DIME MAGAZINE
一般社団法人Generative AI Japan（以下「GenAI〈ジェナイ〉」）は、日経BP社「日経ビジネス」と共同で、生成AIの優れた活用事例を表彰する「生成AI大賞2025」を開催。グランプリ他各賞を決定した。
2025年で2回目の開催となるこのアワードは、生成AI分野の有識者で構成された審査委員会が厳正な審査を実施。グランプリを含む8件が表彰された。
以下、各賞受賞者とその概要をお伝えする。
生成AI大賞2025グランプリ
■株式会社コロプラ「『神魔狩りのツクヨミ』～生成AIで切り拓く新しいエンタメ体験とクリエイションの未来～」
グランプリには生成AIをゲーム体験の核に据えたタイトル『神魔狩りのツクヨミ』をリリースしたコロプラが輝いた。エンタメ領域での生成AI活用がタブー視されるなか、著名クリエイター金子一馬氏と共に独自AI「AIカネコ」を開発。ユーザー行動を起点に唯一無二の金子風カードが生まれる体験を実現したことで、リリース2か月で生成枚数は160万枚を突破した。こうして生成AIでエンタメの可能性を切り拓く新ジャンル「生成ゲー」を創出したことが高く評価された。
生成AI大賞2025特別賞
■株式会社SHIFT「生成AI×社内BPOで拓く『障がい者雇用』の新常識」
SHIFTでは、生成AIチームと障がい者雇用チームが連携。生成AI活用を通じて働き方の質を向上させる取り組みを進めてきた。「AIを人に寄り添わせる」というコンセプトのもと、徹底した業務分解とAI適用業務の仕分けを行ない、個々の適性に応じた活用を推進。その結果、生産性が1.7倍に向上したという。さらに、AIを活用することで従来は困難だった業務に挑戦するメンバーが現れるなど、働き方にポジティブな変化を生み出した。
■株式会社Shippio「国際物流におけるオペレーション現場主導でのAIエージェントの活用」
貿易DXを推進するShippioは、アナログな業務が多く残る貿易業界において、AIエージェントを活用した業務改革に取り組んでいる。その結果、司令塔AIと専門AIが連携する「多層AIエージェント構想」により、ベテランの経験が必要な高難度な業務でも、AIと人が協業することで確実性を担保しつつ、定型業務の7〜9割自動化に成功したという。実践を通じて効率化を実現しており、その成果を業界全体へ展開することを目指す。
生成AI大賞2025優秀賞
■デジタルハリウッド株式会社「AIが“答え”ではなく“問い”を生む創造性を育む教育パートナー『Ututor』」
デジタルハリウッドはneoAIと共同で、クリエイティブ学習向け生成AI「Ututor」を導入。制作物の分析・評価・改善提案を自動化して、いつでも質の高いフィードバックを提供する。目の前の作品だけでなく、その先の選択にも光を当て、受講生が”自分らしい進路”を描けるよう伴走。スキル習得の効率化と教育サービス向上を図る。
■東京都町田市「進化する『マルチ生成AIプラットフォーム』で行政サービスをアジャイル！」
劇的に進化する生成AIをキャッチアップして、速やかなサービス展開を実現するために、アジャイルなサービス開発を可能にする「マルチ生成AIプラットフォーム”AIナビゲーター”」が導入された。この革新的なプラットフォームをフル活用して、ユーザーインターフェースにこだわった行政サービスをアジャイルすることで、新たなユーザー体験につなげ、生成AIの利用を「当たり前」にしていく。
■株式会社中原製作所「生成AIで挑む事業承継！～日本の中小製造業の未来を切り開く～」
岡山市の精密部品メーカーである中原製作所は、事業承継でこれまで捉えにくかった会社の真の価値を、自社製造管理システム「加工屋けんちゃん」のデータとトランスリーの生成AIツール「DataTranslator」で可視化・分析する取り組みを進めている。この取り組みにより、業務効率化による技術承継の時間創出や、会社の技術的価値の再認識という成果が生まれているという。
■三菱電機デジタルイノベーション株式会社「生成AIを活用した、薬剤師向け服薬指導・薬歴生成支援サービス～次世代コミュニケーションサービス『AnyCOMPASS』における生成AIの活用～」
少子高齢化を背景に、保険薬局では薬剤師業務の効率化と患者サービス向上の両立が課題になっており、同社では東大発のヘルスケアAIベンチャーmediLabと共に生成AIを活用したサービスを開発した。安全性に配慮しハルシネーション防止の観点でも工夫を加え、薬剤師の服薬指導・薬歴の作成を生成AIが支援するサービスを実現。ユーザーからも高い評価を受けている。
■日本電気株式会社「AIベースの業務プロセス再構築による抜本的な業務革新」
日本電気は、複雑化した業務プロセスをAIベースで再構築することで、全社的な業務革新を推進。「経営コックピット×AI」による意思決定の迅速化や、問い合わせ業務のAI化などを実現した。これを支えるのが、専門知識を持つAIを社員が高速に開発できる独自プラットフォームだ。この取り組みにより、意思決定サイクル96.7%短縮などの成果を達成。今後は社内実践で得たノウハウを活かし、社会のAI実装に貢献していく。
関連情報
https://generativeaijapan.or.jp/
構成／清水眞希
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