北海道北広島市。この地に年間400万人以上が訪れる注目のスポットがある。北海道ボールパークFビレッジ(以下、Fビレッジ)だ。敷地内には、北海道日本ハムファイターズの本拠地「エスコンフィールドHOKKAIDO」だけでなく宿泊施設やアクティビティ施設、レジデンスなどを有する一大施設である。ところで、そんなFビレッジの公式キャラクター「えふたん」はご存じだろうか?今回は、この「えふたん」がどのように生まれたのか、その誕生の裏側に迫りたい。
10年で8000億円以上?北海道ボールパークFビレッジの驚くべき経済効果
2023年3月、北広島市にFビレッジは開業した。北広島市は札幌市に隣接する市で、Fビレッジの最寄駅の北広島駅は新千歳空港と札幌駅のちょうど中間地点にある。北海道日本ハムファイターズは札幌ドームから新たにこの場所を本拠地にすることを決めた。

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運営をするファイターズ スポーツ&エンターテイメントの小川さんは地域とともに育つボールパーク構想を強調する。
「ボールパークプロジェクトのスタート段階から、私たちだけで球場建設プロジェクトを行うのではなく、地域やさまざまな企業と一緒になって周辺の街づくりを行う『共同創造空間』という考え方を掲げています。球場を作るという球団にとって大きなチャレンジを、地域貢献に繋げるためには一社だけではなく、多くの人や企業を巻き込むことが必要でした。私たち球団は、地域に根ざしてその地域を盛り上げる責務があります。そのために球場だけではなく周辺の価値を創造していくことも不可欠なことでした。
北広島という立地は、札幌圏だけでなく広域からの玄関口である新千歳空港からもアクセスが良い。地域活性化に欠かせない人流や人口の増加という観点からも十分なポテンシャルを感じました」
昨年度、Fビレッジは年間来場者数が400万人を超え、北広島市に500億円以上の経済効果をもたらしたと推定される。周辺の地価も上がり続けており、今後10年で8000億円以上の経済効果も期待される。スポーツと地域創生のモデルケースとしてプロ野球のみならず、多くのプロスポーツが注目しているのだ。
また、Fビレッジは、野球だけではなくグルメやアクティビティが楽しめる新たな観光地としても人気が集まっている。年間来場者数約400万人のうち、半数の約200万人以上が”野球観戦以外”を目的とした来訪であることが、それを裏付けている。
「多くの企業や自治体の参考になることは非常に光栄なことですが、私たちとしては、Fビレッジが成功したと満足しているわけではありません。2028年にはFビレッジに隣接する新駅が誕生し、敷地内には北海道医療大学のキャンパスが移転されます。今後、人流・人口はさらに増え続けるでしょう。まだまだ北海道を盛り上げていきたいと考えています」(小川さん)
公式キャラクター「えふたん」が生まれたきっかけは?
そして、野球ファン以外の接点として大きな役割を担っているのがFビレッジの公式キャラクター「えふたん」だ。

北海道日本ハムファイターズの球団マスコットには、フレップやポリーなどがいるが、Fビレッジ公式キャラクター「えふたん」をご存じだろうか?エスコンフィールドHOKKAIDO内には「えふたんカフェ」が併設されていたり、ショップにグッズが販売されていたりするので、一度は見たことがある人も多いかもしれない。
ファイターズ スポーツ&エンターテイメントの松橋さんは「野球ファン以外にも認知度が広がってきており嬉しい限り」と話す。
「えふたんはFビレッジの開業に伴い誕生したキャラクターで、そろそろ3年目を迎えます。これまで発売されたグッズは200種類を超えますし、シーズン限定で発売したえふたんグッズの中には、即完売するような商品もあります。最近では球場やFビレッジを飛び出し、空港などでも、”Fビレッジの顔”として活動の場を広げています。

新千歳空港のキャラクターショップにて、限定コラボグッズを発売中
球団マスコットのフレップやポリーは、野球をきっかけに地域の皆さまとふれあう機会をつくったり、試合の場を楽しく盛り上げたりする役目を担っています。球団と地域をつなぐ大切な存在として、さまざまな場面で活躍しています。
一方で、えふたんは「Fビレッジに住むくま」として、Fビレッジの魅力や楽しさを皆さまにお伝えすることを主な役割としています。訪れた方がワクワクした気持ちになれるよう、Fビレッジの世界観を広げていく存在です。
このように、球団マスコットとえふたんは、それぞれが担う役割や目的を分けながら、両者が異なる立場からチームおよびFビレッジの魅力を伝えることで、より多くの方々により深く親しんでいただけるよう努めております。
最近ではえふたんをきっかけにFビレッジを訪れてくれる方も多くいらっしゃいます。野球ファン以外のコミュニケーションとしてえふたんは大切な存在です。今後は行政との連携であったり、道内外で『ご当地えふたん』のような展開もしていきたいと考えています。最終的にゆくゆくは北海道を代表するIPに育ってほしいですね」
えふたんが初めて世に登場したのは、Fビレッジの開業広告のイラストだ。
ファイターズ スポーツ&エンターテイメントと共にIP戦略を手がける電通の倉田さんは言う。
「初めは広告のメッセージを伝えるための”ちょい役”だったんです。しかし、『あの青いクマのキャラクターは誰?』『グッズが欲しい』などの声が集まり、我々としてももっとビジネスにも貢献できるんじゃないかと考えてグッズ化やSNSアカウントの開設をはじめました。

2023年3 月開業時から放送した CM の隠れキャラクターとしてえふたんが出演

北海道内の近隣の駅(札幌駅、新千歳空港、北広島駅)にて、開業広告と共にえふたんが掲載
電通は当初、ファイターズ スポーツ&エンターテイメントさんが掲げていた『野球ファン以外も巻き込みたい』という理念を最大化するために試行錯誤しており、そんな中で『新しいキャラクターを作ったら面白いのでは』という提案を行ったことがきっかけでえふたんが誕生したんです。これからもIPの協働保有者として、電通はファイターズ スポーツ&エンターテイメントさんと一緒に”えふたん経済圏”を盛り上げていきたいと思います」

累計200 種類以上のグッズ類を販売
えふたんは、Fビレッジの経済効果を支える“非野球層”への導線・タッチポイントとして機能している。開業からわずか3年弱でグッズ総数は200点を超え、関連売上は数億円規模に拡大した。
来場者の約半数が「野球観戦以外の目的」で訪れるというデータにも、その存在意義が表れている。
2028年には新駅の開業と大学キャンパス移転を控え、エリア全体の人流・経済活動はさらに拡大する見通しだ。えふたんは、Fビレッジ経済圏のシンボルとして、地域ブランディングと経済循環のハブとなっていくだろう。
ファイターズ スポーツ&エンターテイメントと電通が「えふたん」というキャラクターIPをどのように育てていくのか、二社のタッグから目が離せない。
取材・文/峯亮佑







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