2025年の法改正で、すべての会社に職場のメンタルヘルスが義務付けられました。知らないと困る必要な準備を確認し、早めの対応が大切です。
目次
法改正でストレスチェックが義務化されたことを受け、対応に迷っている会社は多いのではないでしょうか?労働安全衛生法の改正により、会社にはメンタルヘルスの推進に向けた体制の整備が求められています。
本記事では、職場のメンタルヘルスで義務化された内容や、実施の手順などについて詳しく解説します。
職場のメンタルヘルス義務化の内容は?

2025年の労働安全衛生法の改正により、 従業員50人未満の企業でもストレスチェックの実施が義務化されることになりました。
ここでは、法改正の内容や、改正に至る背景を解説します。
■従業員50人未満でストレスチェックを義務化
ストレスチェックとは、労働者が現在のストレス状況を把握し、メンタルヘルスの不調を防ぐために行う簡単な質問票形式の検査です。質問に回答することでストレスの度合いや傾向を確認できる仕組みになっています。
労働安全衛生法では、これまで「従業員50人以上の事業所」に対して年1回の実施を義務付けていました。
一方、従業員50人未満の小規模企業では努力義務とされていましたが、2025年5月に成立した労働安全衛生法の改正により、すべての企業で年1回のストレスチェック実施が義務付けられます。
実施の時期は、公布から3年以内(最長で2028年ごろ)とされています。
参考:厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)
■法改正の内容
2025年における労働安全衛生法の改正では、ストレスチェック制度の実効性を高めるため、制度全体の運用改善を進めています。
具体的には、小規模企業でも適切にストレスチェックを実施できるよう、検査方法の見直しや外部機関の活用を促す内容です。
また、結果を踏まえた職場環境の改善措置や、必要に応じた面接指導など、ストレスチェック後に事業者が取るべき対応についても明確化が図られています。
これにより、企業規模に関係なく、労働者のメンタルヘルス対策を継続的に実施する体制の整備が求められます。
■法改正の背景
労働安全衛生法改正の背景には、労働者のメンタルヘルス不調が増加し、小規模企業で対策が遅れているという課題があります。
従業員50人未満の企業では、人手不足で専門スタッフや体制を整える余裕がないケースも多く、ストレスチェックの実施率が低いのが実情です。そのため、メンタルヘルス不調の早期発見や職場改善が十分に行われていないという課題があります。
こうした状況を踏まえ、企業規模に関係なく労働者の健康を守る体制整備の必要性が高まり、ストレスチェック制度の義務化が拡大される運びになりました。
職場のメンタルヘルスを実施するメリット

業務量の偏りや人間関係の問題、職場環境の不備など、従業員が日常では伝えにくい課題も浮き彫りになりやすくなるでしょう。
企業はこれらの情報をもとに改善策を講じることで、働きやすい環境づくりにつながります。ストレスの原因を特定することは、トラブルの予防にも役立つでしょう。
■生産性が向上する
メンタルヘルス対策を進めることで、従業員が心身ともに健康な状態で働けるようになり、業務への集中力が高まります。ストレスや不安が減って仕事に集中できるようになれば、ミスの防止や業務効率の向上が期待でき、結果として生産性が高まるでしょう。
また、職場環境が整うとモチベーションも維持しやすく、従業員には主体的に仕事へ取り組む姿勢が生まれます。
さらに、休職や離職が減ることで人員不足による従業員の負担も抑えられ、組織全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。
■企業イメージが高まる
職場でメンタルヘルス対策を実施することは、従業員の心の健康を守るだけでなく、企業全体の生産性向上にもつながる重要な取り組みです。
ストレスや不調を早期に把握し、適切な支援を行うことで、離職防止や職場環境の改善が期待できます。
ここでは、企業がメンタルヘルス対策を導入することで得られる主なメリットについて解説します。
■メンタルの問題による離職を防げる
メンタルヘルス対策により、従業員の離職を防止できる点が大きなメリットです。ストレスや不調を早期に発見し、適切なフォローを行うことで、精神的負担が重くなる前にケアができます。
その結果、仕事への不安やプレッシャーが原因で離職を選ぶケースを減らすことが可能です。また、相談体制やサポートが整っている職場は従業員が安心して働けるため、組織への信頼感が高まり、定着率の向上につながるでしょう。
■職場のストレス要因を把握できる
メンタルヘルス対策の一環としてストレスチェックや面談を行うことで、職場に存在するストレス要因を把握できる点もメリットです。
メンタルヘルス対策に積極的に取り組む企業は、従業員を大切にする姿勢が外部からも評価されやすく、企業イメージの向上につながります。
安心して働ける環境を整えることで、求職者からも「働きやすい会社」と認識され、求人への応募を増やす効果が期待できるでしょう。
また、従業員満足度が高まることで社内からの好意的な発信も増え、企業の信頼度や社会的評価がさらに高まります。
結果として、顧客や取引先からの信用獲得にもつながり、企業価値の向上へとつながるでしょう。
メンタルヘルス義務化に向けて行う手順

メンタルヘルス対策の義務化に向けて、すべての会社が適切な体制づくりを進めていかなければなりません。しかし、「何から着手すべきかわからない」というケースも多いでしょう。
義務化への対応は、手順を押さえて準備を進めることが大切です。
ここでは、メンタルヘルス対策をスムーズに導入するための手順をご紹介します。
■1.自社実施か外部委託かを決める
まず、ストレスチェックを自社で実施するか、専門機関へ外部委託するかを決定します。自社で実施する場合は担当部署や担当者の選定が必要ですが、コストを抑えやすいのがメリットです。
一方、外部委託は専門家によるサポートが受けられ、実施の負担を大幅に軽減できます。企業の規模や人員体制、予算を踏まえ、自社に最適な方法を選ぶことが重要です。
■2.実施体制を整備する
外部に業務を委託する場合でも、最終的な責任は会社が負う点は変わりません。そのため、いずれの方法で行う場合でも、ストレスチェックをどのように進めるかを整理し、担当者や実施方法などの実施体制を自社で整える必要があります。
準備段階では、実施のタイミングとサイクル、利用する質問票の種類、ストレスの判定基準などの項目を事前に決定しておくとスムーズです。
方針や実施方法が固まったら、文書化して従業員に周知しましょう。 特に「結果は本人の同意なしに企業へ提供されない」「人事評価への影響は一切ない」といった点を明確に示し、安心して受検するための環境づくりが必要です。
■3.面接指導の実施体制を整える
ストレスチェックの結果、高ストレスと判断された従業員が面接指導を希望した場合、医師による面談が必要になります。
そのため、事前に産業医や外部医療機関と連携し、面接指導を適切に実施できる体制を整える必要があります。
面接の手順や実施場所、記録方法なども事前に定めることで、従業員が安心して相談できる環境が整います。
■4.調査票の回収・評価・通知を行う
従業員が回答を終えたら、調査票を適切に回収します。紙で実施する場合は、封筒に入れたうえで封をして提出してもらうなど、回答の内容が外部に漏れない仕組みにすることが大切です。
回答は他人に知られないことを事前に周知し、安心して記入できる環境を整えましょう。
回収後は、定めておいた基準に沿ってストレス状況を評価します。判定結果は本人のみに通知し、必要に応じて面接指導の案内を行ってください。
ストレスチェックの進め方や準備すべき体制については、 厚生労働省が公開している「ストレスチェック制度導入ガイド」が参考になります。







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