次世代経営コンサルタント集団である株式会社フォーバルが運営するフォーバル GDXリサーチ研究所では、第2次トランプ政権発足に伴う関税政策(以下「トランプ関税」)が中小企業に与える影響や対策状況について調査を実施。結果をまとめた「BLUE REPORT 特別号」を2025年12月12日に発行した。
本稿では、その概要を同社リリースをベースにお伝えする。
トランプ関税の影響で最も多い回答 は「影響は受けていない」
第2次トランプ政権発足後に進められている関税交渉等の動きにより、中小企業がどのような影響を受けているかを調査した。その結果、最も多かった回答は「影響は受けていない」であり、66.4%と多数を占めた 。現時点における中小企業全体への直接的な影響は、ある程度限定的であるといえる 。
なお、影響を受けていると回答した企業の中で最も多かった内容は「原材料・部品の仕入れ価格の上昇」23.5%であった 。業種別に見ると、建設業、製造業、卸売業で影響が大きい傾向があり、特に卸売業では約4割の企業が影響を受けていた。

■トランプ関税の影響を受けた企業の70.0%、「対応の必要性を感じている」
トランプ関税の影響を受けている企業に対し、トランプ関税の影響への対応の必要性については、「感じている」が22.4%、「ある程度感じている」が47.6%と、全体の7割が必要性を感じていることがわかった。
またトランプ関税の影響を受けている企業の割合が比較的大きかった建設業、製造業、卸売業では建設業で約6割、製造業と卸売業では約7割が対応の必要性を感じていた。

■実際に対策を講じている企業は14.2%
具体的な対策を講じているかを聞いたところ、「すでに講じている」と回答した企業は14.2%にとどまり、必要性は感じているものの、「講じる予定はあるが、まだ講じられていない」および「講じていない」と回答した企業が8割強を占めた。
多くの企業は必要性を認識しながらも、まだ十分に行動に移せていない状況であることがわかる。トランプ大統領の方針や発言によって今後の状況が変化しうる可能性もあり、それにより、具体的な対応に踏み出しづらい企業も少なくないはずだ。

調査結果まとめ
本レポートでは、第2次トランプ政権による関税政策が中小企業に与える影響とその対策状況について調査した 。
調査の結果、現時点では「影響を受けていない」とする企業が過半数を占め、全体としての影響は限定的であることが分かった 。しかし、影響を受けている企業においては「原材料・部品の仕入れ価格の上昇」が主要な課題となっており、その約7割が対応の必要性を感じている 。それにもかかわらず、実際に対策を講じている企業はわずか14.2%にとどまっており、危機感と実際の行動との間に大きなギャップが存在することが判明した 。
対策が進まない背景には、「どのような対策をすればよいか分からない」という戸惑いや、判断材料となる情報の不足がある 。一方で、先行して対策を講じた企業では、「製品・サービスの価格改定」や「仕入先・販売先の見直し」を実施することで、コスト増加の抑制や利益率の改善といった一定の効果を上げていることも明らかになった 。
トランプ関税の影響は今後、他分野にわたり長期化することが予想される 。中小企業においては、目先の対応だけでなく、価格転嫁やサプライチェーンの再編など、中長期的な視点での経営戦略が求められる 。自社のみでの対応が難しい場合は、外部の専門家の活用や公的支援の利用も視野に入れ、早めの対策を検討し、経営基盤を盤石なものにすることが重要だ。
◎本レポートの詳細はこちらから
http://gdx-research.com/wp-content/uploads/2025/12/bluereport_202512special.pdf
構成/清水眞希







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