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「人事評価制度」で変わる中小企業の賃金格差、〝あり〟の会社の9割以上が賃上げを実現

2025.12.08

従業員の仕事の成果、能力、貢献度などを一定の基準に基づいて測定し、評価する「人事評価制度」。

給与、賞与、昇進・昇格などを公正に決定することは、企業の成長と人材定着において重要な要素となる。

日本人事経営研究室は、全国の中小企業で「人事評価制度を運用している」経営者および役員100名と、全国の中小企業で「人事評価制度を運用していない」経営者および役員100名を対象に、人事評価制度の運用状況とそれによる企業への影響について調査を実施した。

賃上げが実施できた中小企業の割合、人事評価制度“あり”は92.0%、“なし”は44.0%

まず、直近1年間に賃上げを実施したかを聞いたところ、人事評価制度を運用している中小企業では92.0%が賃上げを実施していたのに対し、人事評価制度を運用していない企業では44.0%にとどまり、両者の間に大きな差があることが明らかに。

人事評価制度を運用している企業では、従業員の業績や貢献度に基づいて賃上げを実行しやすく、評価が賃金に反映される仕組みが整っていることから賃上げに繋がっているようだ。

反対に、人事評価制度が運用されていない企業では、賃上げの実施にあたって基準が不明確な場合が多く、賃上げ額が感覚的に決定される場合もあるため、賃上げの実施が不定期、または行われない可能性も考えられる。

直近1~2年での会社の業績について聞いたところ、「業績が向上した」と回答したのは人事評価制度がある中小企業では53.0%、人事評価制度がない中小企業では26.0%となり、人事評価制度の有無が業績にも大きく影響していることが明らかとなった。

人事評価制度の運用により、従業員一人ひとりの業務パフォーマンスや目標が明確に定義され、従業員は業績向上に向けた行動を取りやすくなる。

反対に、人事評価制度がない企業では、従業員の目標や評価が明確でないため、業績向上のための具体的な動きを取りにくい傾向があるようだ。

人事評価制度を運用していることによる効果、「従業員のモチベーションが向上した」「昇進・昇格の実施がスムーズになった」「賃上げができた」

人事評価制度を運用している企業の経営層に、人事評価制度による効果を聞いたところ、「従業員のモチベーションが向上した」が45.0%となり、次いで「昇進・昇格の実施がスムーズになった」が37.0%、「賃上げができた」が36.0%という結果となった。

人事評価制度は、従業員のモチベーションアップやキャリア成長に直結し、企業全体のパフォーマンス向上に寄与していることがわかる。

社員に対する評価が適正にできているかどうかを聞いたところ、人事評価制度を運用している中小企業では「とても感じている」と「少し感じている」を合わせると、90.0%と大半を占める結果に。

一方、人事評価制度を運用していない中小企業では53.0%となり、大きな差があることが判明。

人事評価制度がない企業では、評価基準が曖昧であるため、従業員が評価の公正さに疑念を抱きやすく、会社への信頼感の低下、モチベーションの低下に直結する可能性もある。

人事評価制度を運用していない中小企業では44.0%が離職原因が「わからない」

経営層と社員のコミュニケーションが取れていないことが考えられる。社員の離職の原因について聞いたところ、人事評価制度を運用している中小企業では「職場環境」が38.0%、「給与や待遇への不満」が37.0%で多い結果となった。

一方、人事評価制度を運用していない中小企業は離職原因を「わからない」と回答した割合が44.0%で最多に。経営層と従業員のコミュニケーション不足が離職の要因となっている可能性も示唆される。

「社員が目標を持って、成果を出すことを意識して働いている」と感じるかを聞いたところ、人事評価制度を運用している中小企業では「とても感じている」と「少し感じている」を合わせると83.0%となった。

一方で人事評価制度を運用していない中小企業では60.0%に留まっている。人事評価制度があることで、従業員が自身の目標やあるべき状態を理解し業務に臨むことができるため、成果への意識も根付いているようだ。

社員の育成が十分にできているかどうかを聞いたところ、人事評価制度を運用している中小企業では「とても感じる」と「少し感じる」を合わせると75.0%なのに対し、人事評価制度を運用していない中小企業では52.0%となり、社員育成においても人事評価制度は重要であることが明らかに。

人事評価制度があることにより従業員の育成方針が明確になり、成長が加速するため、人材育成にも効果的だ。

人事評価制度を導入しない理由は「導入しても効果を感じにくいから」

人事評価制度を導入していない中小企業に導入しない理由を聞いたところ、最も多かったのは「導入しても効果を感じにくいから」が28.0%、次いで「他の優先事項があるから」が25.0%、「人事評価制度のノウハウを持っていないから」が22.0%という結果に。

「導入しても効果を感じにくい」という理由として、人事評価制度が十分に運用されていない、または間違った運用がされていることが考えられる。

人事評価制度だけでなく経営計画も運用しているか聞いたところ、人事評価制度を運用している中小企業の82.0%が経営計画も運用していた。一方で、人事評価制度を運用していない中小企業は経営計画の運用も30.0%に留まっている。

経営計画を運用することによる効果を聞いたところ、「従業員の仕事に対する目標意識が向上した」が41.4%となり、次いで「会社全体の方向性が明確になり、従業員の意思疎通ができた」が32.3%、「業績が伸びた」が29.3%という結果となった。

経営計画は、企業全体の方向性を示し、従業員の目標意識を向上させるだけでなく、業績向上にも寄与する要素だ。

また、計画に基づいて業務を進めることは、企業の成長を加速させるために不可欠な要素であり、従業員のモチベーションやパフォーマンスにも直結する。

まとめ

今回の調査により、人事評価制度を運用している中小企業では、賃上げや業績向上が見られ、従業員のモチベーションや育成効果も高いことが判明。

これに対して、人事評価制度を運用していない中小企業では、賃上げや業績向上に限界があり、従業員とのコミュニケーション不足などの課題が明らになった。

これらの課題を解決するためには、人事評価制度や経営計画を効果的に運用し、そして従業員と経営側の双方向のコミュニケーションを促進することが重要だ。

調査概要
エリア:全国
調査対象:「人事評価制度を運用している」経営者・役員100名、「人事評価制度を運用していない」経営者・役員100名
計200名
調査期間:2025年10月10日~10月14日
調査方法:インターネット調査

関連情報
https://jinjiseido.co.jp/

構成/Ara

昭和63年生まれ。最新のトレンドを横断的に紹介するオールラウンド系ライター。編集プロダクションでの書籍制作や、男性向け美容・健康WEBマガジンでのライター経験を経て、現在は最新ファッションアイテムを中心に執筆活動を展開中。

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