世界最大級の広告会社・電通グループがいま大きな転換点を迎えている。
同グループの国内事業を統括する「dentsu Japan」は、広告領域にとどまらず、BX(ビジネストランスフォーメーション)やDX、スポーツ・エンターテインメントなど、多角的な事業展開を加速させている。長らく「企業を裏で支える黒子」としての役割を担ってきたが、そのスタンスは変わりつつある。
2026年には、上場から25年という節目を迎える電通グループ。同社は、広告会社のイメージそのものを再定義できるのだろうか。
グループ規模での「オフィスカミングデー」を開催
11月下旬、東京・汐留の電通本社ビルに、電通グループ社員の家族やパートナー、友人など「大切な人たち」が集まった。電通グループが開催したイベント「オフィスカミングデー」である。社員だけでなくその関係者に向けて、同社の仕事や価値を公開する取り組みだ。
昨年に続き2回目の開催となった今回、東京・関西・中部での開催日を分散したことで、延べ3,500人以上の参加が見込まれている(昨年度は約3,300人が参加)。国内外のグループ企業も巻き込んだ大規模イベントに成長した。
会場では、自社サービスやプロダクトの展示に加え、広告制作の体験ブースを用意。近年注力するAI分野では「空想をビジュアル化する生成AI体験」なども人気を集めた。



「黒子ではいられない」dentsu Japan佐野CEOが語る意義

イベント当日、法被姿で来場者を迎えていたdentsu Japan 佐野CEOは、次のように語った。
「我々は“人”がすべての会社です。社員が良いサービスを提供して初めて世の中に評価されます。オフィスカミングデーは、社員と、その大切な人への感謝を形にする取り組みです」
電通グループは、国内約140社、海外約580社、従業員数は約6万8,000人。世界規模の広告・マーケティング企業として影響力を持つ同社には、透明性の高い姿勢が求められている。
佐野氏は続けてこう話す。
「電通グループは創業から100年間、非上場企業でしたが、2001年に上場しまもなく25年を迎えます。上場企業として、これまで“黒子”だった電通をもっと知ってもらう必要があります」
広告業界はこれまで、裏方に徹し、表には出ない存在を美学としてきた。しかし、SNS時代においては生活者からの信頼や透明性も企業価値の一部になっている。
「オフィスカミングデー」は、社員の家族への感謝だけではない。黒子から“開かれた電通グループ”へという意思表明であり、業界のリーディングカンパニーとして果たすべき責任の形でもある。
広告会社は、裏側にいるべきなのか。それとも、企業と生活者の間に立ち開かれた存在になるべきなのか。その答えは、電通グループが出してくれるだろう。
取材・文/峯亮佑
年間1兆円以上もの収益を生み出し、広告業界を牽引しつづけている電通グループ。 近年、電通グループは「広告だけでなくコンサルティング領域なども強化・拡充している」…







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