電通は、推し活を行なうファン層(ファンダム ※1)の行動欲求をAIで分析するリサーチツール「ファンAI(アイ)リサーチ 推し活」を開発。2025年12月09日より社内で本格運用を開始した。
このツールは、企業やIP(※2)ファンの熱量を活用したマーケティングの支援を目的に、同社独自のAI戦略である「AI For Growth」におけるファン領域のプランニング強化・変革支援を推進する「AI For Growth Fan Marketing(※3)」の活動として設計された。
ファンダムが持つ「推しのために〇〇したい!」という合理性を超えた行動欲求に着目。AIを活用することで、その背景にあるインサイトを迅速に可視化・分析できるという。
※1 ファンダム:特定の作品や人物を熱心に応援するファン集団。
※2 IP:知的財産(Intellectual Property)の略。キャラクターや作品などの権利を指す。
※3 AI For Growth Fan Marketing:同社内でAIを活用したプランニングサービス系におけるファンマーケティング領域を示す総称。

「ファンAIリサーチ 推し活」の開発背景と目的
近年、アニメやアイドル、スポーツ選手などへの”推し活”が一般化。ファンの熱量が企業活動に影響を与える事例が増加している。
一方で、ファン心理を十分に理解せずに施策を実施した結果、期待とは異なる反応を招くケースも見受けられる。特に、IPやタレントとのタイアップ施策では、一時的な消費喚起が見込めるものの、施策途中や終了後に盛り上がりや売り上げが縮小することで、ファンとの関係性が途切れるといった課題も想定される。
こうした背景を踏まえ、同社は、コンテンツやIPそのものだけでなく、その周囲に存在するファンダムの力に着目。ファンの継続的な愛情を企業やブランドに対する支持へと循環させる新たなマーケティング手法「ファンサーキュレートマーケティング」を設計した。

さらに、ファンダムを起点とした循環型マーケティングを支援して、企業とファンの間に持続可能な関係性を構築する企画の第一段階として重要なファンダムのインサイトを深掘るリサーチツール「ファンAIリサーチ 推し活」を新たに開発。社内で本格運用を開始した。
これにより、IPやコンテンツの評価軸に「ファンダムインサイト」という新たな視点が加わった。同社では「従来は認知度やリーチ力が中心に評価されていましたが、今後はIPの外側に広がるファンダムの熱量やエンゲージメントも含む総合的な評価が可能になります」と、その意義を説明している。
「ファンAIリサーチ 推し活」の概要
同社が独自開発したファンダム解析モデル「ファンダム欲求曼荼羅(まんだら) ※4」をベースに、SNSや動画配信サービスにおける公開コメントなどのデータをプライバシーに配慮してAIが解析。ファンの”推し”に対する感情や行動の背景をスピーディに明らかにしていく。
また、ファンダムの”ニン(※5)”=個性や文脈を理解したキャスティングやコンテンツ設計を行なうことで、ファンの共感が得られる施策とマーケティング戦略の立案に活用できるようにする。
さらに、分析と戦略立案の高度化を図るため、同社が保有する大規模調査データとAIによる文脈解析を組み合わせることで、ファンの価値観やブランドへのモチベーションを可視化。ファンダムとブランドとの接点をより精緻にしながら、ファンの継続的な愛情を短期に終わらせず、企業やブランドに対する支持へと循環させる「ファンサーキュレートマーケティング」を実現させるための「Premium」なリサーチツールも近日導入する。
加えて、それらのデータを使い、ファンダムの特徴を反映した「ファンダムAIペルソナ」の生成も行なうことで、企画プロセスにおける受容性検証やチーム内でのアイデア検討時のシミュレーションパートナーとして活用できるようにしていく。
同社では今回の発表に際して、「今後もファンダムを起点としたマーケティングの高度化を推進し、企業とファンの間に持続可能な関係性を築くことで、ブランド価値の向上に貢献してまいります」とコメントしている。

※4 ファンダム欲求曼荼羅:ファンの行動欲求を体系化した当社独自の分析モデル。
※5 ニン:キャラクターや人物の個性や背景を示す概念。
関連情報
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2025/1209-010982.html
https://www.dentsu.co.jp/labo/ai_for_growth/index.html
構成/清水眞希







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