小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

「麻辣湯」や「ラブブ」に意外な共通点が?今年のヒットに共通する消費者心理

2025.12.30

麻辣湯はなぜブームになったのか。そこには味や話題性だけでは説明できない消費者が潜在的に求めた”何か”があったのではないだろうか。その理由を探るべく消費者インサイトの分析やマーケティングプロモーションを行う専門家、電通の松本さんに話を聞いた。麻辣湯だけでなく、ラブブ、せいろブーム、めじるしチャーム…世の中で話題になったモノ・コトの意外な共通点とは?

今年のトレンドにあった「セルフカルチャー消費」とは?

いま、全国で麻辣湯専門店の出店が相次いでいる。麻辣湯専門店チェーンの最大手である『七宝麻辣湯』は2024年には19店舗だった店舗数も2025年12月には53店舗まで拡大。都内だけでなく全国に出店を進めている。

「麻辣湯は”ブーム”から”定着”に移りつつある」

そう指摘するのは電通・松本さんだ。

「麻辣湯の面白いところは、人の数だけ味付けやトッピングが存在するところです。皆、必ず自分好みの一杯を食べることができます。ダイエット中の人、たくさん食べたい人、お肉メインで食事をしたい人…それぞれが自由に選択肢を組み合わせることができ、自分で作り上げた一杯は、お腹だけでなく心まで満たしてくれます。だからこそ多くの人に受け入れられたのではないでしょうか」

多数の選択肢から自分なりの選択をしてひとつの個性を作り上げるーーこうした事例は麻辣湯だけでなく、様々なところで見られたという。

「今年の傾向として、消費行動においても個性を出したいと考える消費者が増えてきたように思います。例えば、今年、自分の持ち物につけられる『めじるしチャーム』と呼ばれる商品が多数発売され、傘やペンを自分好みにカスタマイズする動きがありました。『ラブブ』は単にコレクショントイとして収集されるだけでなく、高級なバッグにつけたギャップで自分らしさの演出に使われたりしています。さらに自分らしいラブブをつけたいという思いとブラインドボックスという販売形態が合わさったこともブームの要因かもしれません。また、せいろを使って好きな食材を自由に組み合わせて調理・食事を楽しむ『せいろブーム』もありました。麻辣湯同様、自分らしさを表現できる食でしたね。

消費者は与えられたものをただ消費するのではなく、一度自分の中で取捨選択し、”再編集”することで自分らしさを表現しようとしています。こうした動きをわれわれは『セルフカルチャー消費』と命名しました」

ブームの要因は”余白”

SNSにおいて誰しもがセルフプロデュースができるようになった昨今、次の動きとしては自分の個性の確立ということだろうか。

「SNS時代において、自分が買ったものや体験したことがそのまま自身のブランディングに直結していました。しかし、セルフカルチャー消費では既存の商品やサービスを自分なりに組み合わせて、自分だけの世界を作り上げていくということが重要です。だから自分を”創造”するのではなく”編集”をする。自分らしさの中に、話題のモノやコトを自由に取り入れて、どのように使うか、どのように見せるかという形で自分らしさを表現していくという点が新しいように思います」(松本さん)

一方で、それは消費者が「自分の個性がなければいけない」というプレッシャーにさらされているということの裏返しでもある。自分が”その他大勢”になってしまわないように自分らしさを模索するのだろう。こうした傾向は来年以降も消費行動の中心になると松本さんは予想する。

「消費者の”自分らしさ”を叶えてくれる商品はさらに増えていくでしょう。『この商品はこう使わなければならない』『こういう人に向けたモノです』と雁字搦めにした商品よりも、消費者に自分らしさを提案してくれるような『余白』のある商品です」

麻辣湯がここまで支持された理由は、「美味しいから」でも「話題だから」だけではない。トッピングを選ぶその時間は、「自分を編集する時間」でもあったのだ。

次にブームになるのは、何か。

その答えは、新しい商品や派手な仕掛けの中ではなく、消費者が“自分なりに編集できる余白”を持ったモノや体験の中にあるのかもしれない。

取材・文/峯亮佑

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年12月16日(火) 発売

来年末は、DIME本誌で答え合わせ!?来る2026年、盛り上がるだろう意外なブームを各ジャンルの識者・編集部員が大予言! IT、マネーから旅行にファッション、グルメまで……”一年の計”を先取りできる最新号!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。