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苦しいのは〝弱い〟からじゃない!自分のことを責めなくする心の仕組み「モジュラリティ」の重要性

2025.12.31

止めようとしても湧き上がる不安や、特定の場面でだけ起きる失敗。それはあなたが弱いからではありません。心は一枚岩ではなく、役割の異なる“部品”の集まりでできています。「モジュラリティ」という視点を知ることで、暴走する感情を少し距離を取って眺め、自分を責めずに向き合うヒントが見えてきます。

止めようとしても湧き上がる強い不安や、特定の場面でだけ起きてしまう失敗。そんな自分を「なんてダメな人間なんだろう」と責めてはいませんか。

実は私たちの心は一枚岩ではなく、独立した小さな“部品”の集まりでできています。

この「モジュラリティ」という視点を持つだけで、暴走する感情を少し離れた場所から眺められるようになるはずです。心が勝手に騒ぎ出したとき、どうやって自分を守ればいいのか。心を楽にするヒントをお届けします。

モジュラリティとは

心理学におけるモジュラリティとは、人間の心を“ひとつの大きな塊“ではなく、“独立した機能を持つ部品の集まり”として捉える考え方です。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、仕組みはとてもシンプル。私たちの心は、ひとりの万能な人間がすべてを管理しているわけではありません。そこには無数の専門スタッフが住んでいて、それぞれが勝手に自分の仕事をしているのです。

ここでは心を、巨大な会社組織に例えて、その仕組みを解説していきます。

■心はひとりではなく、組織でできている

あなたの心をひとつの会社だと想像してみてください。普段“私”と認識している意識は、この会社の社長です。

会社なので、社長がすべての業務をひとりでこなしているわけではありません。社内にはさまざまな専門部署が存在します。危険を察知する警備課、言葉を操る広報課、相手の気持ちを推測する営業課などです。

モジュラリティの考え方では、心はこのように役割分担された部署(モジュール)の集合体であると定義します。私たちは何かを見たり聞いたりする度に、脳全体を使っているのではなく、その作業に特化した部署だけを働かせているというわけです。

■社長の決裁を待たずに動く現場担当者たち

この組織の最大の特徴は、各部署のスタッフが独断専行型であるという点です。彼らは社長の命令を待ちません。

たとえば目の前に恐ろしい敵が現れたとします。すると社長が「逃げようかどうしようか」と考えるよりも早く、警備課のスタッフが独断で非常ベルを鳴らします。これが心臓のドキドキや冷や汗といった身体反応です。

これは生き延びるために進化の過程で備わった自動的な反応(心理学でいう防衛反応)です。いちいち社長の決裁を仰いでいては、敵に襲われてしまうからです。

私たちが感情をコントロールできないと感じるのは、社長である“私”が気づく前に、現場がすでに動き出しているせいなのです。

■各部署は説得が通じない個室で作業中

もうひとつの重要な特徴は、各部署が頑丈な壁で仕切られた個室で作業をしていることです。これを心理学では「情報のカプセル化(頭ではわかっているのに、感覚がそれを無視する状態)」と呼びます。

警備課の部屋には、外からの声は届きません。たとえ社長が「あれはオバケじゃなくて柳の木だよ、怖くないよ」と論理的に説得しても、その情報は警備課には届かないのです。そのため、頭ではわかっているのに恐怖が消えないという現象が起こります。

感情が止められずに自分を責めてしまう人がいますが、それは誤解です。感情の暴走は社長であるあなたの能力不足ではありません。現場の警備システムが、少し敏感に作動してしまっただけなのです。

自分を責める前に知っておきたい。悩み別の心のマネジメント

モジュラリティの視点を持つと、感情の暴走や苦手意識はあなたのせいではないとわかります。代表的な3つのケースを組織のトラブルとして捉え直し、自分を許すための視点をお伝えします。

1.不安や恐怖が強くてパニックになるのは、警備システムが誤作動しているだけ

突然のパニックや予期不安。これは心が弱いからではなく、防衛本能(警備課)が張り切りすぎているだけです。

あなたの中にある危険察知センサーの感度が最高レベルになっている状態と言えます。些細な音を猛獣と勘違いして非常ベルを鳴らす。それは命を守ろうとするエネルギーの裏返しです。

「また誤作動だ」と客観視して警備員が落ち着くのを待つ。それだけで心の嵐は過ぎ去ります。

2.「考えすぎてしまう」「感情を止められない」。その思考は、あなたの意思とは無関係

ネガティブな思考が止まらなくても自分を責めないでください。思考の多くは、社長であるあなたの意思とは無関係に現場スタッフが積み上げた報告書のようなものです。

あなたができるのは採用の可否を決めることだけ。「また不安担当が騒いでいるな」と気づくだけで十分です。勝手に湧く思考は、流れる川のようなもの。素手でせき止めようとせず、ただ岸辺から眺めてやり過ごしましょう。

3.仕事はできるのに、恋愛など特定の場面ではダメ。それは各担当のキャリアが違うから

仕事はできるのに恋愛は苦手。こうしたギャップに悩む人も多いと思います。しかし、心は独立した機能の集まりだから、仕方がないことなのです。

それは、仕事部署がエリートで、恋愛部署は新人だったというだけ。まったく別の部屋にいるスタッフなので、すべてを平均的にこなせなくて当然です。

「こっちは優秀だけど、こっちは教育が必要だな」。そうやって自分の得意不得意を認め、場面ごとに適切な担当者を育てていくような気持ちを持ちましょう。そうすることで心は軽くなります。

文・構成/藤野綾子

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精神保健福祉士、産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格を持つ。大学に通い直し、心理の国家資格取得に向けて勉強中。教育施設、就労移行施設などでカウンセラー研修、実務も続けている。

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