まるでアウトランダーの弟分！専用のグラベルモードを搭載した新型「デリカミニ」が見せた驚異の走破性

「T」の付くターボモデルを推奨

鴨川の山奥の道での、15インチタイヤを履く乗り心地は、これが軽自動車なの!!と思えるほど快適だった。

うねり路面の抑え込み、揺れ残りの制御は秀逸で、段差を乗り越えた時のショック、音、振動もまた最小限。荒れた路面でも乗り心地面で不快になることなど一切なかったのである。それは新採用のカヤバ製ショックアブソーバー=Prosmoothの恩恵でもあるはずだ。

そして、車内の静かさもなかなかだ。とくに粒の粗いアスファルト舗装でのロードノイズの小ささ、ノイズの耳へのやさしさが好印象。

何しろ、振動、遮音性能は軽自動車トップレベルだそうだ。もっとも、60km/h程度、アクセルONで走っているときのザワザワしたエンジンノイズの車内への侵入は、もう少し抑え込んでもいいような気もするが・・・。

一方、操縦性、安定感は目からうろこである。

パワーステアリングはあらゆる走行条件下での走りやすさを優先した軽めのタッチ、切る、戻すときのスムーズさを示し、スーパーハイト系軽自動車最大級の最低地上高160mmを確保しているにもかかわらず、オンロードでのロールはゆったり、小さく、安定感は抜群だ。

クネクネした山道ではカーブに吸い込まれるように、フラつきなく気持ちよく曲がってくれるのだから、運転が楽しく、もしかすると山道の走りが苦手な人でも「運転がうまくなった、山道を走っても怖くない」と感じるかも知れない。

つまり、スーパーハイト系軽自動車があまり得意ではないとされるクネクネ道の走行も安心・安全、自信を持ってカーブに飛び込んでいけるというわけだ(常識的な速度＋の範囲で)。

タフネス感あるスーパーハイト系軽自動車にして活発な走りも楽しめるのが新型デリカミニなのだが、先代にあったターボモデルのパドルシフトは不採用。これはデリカミニのベース車である新型ekスペースと日産ルークスの共同開発における”大人の事情”かもしれないが、ちょっと残念な部分ではある。

というのは、パドルシフトは決してスポーティな走りを楽しむだけのものではなく、スピードコントロールがしやすくなり、下手にブレーキを踏むよりずっとスムーズな減速が可能といった、走りやすさ、同乗者の快適性にも大いに貢献してくれる機能だからである。

途中、ジャリ道も走行もしたのだが、そこでも、両側スライドドア×ハイトなボディにして剛性感あるボディ、減衰力を上げたカヤバ製ショックアブソーバー=Prosmoothによるしっかりとした足回りのチューニング、シートのクッション性の相乗効果によって、走破性、乗り心地ともに優秀。悪路をもろともしない走り、ジャリの角が丸められたような乗り心地を体験できたのだ。

ついでに前輪片輪が完全に滑った状態を再現した特設路も体験したのだが、アウトランダー譲りのドライブモードセレクターを「ノーマル」から「グラベル」（左から4番目。グラベルとスノーモードがデリカミニ専用）にセットしたとたん、ノーマルモードでは前に進まない状況でも、しっかりと駆動力が伝わり、すんなりと前に進むことができたのである。

これなら悪路、雪道でも、アウトランダーに迫る走破性を発揮してくれるに違いないと思える。モードを切り替えた時にはメーターに各モードのアニメーションが表示され、じつに分かりやすいところにも好感が持てた(アウトランダーも同様)。

もちろん、ヒルディセントコントロール、ヒルスタートアシスト、グリップコントロールも完備されている。

もちろん、未試乗とはいえ、新型デリカミニにはターボじゃないほうの、街中、オンロードメインの使用ながら、デリカのデザインにぞっこんの人にぴったりな、フルタイム4WD比約9万円安のNAエンジンモデルも用意され、ターボモデルを含め全6グレードもあるから、予算、用途によって選択は自由自在。

とはいえ、遠路のアウトドアフィールドを目指す機会の多い人には、迷うことなく「T」の付くターボモデルを推奨する。余裕ある動力性能、エンジン回転を低く抑えた高速巡行性能によって、長距離ドライブでのドライバー、乗員のストレスが軽自動車であっても大幅に軽減されるからである。

ところで、今回の試乗で、車体本体以外で感心したのは、軽自動車初のGoogle搭載ナビゲーションだ。

走行中でも「OKグーグル」と呼びかけ、「〇〇に行きたい」と話しかければ、そのまま目的地設定が行え、ルート案内が開始されるのだ。これは先代モデルでは叶わなかったGoogle様さまの便利さだ。

そしてディスプレーには3Dアラウンドビュー&フロントアンダーフロアビューを初搭載。フロントアンダーフロアビューはまるで車両前方のフロアが透けて見えるような映像が映し出される、前方の路面が見えにくい状況下での安全運転に直結する画期的なビューモニターなのである。

これは、例えば山奥のアウトドアフィールドへ向かう際の悪路で前方路面、側方が不安なときに威力を発揮してくれるに違いなしである。

つまり、頼れる相棒度が大きく増し、進化した、またまた大ヒットの予感しかない新型デリカミニということだ。

デリカミニと言えば、初代からキャラクターの「デリ丸。」くんがおなじみ。

愛犬と暮らし、モータージャーナリスト兼ドッグライフプロデューサーとして活動し、愛犬とのドライブ機会も多いボクとしては、この”犬顔”な新型デリカミニで、愛犬のキャバリアのアーモンドと新色も加わった「デリ丸。」を連れて「気軽にアウトドア」を楽しみたくなったのも本当だ。

もしかするとその願いが、近々、叶うかもしれない。その際は、この@DIMEの“わんこと行くクルマ旅”企画で紹介したいと思っている。

三菱デリカミニ

文・写真／青山尚暉