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紙で届くアナログなDMで反応は2倍に!進化を続けるパーソナライズDMサービスの魅力

2025.12.29

昨今は、メールやSNSなどを通じたデジタルマーケティングが定着しているが、かえって紙によるDMの価値が高まっている。そして最近では個別最適化された「パーソナライズ化」が進んでいるとか。

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今回は、紙DMのパーソナライズ化と今後の進化の可能性について、パーソナライズDMサービスを提供するラスクルとSENSYに聞いた。

ターゲットに最適な文面やデザインのDMを出し分ける!

ラクスル株式会社は、2025年7月に「パーソナライズDM」サービスを提供開始。顧客の反応に応じたクリエイティブやメッセージ文面、フォーマットなどを複数パターン設定し、出し分けるのが特徴だ。

DMにはQRコードを掲載し、受け取った顧客がスマホで読み取り、アクセスすることで反応率を計測できる。

フリー株式会社の事例では、デザイン内のテキストや数字の⼀部を 1 枚ずつ差し替えて印刷するバリアブル印刷を用いて、宛名や QR コードを個別に差し替えたパーソナライズ DM を実施。その結果、既存顧客企業向けの施策で従来⽐ 2~3 倍の反応率を記録した。

DMとしての役割を明確に使い分けたことが成功の鍵

ラスクル執行役員 ラクスル事業本部 Mraketing&Business Supply 統括部 統括部⻑の木下治紀氏は、この事例において成果につながった決め手について次のように語る。

「本事例では、ターゲットに応じてDMの役割を明確に使い分けたことが成果の最大の要因です。具体的には、以下の2点が挙げられます」

1つ目は、既存顧客へ「セールス」ではなく「対話」のチャネルとして活用していること。

「既存のお客様(企業)に対しては、一方的にサービス情報を送りつけるのではなく、『お客様の声を拾う』ことに主眼を置きました。

具体的には、アンケート調査を兼ねたDMを送付することで、オフラインの接点を『双方向のコミュニケーションの場』へと転換しました。これにより、顧客の現状やニーズを正確に把握し、その回答に基づいて本当に必要な情報だけを後から届けるという、信頼関係を深めるサイクルを構築しました」

2つ目は、新規顧客に対し、「ノベルティ」と「個別化」で開封の壁を突破したこと。

「アプローチが難しい新規のお客様(企業)に対しては、まずDMを開封してもらうためのフックとしてノベルティの『バスソルト(入浴剤)』を同封しました。これは単なるバラマキではありません。

中身のコンテンツは、各企業の状況に合わせて『IT導入補助金』の活用メリットを訴求する内容にパーソナライズされています。

『ギフトによる情緒的なアプローチ』と『補助金という実利的なメリット』を掛け合わせることで、自分ごととして捉えてもらい、高い反応率につなげました」

今後、パーソナライズDMは、どう進化していくだろうか。

「今後のパーソナライズ化は、デジタルとアナログを融合させた『高度な自動化』へと進化すると考えています。まず、DM送付後の反応データをトリガーとして、その後のWeb接客やオフラインでのアプローチを自動的に実行するシームレスな連携が可能になります。

また、顧客ごとの嗜好に合わせた『最適なギフト』の選定から発送までを自動化する仕組みも普及すると考えています。

さらに、CDP(顧客データ基盤)やAIエージェントと連携することで、膨大なデータから『最適なタイミング・送付先・内容』を瞬時に導き出し、個々に最適化されたDMを自動発送する世界が実現します。これにより、人手を介さずとも極めて精度の高いOne to Oneコミュニケーションが可能になると思っています」

今後はDMの直接送付するメリットを活かしたギフト化の可能性も生まれそうだ。AIエージェントとの協働も期待したい。

感性解析AIのパーソナライズ化で顧客に刺さるDMを送付

SENSY株式会社は、感性解析を行えるAIによるパーソナライズDMを提供している。

一人ひとりの感性を個別に解析するパーソナル人工知能「SENSY」が、ECでの購入履歴や属性などをもとに、一人一人の感性や好みを学習し、個々人に合わせた商品を個別に掲載する、カスタマイズされたDMを送付する。

はるやま商事の事例では、SENSYが顧客ごとの購買履歴や嗜好データを分析し、DMに掲載するおすすめ商品やメッセージ、オファー内容まで顧客一人ひとりに最適化した。

同社の代表取締役CEOで、AI研究者でもある渡辺 祐樹氏は、本事例の成功要因と成果について次のように話す。

「パーソナライズにより顧客に特別感を与え、通常の一斉DMにはない高い効果を生み出しました。実際、ABテストでは購入確率が通常施策比159%、客単価が142%、売上貢献率が225%にまで向上しました」

すでにパーソナライズDMは活用が進んでいるが、AIを活用することのメリットにはどんなことがあるか。

「AIの活用によって、大量のデータから顧客一人ひとりの嗜好や感性を学習し、それに合わせた商品提案やメッセージを自動生成することができます。

その結果、お客様に本当に響く情報だけを届けることが可能となり、無駄のないOne to Oneコミュニケーションでレスポンス率を大幅に高められます。特にSENSYのAIは『感性』を軸に嗜好パターンを解析できる特徴があり、従来は困難だった精緻なパーソナライズを実現できる強みがあります」

今後、パーソナライズDMは、どう進化していくだろうか。

「今後はAI技術の進化とともに、パーソナライズもさらに高度化し、あらゆるチャネルで一人ひとりに最適な情報を最適なタイミングで提供する時代になるでしょう。

企業にとってはビッグデータの活用・分析力が競争力の鍵となり、ユーザーには必要な情報だけが届けられる世界が一層進むと考えています。

そのような世界では、広告でさえユーザーに有益な提案として受け入れられるようになり、企業と顧客双方にメリットのあるコミュニケーションが実現していくと考えています」

ユーザーに必要な情報だけが届けられる世界、というのは、この情報過多時代のタイパが求められる今、素晴らしい響きに聞こえる。

DMのパーソナライズ化は、紙媒体のアナログとデジタルを掛け合わせた新たなフェーズに突入している。今後の進化が楽しみだ。

取材・文/石原亜香利

Web業界からライターに転身し独立。メディアのコラム記事執筆や、Webの知識を活かしたSEOライティングを通じ、IT、ビジネスからライフスタイル、グルメまでわかりやすく面白く役立つ情報を読者視点で伝えることを心がけている。

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