投資は数字で判断するものと思っていても、実際には不安や期待に心が揺さぶられがち。値動きに焦ったり、他人の利益に振り回されたりするのは、誰にでも起こる心理のクセが原因かもしれません。本記事では、投資判断を狂わせやすい心理と、感情に飲まれず冷静さを保つための具体的な対処法を解説します。
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投資は、本来「数字で淡々と判断するもの」のはずなのに、いざ始めてみると心が大きく揺さぶられるものです。
上がれば期待してしまい、下がれば不安が膨らむ。冷静でいたいと思っているほど、思い通りに感情が動いてくれない。そんなギャップに悩む声は少なくありません。
そこで今回は、投資中に起きやすい心の揺れを整理しながら、心理学の視点から“感情に振り回されない投資”につながるヒントをご紹介します。
投資では、なぜ気持ちが揺れやすくなるのか

投資中に湧く不安や焦りには、きちんと理由があります。まずは、投資で心が揺れやすくなる背景を見てみましょう。
投資を始めると、数字を見ているだけのつもりでも、気持ちが大きく動く場面が増えます。
買った直後に値が下がると落ち着かなくなったり、含み損の画面を見るのがつらく感じたり。反対に、上昇チャートを見ると期待が膨らんだり、SNSの利益報告に焦りを感じたりすることもあります。
値動きは脳にとって強い刺激になるため、不安や期待が自然と引き出されるのです。さらに、損失を見るたびに、「なんでこんな銘柄買ってしまったのだろう…」と、ひとり反省会が始まってしまうこともありますよね。ただ、投資の結果は市場環境にも左右されるため、判断と結果がズレることは珍しくありません。
とはいえ、気持ちが揺れたまま判断しようとすると、迷いが増え、「よく考えずにナンピン買いしてしまった」「損切りのタイミングを逃してしまった」といった、後悔につながる決断をしてしまうこともあります。
落ち着いて判断するには、「なぜ気持ちが揺れるのか」を理解しておくことが大切です。まずは、投資中の判断をゆがめやすい心理のクセを知るところから始めていきましょう。
投資する際に知っておくとラクになる投資心理の基本5選
投資の判断がぶれやすくなる背景には、誰にでもある「心理のクセ」があります。代表的なものを整理しておきましょう。
(1)損失の痛みは利益の2倍大きい(損失回避バイアス)
人は、利益の喜びよりも損失の痛みのほうを強く感じます。そのため、含み損の銘柄を手放せずに抱え込んでしまったり、「もう少し待てば戻るかも…」と判断が遅れてしまうことがあります。損失を確定させる行為は心理的負担が大きく、合理的に判断したいと思っていても、つい先延ばしにしてしまうのです。
(2)取り残される不安が焦りを生む(FOMO)
SNSで急騰銘柄や利益報告を目にすると、「自分も今買わないと損をするのでは」と焦ってしまうことがあります。これは「FOMO(Fear of Missing Out)」と呼ばれる心理で、他人の成功が強い刺激となり、自分の判断基準が揺らぎやすくなります。
(3)見たい情報だけを集めてしまう(確証バイアス)
「この銘柄は上がるはず」と思い込むほど、都合の良い情報ばかり目に入り、リスクに関する情報が見えにくくなる傾向があります。結果的に判断が偏り、損失を拡大させてしまうことも。自分の予測を裏付ける材料ばかり探していないか、ときどき意識しておきたいポイントです。
(4)みんなの行動につられてしまう(群集心理)
相場全体が盛り上がっていると、自分も参加したくなりますし、暴落時には売らないと危ないと感じやすくなります。集団の動きは安心感を生みますが、判断の根拠を薄めてしまうこともあります。周囲の影響が強いときほど、冷静な判断が必要になります。
(5)過去の価格に縛られてしまう(アンカリング)
「かつて1万円だったから、今の8000円は安い」。こうした過去の基準に心が引っ張られてしまう現象をアンカリングと呼びます。実際には市場環境も企業価値も変わっているため、過去の高値
が根拠になるとは限りません。数字そのものではなく、今の状況を基準に判断する意識が大切です。
今すぐできる!感情に飲まれず冷静に判断するための対処法
心理のクセをふまえたうえで、実際の投資判断を乱れにくくする行動の工夫をいくつか紹介します。
(1)売買ルールを事前に紙に書いておく
投資中に気持ちが揺れるほど、判断も乱れやすくなります。そこで有効なのが、あらかじめ「買う条件」「売る基準」「損切りライン」を紙に書いておくこと。感情が動いているときほど、この「落ち着いている自分が決めたルール」が支えになります。決めた基準を視覚化しておくことで、衝動的な売買を防ぎやすくなります。
(2)値動きをチェックする回数を決める
価格を頻繁に見れば見るほど、不安や焦りが増します。「朝・昼・夜の3回まで」など、チェックする回数をあらかじめ決めてしまうと、気持ちに余裕が生まれます。過剰なチェックは、判断の質よりも感情の揺れを強くするだけ。見すぎない仕組みをつくることが、結果的に冷静さを保つ助けになります。
(3)SNSや掲示板と距離を置く
SNSは、人の成功体験が流れやすい場所です。他人の利益報告が続くと、FOMOが刺激され、自分の判断軸がぶれやすくなります。「投資判断をする日は見ない」「必要な情報源だけに絞る」など、距離を置く工夫が効果的です。
(4)気持ちを書き出して「いったん外に出す」
投資判断の前に、不安・焦り・迷いなどをメモに書き出すと、気持ちが整理されます。頭の中だけで考えていると感情が増幅しやすいのですが、書くことで自分の感情を客観視することができます。心理カウンセリングでも用いられる方法で、判断の前に自然と冷静さが戻りやすくなります。
(5)冷静に判断できた日は、自分をしっかり認める
たとえば「焦らず買わなかった」「感情的に売らなかった」。そうした小さな成功体験を積み重ねることは、判断の安定につながります。自分を責める癖が強い人ほど、意識的に「できた行動」に目を向けることで、投資のメンタルが整いやすくなります。
感情に振り回されない仕組みを持とう
投資では、不安や焦りといった感情が判断をゆがめることがあります。こうした揺れは誰にでも起きる自然な反応であり、心理のクセを理解することでコントロールしやすくなります。大切なのは、感情に振り回されない仕組みと判断軸を持っておくこと。投資を長く続けていくためにも、感情を上手にコントロールしていきましょう。
構成/高見 綾
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