「気が置けない」は、意味を勘違いしがちな慣用句です。文化庁の過去の調査では、半数近くの人が本来の意味を誤解しています。ビジネスでは、遠慮しない親しい間柄に対して使用できます。「遠慮する」という真逆の意味で使わないよう、注意が必要です。
目次
「気が置けない」は、遠慮や気を遣う必要がない間柄を指す言葉です。「気を遣う」という意味に勘違いされがちですが、本来の意味はまったく異なります。本記事では、「気が置けない」の意味について紹介します。ありがちな誤用例も参考に、正しい使い方を確認していきましょう。
慣用句「気が置けない」の正しい意味

「気が置けない」は、気配りや遠慮がいらない人に対して使用します。「気」を「置く」という2つの語句を重ね、新たな意味をもたせた慣用句です。
日常生活やビジネスでは、緊張せずリラックスして過ごせる間柄を意味します。主に、同僚や友人との関係を表すときに適した表現です。
気を付けたいのは、目上の人に対して使うケースです。場合によっては、少々失礼な印象を与える可能性があります。
「あなたの前ではリラックスできます」と親しみを込めたつもりが、「自分には遠慮も気遣いもないのか」と受け取られる可能性もあるため、相手との関係性を考慮しながら使用してください。
「気が置けない」の誤用例

「気が置けない」は、本来とは反対の「相手への配慮が必要」という意味で誤用されがちです。
実際に、文化庁による平成24年度「国語に関する世論調査」では、47.6%の人が「気が置けない」は「相手に対して気配りや遠慮をしなくてはならない」という誤った意味だと回答しました。
本来の「相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい」という回答をしたのは、それを下回る42.7%です。
たとえば、気遣いが必要な上司との関係を、以下のように表すのは誤用にあたります。
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・気が置けない課長の前では、いつも言葉が詰まってしまう。
「相手への配慮が不要」という本来の意味で使うのであれば、以下の言い回しが無難です。
・気が置けない課長の前では、心を許して何でも話せる。
本来の意味をきちんと把握し、誤った使い方をしないように気を付けましょう。
「気が置けない」のビジネス例文

「気が置けない」は「気を遣わなくて済む」、「遠慮がいらない」というニュアンスを含む慣用句です。そのため、親しくカジュアルな関係性を示す一面があります。
言葉の意味をふまえると、フォーマルな場面や取引先とのメールでは、使用を控えるのが無難です。具体的には、以下のようにビジネスシーンに取り入れてください。
・入社して間もないが、フレンドリーな彼とは、すっかり気が置けない間柄だ。
・さまざまな苦楽を共にしてきた同期は、自分にとって気が置けない存在といえる。
・後輩から「先輩は気が置けなくて助かります!」と言われたが、少々複雑な心境だ。
・課長は気が置けない人柄で、日頃から不安や悩みを相談しやすい。
「気が置けない」の類語や言い換え表現

「気が置けない」には、次のような類語や言い換え表現があります。
・気の張らない
・気さくな
・腹を割って話せる
いずれも遠慮がいらない、親しい間柄に適した言葉です。ここでは「気が置けない」との違いとともに、それぞれの意味を確認しましょう。
■「気の張らない」
そもそも「気の張る」とは、緊張で心が引き締まることです。心を奮い立たせるといった意味も含まれます。
「気の張らない」は、そのような心持ちが不要な状態を表します。「気が置けない」のような、遠慮がいらない関係に適した表現です。
・同期入社の彼は、ともに成長できるライバルであると同時に気の張らない友人だ。
・彼とは悩みや不安を共有しながら、今後も気の張らない関係を築いていきたい。
■「気さくな」
「気さく」とは、気取らないさっぱりとした人柄のことです。また、親しみやすい様子を表します。
「気が置けない」のように、特別な配慮を必要としない相手に適した表現です。さらに「打ち解けやすい性格」というポジティブなニュアンスも加わります。
・初めての商談で緊張していたが、担当者が話しやすく気さくな方で助かった。
・上司の誰にも分け隔てない、気さくな人柄に憧れる。
■「腹を割って話せる」
「腹を割る」とは、包み隠さず本心を打ち明けることです。「腹を割って話せる」は、それほどまでに信頼し心許せる関係性を表します。
「気が置けない」に比べ、よりくだけた印象を与えるフレーズです。ビジネスシーンでは、悩みを相談できる同僚や、仲間内との会話に適しています。
・彼は仕事の悩みからプライベートの不安まで、何でも腹を割って話せる、かけがえのない友人だ。
・1人で悩みを抱え込まず相談してほしい。自分には、何でも腹を割って話せると言っていたじゃないか。
「気が置けない」の対義語は「気が置ける」

親しい関係を示す「気が置けない」と違い、何となく打ち解けられない様子は「気が置ける」と言い表します。
「気(配慮や緊張)」が「置ける(必要)」という意味をもつ言葉です。使用例を参考に、「気が置けない」と「気が置ける」の違いを正しく理解しておきましょう。
・彼は何となく声がかけづらく、社内で気が置ける存在だ。
・午後の外回りは気が置ける先輩が同行するらしく、今から気が重たい。
「気が置けない」をビジネスで使う場合の注意点

「気が置けない」は、誤用しやすい慣用句です。そのため、ビジネスでは第一に意味を正しく理解する必要があります。
他者から言われた場合は、誤用の可能性を意識する姿勢も大切です。会話の前後から、相手の意図を汲み取りましょう。
自分が発言する場合は、互いの立場に配慮してください。カジュアルになりすぎないよう、目上の人や取引先などに対しては「信頼できる間柄」、「友好な関係性」などへの言い換えをおすすめします。
「気が置けない」の誤用に気を付けよう

「気が置けない」を使うと、相手との親密な関係性を表現できます。反対に「遠慮してしまう」と言いたいときは「気が置ける」を使用してください。
誤用はもちろんですが、その場に応じた使い分けも大切です。親しみやすい人柄を示す場合は「気さくな」、より深い関係性には「腹を割って話せる」など、的確な表現を心がけましょう。
相手が目上の立場にある場合は、よりフォーマルなフレーズが適しています。「気が置けない」やその他の語句の意味を正しく理解しビジネスシーンで活用してください。







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