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中国の「コンドーム税」導入で国内メーカーに激震、中国市場で停滞の予感

2026.01.03

中国が2026年1月からコンドームなどの避妊具に13%の付加価値税を課すことがわかりました。アメリカのブルームバーグなどが報じたもので、若者の出産を促す少子化対策の一環だといいます。

中国の避妊具への増税は30年ぶり。高品質で評価が高いオカモトなど日本メーカーへの影響は少なくないと予想できます。

かつては中国人観光客の爆買いで売り切れが続出

中国経済は世界の工場などと呼ばれて急成長し、2010年にはドル建ての名目GDPで日本を抜いて世界第2位の経済大国に駆け上がりました。

しかし、この経済成長は安価な労働力に溢れ、旺盛な国内消費があったからこそのもの。1979年に一人っ子政策を導入した影響により、中国の生産年齢人口は2010年、総人口は2021年にピークを迎えました。2024年末の総人口は14.1億人で、3年連続で減少しています。

国連の「世界人口推計2024」によると、中国の女性が生涯に産む子供の数は1.4を下回りました。人口の維持に必要な2.1を大幅に下回っているのです。

13%もの“コンドーム税”からは中国の強い危機感を感じ取ることができます。

増税の発表で消費者が取る行動はだいたい決まっています。増税前の駆け込み需要が発生し、緩やかな停滞局面に入るのです。

日本メーカーのコンドームは質の高さが支持され、中国では人気がありました。

爆買いに沸いていた2015年、薄型コンドームを求める中国人観光客がドラッグストアに殺到し、品切れの店が続出したのです。

オカモトの株価は2015年に高騰し、2015年1月の2000円台から10月には6000台を突破しました。

日本は2008年から人口減少が始まり、同時期に「草食男子」と呼ばれる恋愛に積極的ではない男性がもてはやされるようになりました。国内のコンドーム市場の停滞感が鮮明になる中で、巨大な中国市場がその懸念を払拭しようとしていたのです。

アジアは2割近い減収に襲われる

しかし、足元のオカモトの業績は中国の景気低迷という別の要因から弱含んでいました。

コンドームを扱う生活用品事業、2024年度の売上高は1.8%減の342億円、セグメント利益は同4.6%減の92億円。減収減益でした。そして2025年度上期の売上高は前年同期間比8.6%減の157億円、セグメント利益は23.8%減の37億円。2桁もの減益となったのです。

地域別売上高では、アジアが18.5%も減少しました。要因に中国の景気低迷を挙げています。なお、北米は1.5%の増収、国内は1.4%の減収でした。中国を中心としたアジアが急減しています。

ポイントはエリア別の売上規模。2024年度の上期における日本の売上は82億円で、アジアは75億円でした。アジアは日本の緩やかな減少を補って成長を支えるポテンシャルを持っていました。しかし、今期上期のアジアの売上は61億円まで縮小。減収ペースが早すぎると、たちどころに赤字になる懸念があります。

そして、北米の売上は10億円台であり、伸びる潜在性を持っているとはいえ、アジアの減収を補填できる規模ではありません。

中国景気の停滞感は鮮明になっています。企業の購買担当者などの景況感を集計した製造業PMIは、2025年11月に8カ月連続で好景気・不景気の境目である50を下回りました。不動産業界の冷え込みも日に日に増しています。

不二ラテックスは栃木工場の稼働を停止

中国国家統計局によると、2025年8月の16歳から24歳の若者の失業率は18.9%。学生を統計から外しても2023年12月以降で最も高くなりました。深刻な就職難で、中国の公務員試験の倍率が上がり続けていますが、これは日本の就職氷河期を彷彿させます。

日本の就職難に重なるようにして出てきた言葉が「草食男子」であり、中国でも若者の草食化が取り沙汰されるようになりました。

人口減少と景気停滞、若者の草食化は、かつての日本に驚くほど似ています。日本のコンドーム市場は緩やかな停滞局面へと入りましたが、中国は猛スピードでそれが進んだということになるのかもしれません。

そして、停滞感が鮮明になる中での13%増税の影響は計り知れません。厳しい冬の時代を予感させます。

国内のコンドーム製造会社の状況は大きく変化しています。不二ラテックスは、栃木工場でのコンドームの製造を停止しました。建物や設備の老朽化が進んだため。コンドーム販売は主力商品の「SKYN」に集中し、OEMでの生き残りに賭けました。

相模ゴム工業はコンドームを扱うヘルスケア事業が、2024年度は8.4%の減収でした。国内外ともに販売が伸び悩んでいます。

相模ゴムは技術開発力に優れており、コンドーム史上初という0.01mm台のポリウレタン製コンドームを扱っています。しかし、かつての爆買いのような旺盛なインバウンド需要を獲得することができていません。

ただし、2025年上期は7.2%の増収。越境ECプラットフォームを活用した販売拡大戦略が奏功したといいます。

相模ゴムはオカモトと比べると売上規模はまだ少なく、小回りを利かせた販売手法でシェア伸ばす余地は十分にあるように見えます。一方、越境ECが主に中国のものだったとすると、増税による影響を受ける可能性もあります。

旅行業界を中心に中国依存の危険性が言及されるようになりましたが、コンドーム業界でもそのリスクが顕在化する結果となりました。

Author
大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融、経営戦略を中心とした記事を執筆中。得意分野は外食、ホテル、映画・ゲーム、エンターテインメント業界など。

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