集中しようと思っても、ついスマホを見てしまう。そんな悩みを解決するヒントが「フロー体験」です。フロー体験とは、時間を忘れるほど作業に没頭し、高い集中力と達成感を得られる心理状態のこと。本記事では、その正体と、仕事の効率を高めるためにフロー体験を取り入れる具体的な方法を解説します。
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仕事に取り組んでいるのに、なかなか終わらなかったり、集中が続かずついスマホを見てしまったり…、そんなことはありませんか。
実は、アスリートやクリエイターが活用している「フロー体験」を味方につければ、仕事のスピードや質は大きく変わります。
今回は、時間を忘れるほど没頭する「フロー体験」の正体と、それを仕事に効率よく取り入れる方法をご紹介します。
「フロー体験」とは?

仕事や趣味において、周囲の雑音が消えたように感じたり、驚くほど作業がはかどったりした経験はないでしょうか。こうした、1つのことに深くのめり込んだ心理状態を「フロー体験」と呼びます。
まずは、その定義と得られるメリットについて解説します。
■フロー体験の定義
フロー体験とは、心理学者のM.チクセントミハイが提唱した「Flow(フロー)」という概念に基づいています。これは、目の前の活動に完全に没頭し、精神的に研ぎ澄まされている状態を指します。
よく「ゾーンに入る」とも表現されますが、ただ集中しているだけでなく、自分が行っていることと意識が一体化し、時間の経過さえ忘れてしまうのが特徴です。
■フロー体験のメリット
1.生産性の向上
1つの作業に意識のすべてが注ぎ込まれるため、作業スピードと質が飛躍的に上がります。これは、脳が今やっている作業に関係のない情報を自動的にシャットアウトし、次に何をしようかといった迷い自体がなくなるためです。その結果、いつもよりずっと短い時間で、納得のいく成果を出せるようになります。
2.疲労の軽減
自分の意思と行動がぴったり一致しているため、精神的な疲れを感じる場面が少なくなります。誰かに「やらされている」という受け身の感覚や、「面倒だな」という心の葛藤が消えて、スムーズに作業が進むようになるため、長時間取り組んでもストレスが溜まりにくくなります。
3.幸福感の獲得
活動に深く没入することで、高い達成感と充実感を得られます。これは、給料や評価などの外からの見返りのためではなく、作業そのものが楽しくてたまらないと感じるためです。終わった後には、自分の能力をフルに発揮できたという気持ちになり、それが自分への自信にもつながります。
「フロー体験」に入るための3つの条件
フロー体験には、ただ「集中しよう」と念じるだけで入れるものではありません。M.チクセントミハイは、この状態に入るための要素をいくつか挙げていますが、ここでは日常で特に意識したい3つの条件を取り上げます。
1.目標を明確にする
達成すべき理想像がわかっていると、自分がどれだけ目の前の仕事をこなせているかを理解しやすくなり、達成感を得られるからです。達成したか否かを判断しやすくするため、数字で表せるような定量的な目標を立てるようにしましょう。
具体例:「企画書を作る」ではなく「1時間でスライドを5枚作成する」と具体化する。
2.挑戦と能力の釣り合いを保つ
取り組む課題が簡単すぎると退屈し、難しすぎるとストレスを感じて投げ出したくなってしまいます。フロー体験に入るため、挑戦する対象は「頑張れば達成できる程度」のものにしましょう。
具体例:最初から大きな目標を立てず、小さな目標を段階的に達成していくことで、集中を維持する。
3.即時にフィードバックを受ける
人は自分の行動が適切であると感じられることで、集中を持続させられます。今何に取り組めばよいのかを常に把握し、すぐに応えが返ってくる環境を整えましょう。
具体例:組織に属する場合、設定した目標に対して定期的な進捗確認を行うことで、自分の行動を目標と合致させていく。
フロー体験を仕事に効率よく取り入れる方法
フロー体験に入るための条件がわかっても、いざ仕事に取り入れようとすると難しいものです。ここでは、日々の業務の中で効率よくゾーンに入るための、具体的なステップをご紹介します。
1.集中を妨げる外部の刺激を遮断する
フロー体験への没入を妨げる最大の原因は、予期せぬ割り込みです。一度集中が途切れると、元の深い状態に戻るまでに多くの時間を要してしまいます。そのため、集中したいときは自分から余計な情報をシャットアウトするようにしましょう。
具体例:集中したい時間帯はスマートフォンの通知をオフにして視界から外す、チャットツールのステータスを「取り込み中」にする。
2.作業を開始するためのスイッチを作る
やる気が出るのを待つのではなく、一定の動作によって脳をフロー体験へと誘導します。その方法は、決まった動作を繰り返すこと。そうすることで脳が「今から仕事に没頭する時間」と認識しやすくなります。
具体例:デスクを片付ける、お気に入りの飲み物を用意する、特定の音楽を聴く、といった自分なりの開始の儀式をルーチン化する。
3.単純作業に自ら制限時間を設ける
単調で退屈に感じる仕事でも、工夫次第でフロー体験を作り出せます。自分のスキルに対して難易度が低い場合は、ゲームのような制約を加えることで挑戦のレベルを調整します。
具体例:データ入力などの単純なタスクに対し、「次の15分で何件処理できるか」と自分にクイズを出すようにタイムアタックを行う。
4.仕事の価値を再定義して意味を見出す
やらされていると感じる作業は集中が続きません。そのため、その活動自体に価値を見出すことが有効です。自分の仕事が誰の役に立っているのかを意識して作業に取り組むようにしましょう。
具体例:日々の事務作業が「組織の円滑な運営を支えている」と捉え直したり、自分自身の成長につながると考えたりする。
☆☆☆
フロー体験は、環境や手順を少し工夫するだけで誰にでも作り出すことができます。まずは小さな作業から、今回ご紹介したステップを試してみてください。
文・構成/藤野綾子
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