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ローソンがコンビニ業界で最も高い〝ブランド力〟を持ち続ける理由

2025.12.22

日経BPコンサルティングが毎年行なっている「ブランド・ジャパン調査」の2025年版にて、ローソンは総合力ランキングで3位という結果を叩き出した。コンビニ業態では頭一つ飛び抜けた結果である。なぜ、ローソンはこれほどまでに世の中に支持されるのだろうか。

その答えを、ローソン 代表取締役 社長・竹増貞信氏と、同社のマーケティング・プロモーションを長年支える電通のクリエイティブ・ディレクター・郡司音氏に話を聞いた。

(左)竹増貞信 氏
株式会社ローソン 代表取締役 社長

1969年大阪府生まれ。1993年3月、大阪大学経済学部を卒業後、同年4月に三菱商事株式会社に入社。
畜産部にて牛肉輸入業務に従事し、米国企業への出向、広報部、社長業務秘書などを歴任。
2014年5月、株式会社ローソンに入社し、代表取締役 副社長を務め、2017年3月より現職。

(右)郡司音 氏
株式会社電通
クリエイティブディレクター、コピーライター

主なコピーに、ローソン「ローソンで ハピろー!」、アサヒ生ビール マルエフ「日本のみなさん、おつかれ生です。」、日経電子版「ここから動く人は、強い。」、セールスフォース・ジャパン「意味なく群れるよりも、意志のある孤立を。」など。

50年の積み重ねがローソンの”ブランド力”に

ーーブランド・ジャパン調査で総合力ランキング3位になりましたが、率直な感想をお聞かせください

竹増:YouTube、Googleといった世界的企業に次ぐ順位ですから私も初めは驚きましたよ。しかも昨年度は同じランキングで40位ですからね。

ローソンは今年50周年という節目を迎えます。この結果は一朝一夕に得られるものではなく50年の積み重ねの結果だと考えています。例えば、1995年の阪神淡路大震災の際、当時、ローソンの親会社であったダイエーの会長・中内功さんは「店の明かりをつければ、それだけで被災者たちは力が出る」と指示したことは有名です。そして、ローソンが営業をして被災地に青い光を灯していたことは地元の方々の安心につながりました。このDNAはいまもローソンに脈々と受け継がれています。世の中が困っているときこそ、ローソンに何かできることはないかと社員全員が考えてくれています。

郡司:ローソンはコロナ禍でも給食が無くなった学童保育のためにおにぎりを提供したり、外食産業と協力して新商品の開発をしたりしていますよね。街の人はそういったローソンの取り組みを見ているからこそ、今回のブランド調査の結果に繋がったと思います。

竹増:ありがたいことですね。

郡司:毎年、大好評の「盛りすぎチャレンジ」も物価上昇の最中に始まりましたよね。ローソンは取り組みを通してお客様を元気にしたいという思いが根底にあります。それはお客様にも届いていると思います。

竹増:そうですね。しかし、こうした評価をいただけるようになったもの最近のことです。少し前までは「コンビニのくせに」と言われることも少なくありませんでした。私はそうした社会からの評価を少しでも変えたかったんです。最近は、「コンビニのくせに」という言葉は減って「コンビニありがとう」と言われるようになった。私だけでなく従業員や加盟店さま、一人ひとりの努力が実って本当に嬉しく思います。

コロナ禍で誕生した「ハピろー!」

ーー世の中の評価が変わったきっかけがあれば教えてください

竹増:2022年6月からはじめた「ハピろー!」ですね。当時、コロナ禍で人の外出の機会が極端に減少しました。不要不急の外出は控え、人々の生活は巣ごもりにシフトしました。コンビニは、人の動きがあって初めてニーズが生まれる業態なんです。お客様のライフスタイルの変化にコンビニも変わっていかないといけないと思い日用品の拡充や店内キッチン店舗の拡大などを進めました。新しくなったローソンを知ってもらうために始めたのが「ハピろー!」です。

郡司:電通にお声がけいただいたのは「ハピろー!」が始まる1〜2ヶ月前でしたよね。覚えていますか?

竹増:そんなに直前でしたか?(笑)

郡司:そうですよ。でもそのスピード感がローソンのいいところなんですよね。ローソンとタッグを組ませていただくようになって気づいたのですが、竹増社長はすごく一生懸命な人なんです。”やる”と決めたら自分から先陣を切って進むバイタリティがあります。竹増社長自らがローソンの店舗を回ってトイレ掃除をするという話を聞いた時は驚きと同時に納得もしました。「ハピろー!」はその一生懸命さを体現するキャンペーンでもあります。全国のローソンが一丸となって全力でお客様にハッピーを届ける、その標語として「ハッピー・ローソン・プロジェクト」、略して「ハピろー!」が誕生したんです。

竹増:「ハピろー!」は本社と加盟店とを繋げるワードとしても機能しました。私が全国各地のローソンに行くと従業員の方が「竹増社長、ハピろー!」と言ってくれる。もちろん、私も「ハピろー!」と返すわけです。それだけで笑顔が生まれます。私たちが笑顔になるとそれはお客様にも伝わるものです。じわじわとお客様にも「ハピろー!」が浸透していってくれ、数字としても結果が出始めました。そのいい流れで50周年を迎えることができました。本当に電通のみなさんにマーケティングやプロモーションをお願いしてよかったと思います。

郡司:誉めすぎです(笑)

お客様に「お得感」だけでなく、”元気””幸せそう””チャレンジしている”とプラスのイメージを感じてもらえからこそ結果に繋がったのかなと思いますね。

”ローソンisローソン”の哲学

ーー電通から見てローソンの魅力はそのようなところにありますか?

郡司:ローソンはまさに”ローソンisローソン”、あまり同業他社のことを気にしないんです。何かをチャレンジする時も「他社がやっているから」ではなく、「ローソンがやりたいから」でチャレンジできる企業なんです。そこが本当に素晴らしいなと感じています。

竹増:他社を見る時間があれば、加盟店や従業員はどうすれば元気になるのを考えたいんですよね。業界を見てもそれは過去を見ているにすぎないんです。とにかく自分のお客様を見て、ちょっとした変化に気づくことが先頭を走ることにつながるんだと思います。

郡司:「盛りすぎチャレンジ」を恒例イベントにしてみたり、給食がなくて牛乳の需要が落ちる冬休みなどに「MACHI café ホットミルク」を半額にする「ミルクフェア」など、ローソンの企画にはいつも驚かされます。

竹増:実はローソンは業界を見ても「先駆者」であることが多いんですよね。はじめて全国47都道府県に展開したコンビニもローソンが初めてですし、レジ横のホットスナック、お客様へのトイレ開放などもローソンが開拓した分野です。だからこそ、チャレンジをすることに誇りを持っていきたいですね。

ーー改めて、50周年をどのように感じていますか

竹増:あまり意識してもしょうがないとは思います。全国1万4600店舗、中国にも7000店舗の仲間がいて、タイ、フィリピン、インドネシアとローソンは広がり続けています。50年の中で、国内コンビニを核としながらも成城石井やローソン・ユナイテッドシネマなどグループの仲間も増えました。こうした仲間が財産でもあり、私には仲間の未来に責任があります。これからもお客様や社会の変化に敏感になり、どんな小さなことでもアクションに変えてチャレンジしていくことをこれからも継続していきたいですね。

郡司:竹増社長のスピード感と熱意に負けないようにしっかりと支えることが私たちの役割です。マーケティングだけでなく、AIなどのテクノロジー面や事業スキームの提案など持てるノウハウは最大限に活用していきます。

竹増:期待しています!

ーーありがとうございました。

取材・文/峯亮佑 撮影/干川修

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