JR東日本グループは、マイナンバーカードと連携したモバイルSuicaに、地域独自のMaaS(Mobility as a Service)と生活サービスを一体化させた「ご当地Suica」を開発。
2027年春には、「ご当地Suica」のサービスを群馬県と宮城県で先行スタートさせる。
これは、同社がグループ経営ビジョン「勇翔2034」で掲げるライフスタイル・トランスフォーメーション(LX)の実現を目指す施策の一環として行なわれるもので、同社では「Suicaを『移動と少額決済のデバイス』から『生活のデバイス』へ進化させます」と説明している。
「ご当地Suica」が地域の新しい当たり前を創出
地域社会は、人口減少や少子高齢化を背景に、移動をはじめとした地域生活の“不”便や”負”担の拡大等の課題に直面している。
JR東日本グループでは、マイナンバーカードと連携したモバイルSuicaにより、地域住民にとっての生活コスト低減、地域外から来訪する人には新たな利便性(関係人口等)を創出。
さらに自治体にとっての行政コスト低減、地域企業にとっての持続的成長など、それぞれの“不”と“負”を解決しながら、四方良しの地方創生実現を目指す。

「ご当地Suica」で地域のDXを促進
モバイルSuicaとマイナンバーカードの連携により、Suica機能に加えて、地域に最適化されたMaaS機能(※)と生活サービス機能を提供。地域をDXしていく。
なお、既にモバイルSuicaを利用している人は、新たなアプリダウンロードが不要でそのまま「ご当地Suica」のサービスを利用できる。
※地域連携ICカードとの連携は今後検討が進められる。
■1:持続可能なMaaSを伴走型で実現
MaaS機能により、地域の移動における”不”便や”負”担を解決していく。
具体的には、Suicaをタッチするだけで居住地・年齢等に応じた交通助成割引を受けることが可能となる。また、通常の経路検索に加えて、地域独自のモビリティ(デマンド交通やシェアサイクル等)を含めエリアを網羅したリアルタイム経路検索(※)とシームレスな予約を実現。
さらに、公共ライドシェアや児童・生徒の塾や部活動、学童における送迎等、地域モビリティの実装支援を行い、交通空白を解消していく。
※リアルタイム経路検索:交通の遅れ情報を反映した経路検索

■2:生活サービスをDXする
生活サービス機能により、住民の地域生活の”不”便や”負”担を解決していく。
例えば子育て申請において、従来は平日に会社を休み申請書を提出するために自治体窓口に行かなければならないところ、本機能でオンライン申請が可能となるため、時間と場所の制約が解消される。
さらに、給付金申請のほか、自治体からのお知らせや公共施設・医療機関の受付、避難所での入退管理による効率的な救援物資の配布や安否確認等の防災サービスまで、地域生活に不可欠な情報連携・利用サービスを一体で提供することを目指す。

■3:「ご当地OS」によりデジタルな地域社会を
「ご当地Suica」の移動データを活用した「ご当地OS(※1)」で、さらなる地域のDXを促進。地域のまちづくりに貢献していく。
例えば地域全体の移動データを可視化し利用状況を把握することにより、その地域に応じた公共交通の効率的な設計・運行が可能となり、地域交通の”負”荷軽減を実現する。
また「teppay(※2)」とも連携することで、コード決済に加え、特定の地域で利用できる「地域限定バリュー」や「地域クーポン」の活用により、キャッシュレス化を促進。
さらに、Suica の移動データを活用することにより、様々な地域での子どもや高齢者の見守りサービスにも対応した”お気遣い”サービスの実現を目指し、”不”安の無い安全・安心な社会を当たり前にしていく。
※1 ご当地OS:都市OSのご当地版
※2 teppay:2026年秋(予定)より提供開始する新たなコード決済サービス

■4:「ご当地Suica」で都市と地域をつなぎ関係人口を創る
Suicaのリアルタイムな移動データを活用して、改札を出場したタイミングで手持ちのモバイル Suicaが地域の「ご当地 Suica」に切替わる機能を追加する。
「ご当地Suica」は観光型MaaSの常識を超え、地域に応じた交通情報やおトクなチケット情報を取得・利用することができるため、慣れない土地でも“不”安なく移動が可能になる。
さらに「ご当地Suica」は地域の情報配信チャネルとなり、都市と地域を繋いでいく。二地域居住やふるさと住民へも対応することで、都市から地域への関係人口の創出や移住を促進。
例えば、自治体からの助成を前提に、地域と都市間の移動や通勤・通学に要する交通費について、その地域独自の割引サービスや二地域居住等へ対応した独自のサービスにも対応できるようになる。

■5:「ご当地Suica」は群馬県・宮城県からスタート
2027年春に群馬県内と宮城県内で「ご当地Suica」を先行スタートとなる予定。同社では「JR東日本グループのSuica、群馬県で育まれたMaaS(GunMaaS)、宮城県で実装されている生活サービスを組み合わせることで『ご当地Suica』を実現し、両県における新しい当たり前を創ります」と述べている。

今後のスケジュール

構成/清水眞希







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