近年のデジタル化社会の発展、および転職市場の活発化に伴い、「手土産転職」と呼ばれる従業員による情報持ち出しや漏洩事件が相次いでいる。USBメモリやクラウドサービスなど、個人が容易にデータを持ち出せる環境が整う一方で、「悪意のない持ち出し」から「意図的な流用」まで、その背景や実態は多様だ。
特に転職や退職、独立の際に発生する情報持ち出しは、企業にとって深刻な知的財産流出リスクとなりつつある。
こうした社会的課題を踏まえてエルテスはこのほど、転職経験者300名を対象に「転職時の情報管理」に関するアンケートを実施し、その結果を発表した。
1.転職者の約5人に1人が情報持ち出し経験あり
「退職時、前職の業務で使用していた情報(紙・データなど媒体問わず)を持ち出した経験はありますか?」という質問に対して、19%の転職者があると回答した。この割合は、アンケート対象者300名のうち57人にあたり、転職者の約5人に1人が情報を持ち出した経験があるという結果となった。
情報を持ち出した経験がある人に、持ち出した情報の内容について調査した結果、「顧客情報(顧客リスト、営業先リスト、取引先・発注業者の連絡先等)」が5.7%で最多となった。
この質問は複数選択可能な回答形式としており、情報持ち出し経験者57名が、各回答を選択した統計数は127となった。つまり、情報持ち出し経験者の多くは「顧客情報」「業務情報」「名刺情報」など、一人で複数の情報を持ち出しているという結果が浮き彫りとなった。
2. 情報持ち出し、背景には「明確な意図」
「情報を持ち出した理由は何ですか?」という質問に対しては、「転職先で業務に活用するため」が29.8%で最多の回答となっており、次いで「仕事の引き継ぎが不十分で必要と判断したため」が28.1%となった。対照的に、「違法・不正とは思わなかったため(誤った認識による)」が3.51%で最少となった。
3. ルール徹底企業でも防げぬ情報持ち出し
「前職では、情報持ち出しに関するルールや対策は実施されていましたか?」という質問に対しては、「知らない、もしくは覚えていない」という回答が34.7%で最多となった。
一方で、「社内規則として明確に定められており、運用もされていた」という回答も30.7%と、二番目に多い回答となっている。
社内規則として明確に定められており、運用もされていた」と回答した人の内訳を見ると、17.4%の人が情報を持ち出した経験があると回答しており、社内規則が定められている企業においても、情報持ち出しが発生していることがわかる。
<調査概要>
名称:転職時の情報管理に関するアンケート
対象期間:2025年10月24日
対象:21~60歳の男女のうち、事前スクリーニング調査にて「就職/転職活動の経験がある」と回答した方
有効回答者数:300名
方法:インターネットリサーチ
出典元:株式会社エルテス調べ
構成/こじへい







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