で勤務
・H20ころから女性として私生活を送る
・H22.3ころまでには
男性ホルモンの量が同年代の男性の基準値の下限を大きく下回っていた
医師は「性衝動に基づく性暴力の可能性が低い」と診断していた
▼ 女性トイレ使用の要望
H21.7、Aさんが上司に対し、性同一性障害であることを伝えました。そして10月、Aさんは経済産業省の職員に対し、女性の服装での勤務や女性トイレの使用などについての要望を伝えました。
▼ 説明会が開催される
その約1年後のH22.7。Aさんの了承を得たうえで、Aさんの性同一性障害について説明する会が開かれました。その説明会には、Aさんが所属する部署の職員ほぼ全員(約62名)が参加しました。
その説明会でAさんは、自分が性同一性障害であること、これまでの自分の気持ち、職場でも所生職員として働くことを望んでいることなどを話しました。
その後、Aさんは退席。担当職員は、出席している職員に対して、Aさんが女性トイレを使用することについて意見を求めました。
その時の状況を見て担当職員は、数名の女性職員が違和感を抱いているように感じました。そこで、担当職員は、Aさんが1つ上のフロアの女性トイレを使用することについて意見を求めました。すると、女性職員1名が日常的のそのトイレを使っていると答えました。
▼ トイレの使用禁止
その後、経済産業省はAさんに対して以下の指示を出しました。
・Aさんが勤務しているフロアの女性トイレの使用を認めない
・上下フロアの女性トイレの使用を認めない
・それ以外のフロアの女性トイレの使用を認める
要は、2フロア以上離れた女性トイレであれば使用を認める、というものです。
Aさんは、説明会の翌週から女性の服装で勤務。しかし、経済産業省から出された指示に従い、基本的に自分が働いているフロアから2階離れたフロアの女性トイレを使用しました。それにより他の職員との間でトラブルが生じたことはありません。
▼ 人事院に助けを求めるが…
説明会から3年5ヶ月ほど経ったころ(H25.12)。Aさんは人事院に対して、以下の要求をしました。「職場の女性トイレを自由に使用させてほしい。その他、原則として女性職員と同等の処遇を行ってほしい」という行政措置を人事院に対して要求しました。
約1年半後、人事院の判定が出ます。結果は「Aさんの要求を認めない」というもの。
Aさんは、人事院の判定は違法だと主張して、取り消しを求めて提訴しました。







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