「指名経済」とは個人クリエイター向けプラットフォーム・MOSHが提供する経営コンセプトだ。AI時代だからこそ個人への注目が高まり「誰から買うか」「誰に教わるか」が重視されるという新たな経済のあり方についてまとめた。
目次
「指名経済」という言葉を聞いて、意味や具体的な内容をイメージできる人は、まだ少数派だろう。指名経済とは個人クリエイター向けのECプラットフォームを運営するMOSHが提唱する営業・ブランディング戦略を指す。
情報がインターネット経由で簡単に手に入る時代に、個人の知見や経験に価値を見出し、ビジネスにつなげると聞くと、興味を抱く人も多いのではないだろうか。
そこで本記事では「指名経済」の考え方と、個人ブランディングに注目したサービスを提供するMOSHの事業について解説する。
指名経済とは何か?
指名経済は、MOSH株式会社が打ち出している新しい経済モデルだ。物やサービスを提供する事業者を、ユーザー側が指名・選択する経済圏を指す。指名経済の特徴と従来の消費行動との違いを見てみよう。
(なお、指名経済という用語は、現時点ではMOSHが独自に提唱するコンセプトであり、業界内での統一された定義はない。本記事では主にMOSHの考え方として紹介していく。)
■「指名経済」のコンセプト。「何を買うか」ではなく「誰から買うか」
指名経済では、「何を買うか」が中心だった従来と異なり、同種の物やサービスを「誰から買うか」が重要な選択基準になるという。個人が持つ専門性や価値観・情熱などへの共感が購買の決め手になるとする考え方だ。
■指名経済と従来の消費行動の違い
指名経済の最大の特徴は、従来の価格競争から距離を置ける点にある。ECサイトやオンラインスクールでは同じプラットフォーム上に類似の物やサービスが並び、消費者は価格や機能を比較してそれらを選択するのが一般的だ。
一方、指名経済では、消費者側に「あの人から買いたい・学びたい」という明確な意思があるため、他のサービス提供者と比較されにくい。
個人ビジネスで指名経済が注目される背景
MOSHビジネス責任者・秋葉氏によれば、個人のクリエイタービジネスが高まりを見せている背景には以下のような時代の変化があるという。
※参考:急速拡大する“指名経済”のインフラをつくる――いち個人が企業レベルの売上をつくる時代に求められる事業開発とは?|あきば @MOSHのビジネス責任者
■消費者の信頼・選択基準の変化
SNSの普及により、人々の信頼の基準が、「資格・立場などの肩書」から「日々の言動・発信内容」へと移っている。SNSでの発言内容が、その人の専門性や価値観を判断する基準となっていると言える。
■サービス提供方法の変化
インターネット環境が普及したことで、物やサービスの購入に対する地理的な制限が弱まり、「場所」よりも「提供する中身」に対しての評価が重視される。専門性があれば、遠隔地や海外の消費者へのアプローチも可能。
■ソフトウェアおよびツール環境の変化
決済システム、予約管理、顧客管理、動画配信、コミュニティ運営など、事業運営に必要な基盤ツールが個人にも手の届く価格で利用できるようになった。専門性を持つ個人が、自力で事業を組み立てられる環境が整っている。
このような環境の変化により、個人が消費者からの信頼を得てビジネスを提供する地盤が整い、そのことが「指名経済」の意義も高めていると言えるだろう。
指名経済を提唱するMOSHとは?
それでは、指名経済を提唱するMOSHとはどのようなサービスを提供している企業だろうか。個人でビジネスを考えている人にとっては気になるMOSHの事業内容も見てみよう。
■MOSHの事業概要とサービス理念
MOSH株式会社は2017年7月に設立したECプラットフォームだ。「ヨガ」「家庭教師」「育児」「音楽レッスン」「資格取得」「料理教室」といった多彩なサービスやスキルを提供する個人クリエイターがビジネスを提供する場としてのプラットフォーム機能を提供している。
集客の場に加えて、クリエイターのプロフィール・ページの作成や予約・決済・顧客管理といった各種システムも提供している点が特徴だ。
■MOSH 2.0によるアップデート
2025年12月からはMOSHの主要な機能を段階的に刷新する「MOSH 2.0」を開始。AI機能も搭載し、個人のクリエイターが直面する集客・販売・顧客管理・動画や資料の作成といった各種業務のサポート環境を整えていくことを発表している。
指名経済にビジネスチャンスはある?

まだ新しいビジネス概念である指名経済だが、将来的なビジネスチャンスはあるのだろうか。
■個人ビジネス市場の成長性
MOSHの登録クリエイター数は85,000名を超えている。年間流通総額も前年比で大きく成長しており、2025年12月時点で150億円を突破した。ただし、MOSHのビジネス責任者である秋葉氏によれば、「現在のユースケースでも市場浸透度は10%未満」と述べており、まだ大きな成長余地があることが見込まれている。
■個人クリエイターの高収益事例
MOSHの公式発表によると、プラットフォーム上では月商数千万円規模の個人クリエイターが登場している。また、日経新聞の報道では「半年54万円」という高単価の講座が実際に購入されている。
※参考:
令和の“子育ての味方”はスマホの中に。SNSクリエイターが担う新しい子育てのかたち | MOSH株式会社のプレスリリース
憧れの人の授業、半年54万円も惜しくない MOSHが回す指名経済 – 日本経済新聞
このような高単価サービスがビジネスとして成立するのは、指名経済の特徴でもある「あの人から学びたい」「この先生だから価値がある」といった消費者からの信頼と言える。
個人の体験・スキル・専門性・パーソナリティに重きを置く指名経済は、AIが発達し、ネット上に情報が溢れる現代だからこそ価値を持つ新しい経済概念と言えるだろう。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/長尾尚子







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