終身雇用の変化や副業の浸透、キャリアの多様化など、働き方を取り巻く前提は大きく変化している。キャリアの選択肢が広がる一方で、20~30代を中心に「自分に合った働き方」を言語化する難しさも増している。
また企業側においても、画一的な人材像ではなく、個々の強みや価値観を前提としたマネジメントやチーム設計が求められるようになった。
こうした状況を受けて、YOUTRUSTが運営するシンクタンク「次世代キャリア研究所」はこのほど、働き方が多様化する時代における「ビジネス人格」を4分類16タイプで整理した調査結果を発表した。
本調査では、20問の設問を通じてビジネスパーソンの働き方を4つの価値観軸から分類し、それぞれの分布傾向や特徴を可視化した。
ビジネス人格診断について
本調査では、働き方の価値観や行動傾向をもとに、「全体の傾向を捉えるための4分類」と、「個人の働き方をより立体的に理解するための16タイプ」という二つのフレームワークで、ビジネス人格を整理した。
※分類は、以下4つの志向軸の組み合わせに基づいている。
Manager(マネージャー志向)⇔ Player(プレイヤー志向)
Quest(自己実現)⇔ Reward(他者貢献)
Value(やりがい)⇔ Terms(環境条件)
Challenge(理想主義)⇔ Safety(現実主義)
■挑戦型
やりがいや成長の機会を基準に前へ進む働き方を選ぶタイプで、スピード感や難易度の高い仕事に魅力を感じるのが特徴。
【挑戦型4タイプ】
最前線キャプテン(MQVC)
理想から逆算して物事を動かす“前線リーダー”。
カリスマ監督(MRVC)
やりがいと周囲からの期待の両方を力に変える“鼓舞型リーダー”。
没入ダイバー(PQVC)
ひとつのテーマを深く追い込み、挑戦を通じて独自性を磨く“探究型プレイヤー”。
火事場のエース(PRVC)
普段は静かだが、勝負どころになると爆発的な力を出す“ギアチェンジ型プレイヤー”。
■戦略型
合理性や勝ち筋を基準に、最短距離で成果を出す働き方を選ぶタイプで、状況判断やロジックで成果を設計する点が特徴。
【戦略型4タイプ】
戦略パイロット(MQTC)
条件・制約を丁寧に読み解きながら挑戦の勝ち筋を描く“参謀型リーダー”。
勝負師マネージャー(MRTC)
条件・効率・勝負勘を組み合わせて結果を取りにいく“成果志向リーダー”。
スピードスター(PQTC)
まず動き、触れて学び、試行回数で成果を最大化させる“実験型プレイヤー”。
勝ち筋ハンター(PRTC)
変化の兆しやチャンスを嗅ぎ分け、勝てる場面に鋭く切り込む“勝負感プレイヤー”。
■職人型
丁寧さや専門性を基準に積み上げ型の働き方を選ぶタイプで、品質や精度を強みとし、裏方として組織を支える役割を担う。
【職人型4タイプ】
ハイクオリティ軍師(MQVS)
理想や価値を深く考え、安定環境で高精度な設計を積み上げる“思考型リーダー”。
縁の下のパイセン(MRVS)
関係性・安心感・やりがいを大切にし、チームを穏やかに支える“調整型リーダー”。
コツコツクラフター(PQVS)
自分のペースで静かに積み上げ、高品質な成果を生み出す“職人型プレイヤー”。
場回しコンシェルジュ(PRVS)
柔らかいコミュニケーションと安心感を軸に、実務を丁寧に進める“調整型プレイヤー”。
■調和型
再現性や安定性を重視し、無理なく成果を出す働き方を選ぶタイプで、効率性や協働を大切にする傾向がある。
【調和型4タイプ】
最後の砦(MQTS)
確実性と安全性を最優先し、仕組みと運用で組織を支える“守備型リーダー”。
堅実プロデューサー(MRTS)
人との関係性と合理性を両立し、チームを安定的に運営する“調整型リーダー”。
信頼ガーディアン(PQTS)
慎重さと確実性を武器に、任された仕事を落とさない“実務堅守プレイヤー”。
タイパマスター(PRTS)
最短ルートの発見と効率化に長けた“高速実務プレイヤー”。
調査結果
1.全体分布|4つの「ビジネス人格」はどのように分かれたか
まず、全回答者1,600名を対象に、4つの価値観グループの全体分布を確認した。
4つの価値観グループのうち、最も多かったのは「調和型」で34.7%、最も少なかったのは「職人型」で17.3%となった。残る2型は「戦略型」が26.4%、「挑戦型」が21.7%という結果となった。
挑戦や戦略といった“攻め”の働き方だけでなく、再現性・協働・安定運用を重視する「調和型」が全体で最多となっている点は、本調査を象徴する特徴といえる。
2.世代別分析|Z世代は「調和」、ミドル世代は「戦略」へ
次に、世代別に分布を比較すると、働き方の重心が世代ごとに異なることが明確になった。
注目すべき点は、20~30代の若手層において「調和型」が最も多かった点だ。
若手=挑戦志向が強いという従来のイメージとは異なり、再現性やチームの安心感を重視し、無理なく成果を出す働き方が一定の支持を集めていることがわかった。
一方で、挑戦型や戦略型も一定数存在しており、同じZ世代の中でも働き方の基準が大きく異なる状況が可視化された。
これに対し、40~50代のミドル層では、合理性や勝ち筋を重視する「戦略型」や「挑戦型」の比率が相対的に高く、意思決定や成果設計を担う役割が中心となっている傾向が見られる。
つまり、世代ごとに重視される役割や働き方の基準には違いが見られ、次世代の働き方は単一の「若者像」では捉えきれない多様性を内包しているといえる。
3.年収別分析|高年収帯に集まるのは「推進役」と「安定役」
最後にタイプ×年収のクロス分析を行った結果、年収帯ごとにタイプの分布には明確な違いが見られた。
高年収帯(1,000万円以上)では、前線で成果責任を担う推進役タイプの比率が高まる傾向が見られた。
「最前線キャプテン」は1,000万円以上で15.4%と、400万円未満(9.8%)に比べて構成比が上昇しており、「勝負師マネージャー」も13.2%と高い割合を示している。結果責任を伴う意思決定や推進を担うタイプが、年収上位層で存在感を持っていることがわかる。
一方で、高年収帯に分布しているのは挑戦志向のタイプだけではない。
「堅実プロデューサー」は1,000万円以上で8.1%と、400万円未満(5.6%)を上回っており、組織や業務を安定的に支える役割も、上位帯に一定数存在していることが確認された。
また、中間層(400~600万円帯)では「タイパマスター」が16.5%と最も高く、「信頼ガーディアン」も600~800万円帯で14.1%を占めている。効率化や確実な実務遂行を担うタイプが、中間層を厚く支えている構造がうかがえる。
この結果から、年収帯ごとの違いは価値観や人格タイプの優劣ではなく、どのタイプがどの役割を担い、その役割がどの年収帯で多く現れているかという「役割構造の違い」として表れているといえる。
<一般社会人調査:「キャリア観・転職・副業意識調査」>
・調査対象 :20~59歳までの社会人男女
・調査方法 :Webアンケート調査
・有効回答数 :1,600名
・調査実施日 :2025年9月12日~9月18日
出典元:次世代キャリア研究所
構成/こじへい







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