ストレスチェックを行う際の注意点

ストレスチェックの実施では、進め方や不利益取扱いの防止など、いくつか注意したい点があります。
主な注意点について、詳しくみていきましょう。
■段階を踏んで実施する
従業員が50人未満の企業では、産業医の選任義務がなく、産業医を確保していないケースも少なくありません。 このような環境では、いきなり集団ごとのストレス傾向を分析したり、職場改善に着手したりするのは負担が大きいでしょう。
そのため、ストレスチェックを無理なく行う仕組みをつくるために、次のような段階を踏んで進める方法が効果的です。
・1年目: ストレスチェックを実施し、高ストレス者が医師に相談できる体制を整える
・2年目: 集団分析を取り入れ、職場の課題を把握する
・3年目以降: 分析結果をもとに、働きやすい環境づくりに取り組む
段階的に進めることで、規模の小さい企業でも着実に制度を運用できるようになるでしょう。
■従業員への不利益な取扱いを防止する
ストレスチェックの結果を理由に、配置転換・評価・昇進などで不利益を与えることは禁止されています。従業員が安心して回答できる環境をつくるためにも、「結果は本人の同意なく利用しない」ことを明確に伝える必要があります。
また、結果を集団分析として活用する場合でも、個人が特定されない形で扱うことが大前提です。不利益取扱いの禁止は制度の中核となるものであり、徹底することで従業員の協力が得られ、より信頼性の高い運用につながります。
■プライバシーの保護に配慮する
ストレスチェックは個人の心身状態に関わるセンシティブな情報を扱うため、プライバシー保護は重要なポイントです。回答内容や結果は、担当者以外が勝手に閲覧できないよう厳格に管理しなければなりません。
電子管理の場合も、アクセス権限の制限や保存方法に注意が必要です。また、従業員が安心して参加できるよう、「結果は本人に直接通知され、会社には本人の同意がない限り提供されない」といったルールを明確に示すことが信頼の構築につながります。
メンタルヘルス義務化に向け体制を整えよう

2025年の労働安全衛生法改正により、ストレスチェックはすべての企業で義務化される方向になりました。職場のメンタルヘルス対策は、これまで以上に重要性を増しています。
小規模企業でも適切に制度を運用することで、従業員の健康維持や離職防止、生産性向上といった効果が期待できます。実施方法や体制整備のポイントを押さえ、企業規模にかかわらず、実効性の高いメンタルヘルス対策を進めていきましょう。
構成/須田 望







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